カテゴリ:アート リーディング(神話研究)
まず最初に、黄道十二星座の山羊座には、2等星以上の明るい星が無いとのこと。これも支配星が土星の山羊座サインの性質とかぶる部分がありますね、という意見が出されました。
小さな星々が連なって、なんとなく逆さまの三角形のように見えるのが山羊座だそうですが、古代ギリシアでは、その形が人が笑った時の唇のように見えることから、人間が亡くなった時に昇天する入り口とみて、「神々の門」とも呼んでいたのだそうです。(『藤井旭の星座と星座神話 秋』誠文堂新光社 より。) 「秋の夜空には、この魚山羊やうお座、みずがめ座、みなみのうお座、くじら座など、水に関係した星座が黄道上にずらりと並んで見えています。これは、星座が考えだされた中近東方面では、太陽がこのあたりの星座を通り過ぎるころが、この地方での雨季だったせいかもしれないといわれています。」(同上より。) トロピカル方式を使っている西洋占星術では、春分点は移動させないので、冬至点は山羊座のスタートのままですが、現在の冬至点は射手座にあって、山羊座に冬至点があったのは古代バビロニア時代ということです。(Wikipedia やぎ座より。) 山羊座星座対応のギリシア神話の一番有名なお話は、次のようなものです。 神々がナイル川の岸辺で宴を催していた時、怪物テュフォンが現れました。テュフォンは悪名高い怪物でお酒のうまそうな匂いを嗅ぎつけてやって来たのだそうです。驚いた神々はそれぞれ動物の姿に変身して逃げました。森と羊と羊飼いの神パンもあわてて川の中に逃げたのですが、あまりあわてていたために、水に使った部分だけが魚になり、上に出ていた部分は山羊のままという、何とも奇妙な姿となりました。大神ゼウスがそれを星座としました。 どうしてギリシアの神々がエジプトに居るかというと、その昔ギリシアで大規模な火山の爆発があって、それを恐れた神官や巫女たちがエジプトに逃れたという史実があって、それがもとになっているようです。(『ギリシア神話 新版』ロバート・グレイヴス 紀伊国屋書店より。) フュフォンというのは、火山自体を象徴して居るとのこと。(同上より) またエジプトに難を逃れた時にそれぞれの神が身をやつした動物の姿は、ゼウスは雄羊に、アポローンはカラスに、ディオニューソスは山羊に、ヘーラーは白い雄牛に、アルテミスは猫に、アプロディーテーは魚に、アレースは猪に、ヘルメースは朱鷺に、ということです。(同上より) また別のギリシア神話としては、ゼウスを育てたニンフ、アマルティアの姿を星々の間に置いたのが山羊座である、というものもあるそうです。そこではゼウスは、乳兄弟の山羊の神バーンとともに成長したとあります。「彼はまた、牛の角にも似たアマルティアの一本の角を借りてメリッセウスの娘たちに与えたが、やがてこれが、角の持ち主の願いに応じてどのような食物・飲物でもつねにみちあふれてくるという有名な豊穣の角(コルヌー・コピアイ)となるのである。」ここに書かれた彼というのはゼウスのことです。(同上より) 時代をさかのぼりメソポタミアでは、この上半身がヤギで下半身が魚である不思議なヤギ魚の図像は、エア神とも言われているそうです。エア神は、地下にある真水の大洋と知恵の神とされているとのことです。巨大な鯉と牡山羊が合体した姿と言われているそうです。(『わかってきた星座神話の起源 古代メソポタミアの星座』近藤二郎 誠文社新光堂より) 研究会では、おなじようなバケモノとされている古事記のヤマタノオロチとテュフォンの共通点についての話題がはずみました。お酒が好きであること、それとおおもとが自然界であることなど、神話をひもといて行くと興味深いものが見えてきました。 ここに登場するパンは、たいへんに古い森の神のようです。タロットカードの15.悪魔のモデルになっているとも言われています。ギリシア神話に目を通しても良くわかりますが、征服された土地の古い宗教の神々は、みな邪悪な悪魔とされてきたのでした。 次回神話研究会は、2月10日(水)午後1時から、水瓶座になります。くわしいことはどうぞ《こちら》をご覧ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.06 15:23:26
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