桃源郷
先週の火水木は、帰省していた。無愛想な姉が、私の帰省に合わせて有休を取ってくれた。水曜日に近場の温泉に連れて行ってもらった。母子3人で仲良く…とはならなかったが。姉はマイペース。母は高血圧で長湯出来ず。お湯に浸かるのはてんでバラバラ。食事は3人揃ったけど…。サウナと岩盤浴を合わせたような“ガマ風呂”に長居してしまった。なんだか頑張ってしまったのだ。こんな所で根性試さなくてもいいものを。すっかりのぼせた。私はアホだ。湯当たりしたらしく、その後頭痛に苛まれた。実家に帰ると、甥っ子が買ったドラムセットが届いた。大きなダンボールに2箱。これで全部収まるのか?と驚くほどバラバラに入っていた。甥っ子が器用に手早く組み立てるのを見学していた。面白かった。甥っ子の彼女がやってきたので退散~。ドラムの音がするのに甥っ子が降りてきた?彼女が叩いているらしい。甥っ子は、どれくらいうるさいかチェックしに来たのだった。甥っ子に頼まれて、私がドラムを叩く事になった。彼女に『叔母でぇ~す』と挨拶をして、いつも通り思いっきり叩いた。すると、甥っ子戻ってきて、悲壮な面持で『うるさい…』とつぶやいた。母と台所で思い出し、大笑いをしていると、姉が入ってきた。いきなり罵倒された。『下手くそだな。ただ暴力的に叩いているだけで音楽とは言えない。スクール行っててあの程度なのか。 バンドの仲間もよくあれで我慢しているな。』あまりの言葉の険しさに、背中がスーっと冷えて、体がこわばるのがわかった。何故?そんな事を言われなきゃならないんだ?大きなお世話じゃないのか?私はギタリストだ。ドラムをやっているのは、左腕の神経を痛めたからで…心と体のリハビリで…そもそも楽しいからドラムを叩いているのだ。下手の横好きで何が悪い?完全なる八つ当たりだ。姉は離婚して(だいぶ前だが)病気を理由にニートしていた居候の元夫が故郷に帰る事が決まった。経済的な事は知らないが、姉が二世帯住宅のローンを払う事になるだろう。不安は大きいと思う。悠々自適でドラムをやっている私が憎らしくなったのだろうか。家族として一緒に住んでいた時も…いつも姉からは、いわれのない暴言を吐かれていたのを思い出した。母も傍に居たのに『不器用で可愛そうな子なんだから誤解される。根は優しい子なのに。我慢しなさい』と言う。母の立場も分かるが…。腑に落ちない。姉は言い過ぎたと思ったのか、夜、自分の育てている植物を株分けしてくれた。それでチャラにしようなんて、ずるくないか?悪いと思うなら、きちんと謝罪すべきだ。私は言葉の暴力に傷ついた。実家から帰ってきて、ずっと泣いている。母にも失望した。メールも送っていない。離れて暮らしているうちに、家族ひとりひとりを美化していたのだ。あんなに家を出たかった若い頃…どんな精神状態で毎日を過していたのか…忘れていた。たまに帰るから、お客さんでいられるのだ。家族は何も変っていなかった。姉の横暴も。母の計算高さも。