終戦の日を前に。おぼまこと著 「ひでちゃんとよばないで」
こちら↓の絵本の作者・おぼまことさんは1937年日本統治下の台湾生まれの日本人。(ちなみに台湾生まれの日本人は湾生と呼ばれています。)おぼさんの幼い頃の体験をもとに書かれた絵本です。 + + + + + +おぼさんの幼い頃は戦時中であったものの・幸せな日々を過ごしていました。台湾で生まれ、台湾語も話し、当然のようにここが故郷であり生きてゆくと思っていたのですが、敗戦と同時に全てが崩れ去っていったそうです。おぼさんの父親は財産・土地・地位を失い、また幼かったおぼさんなりに大切なもの、美しいものを捨ててきたそう。。。この絵本の題名にもある「ひでちゃん」はおぼさんの初恋の人。「ひでちゃん」もおぼさんと同じく日本統治下の台湾で生まれ、おぼさんと同じように暮らしてきたのですが、お父さんが台湾人のひでちゃんは敗戦を境に「中国人」になり「ひでこ」ではなく中国名を与えられます。(終戦を境に「ひでちゃん」の服装が中華風に変わるなど、当時の様子が細かいところまで描かれております。)敗戦により台湾は中華民国の一部となり、中華民国政府は「日本人」と「台湾人」との間を遮断し、日本語の使用・日本人との接触を禁止した。それにより、「ひでちゃん」はおぼさんに対し冷たい態度をとらなくてはならなかったのですが、幼いおぼさんにはそれが理解できず・・・・・。。。 + + + + + +最後はほろっと泣かされる話です。戦時中が話しの大部分を占めているものの、血生臭い事は一切でてきません。「戦場」の外で起こった悲しい別れの物語です。日本に引き揚げなくてはならない幼いおぼさんはひでちゃんとの別れだけでなく家族の一員だった犬のムン・猫のミミとも別れなくてはならず・・・おぼさんの人生にとって一番最初の深い悲しみだったそう。犬のムンはこの絵本にもでてきますが、「ごめんねムン」という絵本としても出版されています。 + + + + + +「絵本」ですが・当時の闇市の様子や台湾らしい植物や田園風景が描かれており、台湾の地名もたくさんでてきます。台湾好きには是非一度手にとってもらいたい一冊です。 + + + + + +あとがきには10年ほど前、台湾に行った時にひでちゃんを探してみたけれどみつからなかった、とあります。あとがきが書かれたのは2003年。この絵本がきっかけとなり再会できていればいいな・・・、そう願わずにはいられません。絵本ですが、いろいろ考えさせてくれる一冊です。小さいこにはこの事情を理解するのが少し難しいかもしれませんが、いいお話しです + + + + + +台湾話し続きになってしまうのですが、次回は司馬遷太郎著 「街道をゆく40 台湾紀行」にも少し似たようなお話しがあったので紹介したいと思います。一人でも多くの方が台湾を知って、台湾を身近に感じてもらえますように・・・☆ + + + + + +最後に☆この絵本を紹介してくださったけろりーな姫さんありがとうございました。けろりーな姫さんはいつも新鮮な情報を届けてくださいます。これからも楽しみにしてますので