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テーマ:暮らしを楽しむ(387495)
カテゴリ:エッセイ
どの年代の人々も今年のコロナ禍は辛かっただろう。
この夏は東京の感染者数が五千人を超える日々が続いた。ネットニュースが怖くなり、それに付随してメールを見るのも怖くなった。電話も郵便受けも怖い。 テレビは壊れていた。オリンピックなのだから買えばいいのにと周囲から言われたが、実はテレビも怖いのである。 娘と食事を一緒にするのも気が進まない。それが理由ではないが、娘はこの夏に家を出た。いないのは寂しいが私はもう何も受け付けない。しかし、仕事には行っていた。 友達と電話で話していても止めどない愚痴を聞かされる立場を思うと、申し訳なくなる。 電話カウンセリングというものを受けてみた。お金を払うわけだから愚痴を言ってもいいのかなという思いだった。私が何もかも怖くて動けないのはエネルギーが枯渇しているからではないかと言われた。エネルギーを補給したらいいらしいのだが、仕事以外は引きこもらざるを得ない。 家でできることをやってみた。 ジムに行けないのでオンラインフィットネスを始めた。 パソコン画面の向こうからインストラクターが満面の笑みを浮かべながらテンション高く、ダンスやヨガ、体操をやってくれる。リビングの一角でヨガマットを敷き、動いてみる。 インストラクターの笑顔には癒された。この人たちもまさか、こんなふうに機械を挟んで運動を教えることになるとは思わなかっただろうし、どういう生徒がどのように反応しているのかわからないのだから不安だろう。笑顔を向けるというのは受けている側の不安を思いやってくれているからに違いない。ありがたく笑顔をいただき、ドスドスと床を壊しそうな音を立てながら真似をして必死に踊った。汗をかくというのはストレス解消に大きな効果をもたらす。 しかし、本格的な運動をオンラインでやることの限界はわかった。 家の中の運動だけだったので三ヵ月で三キロ体重が増えてしまった。昨年同様のコロナ太りである。 緊急事態宣言の明けた十月。ずっと籠の中にいたようなものなのでいきなり扉を開けられても動くに動けない思いだ。しばらくは行動制限もかからなくなるだろう。そんなことを言うと都知事がまた怒るだろうけれど。 精一杯の反抗でツイッターにつぶやいたにわか川柳。 自粛続け 咲き誇る百合に目を背け コロナ脳 風邪はひかぬが心病む 気が付けば 孤独に自粛 我一人 オリンピック 神風吹いて デルタ株 デルタ株 オリンピックで 黒メダル 自粛して 外飲みやめたら キッチンドリンカー いつもは反応のない私のツイッターだがこの川柳はいつものつぶやきより注目を集めた。少し面白くなった。愚痴を長々というより濃縮して皮肉を込めて川柳を作る方がエネルギーの使い方としては良いのではないか。少しずつ元気になってきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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