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田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2023.05.16
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カテゴリ:モンゴルと中国
モンゴル滞在の著名作家、中国の警察が拘束?という記事を見て、一瞬、また「モンゴルと内モンゴルの違いも良くわからない海外の記事」かと思ったのでした。ですが、ちゃんと読むと全然違います。

「中国の警察当局」が、「モンゴルに滞在」していた「内モンゴル自治区出身の」著名作家であるラムジャブ・ボルジギン氏を拘束し、中国に連れ戻したとあるのです。つまり、中国にとってはモンゴル国内も中国国内と同じように、自分たちの警察権が行使できる場所だと思っているということです。

これに関する日本での情報が限られているので、モンゴル国内での批評に関しては分かりませんが、モンゴル政府はこのようなことを許していいのでしょうか?

記事は「ボルジギン氏が首都ウランバートルで、車両2台に分乗した中国の警察当局者4人に拘束されたとしている。」「陸路で中国に連れ戻され、現在は自治区のシリンホトにいるとの見方が出ている」とあります。これはまさに警察権そのものです。

日本の警察だって、フィリピンに滞在中の犯人たちを捕まえたいと思っても、自ら警察権の行使を外国ではできないため、フィリピン政府にお願いしてなんとか逮捕にこぎつけたのです。逆に言えば、警察権の範囲が、その国の管轄権の範囲ともいえるのです。

ウランバートルの非政府組織(NGO)関係者はボルジギン氏が今年に入って中国から出国し、ウランバートルに滞在していたと明かしました。この関係者が4月上旬に電話で話した際、「中国には戻りたくない。自由な国で本を書きたい」と新たな書籍の執筆意欲を語っていたと言います。

ボルジギン氏は中国で2019年、中国の「文化大革命」(1966~76年)に関する著作を問題視され、中国の裁判所で有罪判決を受けた、のだそうです。一種の亡命なのかもしれません。

私はこの記事を読んで、徳王(モンゴル名デムチュクドンロブ(Дэмчигдонров)のことを思い出しました。本ブログの2022年10月25日、26日付けで書いたものです。それによると、内モンゴルとモンゴル人民共和国の南北統一を夢見たと内モンゴルの徳王は、1949年徳王を主席とする「モンゴル自治政府」を内モンゴルで発足させました。

そして当時すでに「独立国」であった(はずの)モンゴル人民共和国のトップであったチョイバルサンと接触し了解を得て、遂にモンゴル人民共和国に亡命し、ウランバートルに到着したのでした。

ですが、結局、中国やソ連にの干渉によって徳王は中国に連れ戻されたのです。当然、国家分裂を企てた徳王は有罪となり、中国で禁固刑となりました。

どうですか?「ボルギジン氏がモンゴル国という自由な国で作家活動をしたい」「徳王が南北統一のためにウランバートルへやって来た」のに、結局は中国に連れ戻されたという事実は、何も変わっていないのです。

徳王の時代は社会主義ですから仕方なかったと言えるかもしれません。ですが、それから70年以上もたった自由主義のモンゴルも結局は中国に逆らえないということなのでしょうか?

モンゴルは本当に独立国なのでしょうか?モンゴル人は「内モンゴルとは違う!我々は中国には干渉されない!」と言いますが、本当にそうなのでしょうか?

かくいう日本だって、中国警察が既に日本国内にあるとの話もあります。陸続きではないので、身柄拘束してそのまま連れ去るのは簡単ではないでしょうが、北朝鮮のように海岸から拉致することはできます。日本政府も、この問題をもっと掘り下げて問題意識を持ってほしいと思います。

モンゴルも最早安全な場所ではないのでしょうか?ちょっと怖い気がしますね。





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Last updated  2023.05.17 16:44:29
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