リュンポリス

猿の惑星：新世紀を観に行ってきました！
この映画は海外でも非常に高評価でしたが、その評判通り極めて質の高い映画でした！
※ネタバレ注意



猿もとうとう、人間への道を歩み始めましたね～。テクノロジーに踊らされ、仲間割れで勝手に数を減らしていった人類同様、猿も同族殺しをするようになってしまいました。
キャッチフレーズの「心も、進化した」は、悪い意味で進化したってことが明らかになりましたね。笑
この展開には面食らいました。てっきり、「人類を争いを好む悪者として描き、少数派の良い人間と猿たちが戦争を食い止めようとするものの、人類の暴走で戦争が勃発」という展開だと思ってました。昔に観たのであまり記憶がありませんが、創世記では人間が愚かさの象徴として描かれていたと思うので、まさか猿までも人間に似た愚かさを露呈するようになるとは・・・。
「エイプはエイプを殺さない」という宣言虚しく、シーザーも最終的にはコバを殺してますからね。そして人類VS猿の戦争は本格的に勃発してしまい、もう後に引けない状況に。全て人類との戦争を目論んで暴走したコバが悪いんですが、元をたどればコバを虐待した人間が悪いわけで・・・。

この映画は、憎しみの連鎖を壮大に描き切っていると思います。もしコバが暴走しなければ、人類と猿は共存できたかもしれません。しかしコバは自らの憎悪を消化できず、なんとか人類への復讐を企みます。その結果、猿史上初の同族殺しをしてしまいます。
猿の特攻により、人間たちは大パニック。猿が一番忌み嫌っていた、争いと愚かさの象徴でもある銃を使って人間を掃討するとは、なかなか皮肉が効いていますね。憎しみの暴走は悲劇を招き、更なる憎しみを植え付けます。シーザーの言う通り、人類はこれから報復攻撃を始めるでしょうし、その報復攻撃によって猿たちも人間への憎悪をより増していきます。こうして、平和とはどんどん程遠い状況になっていくのでしょう。
創世記とは違い、憎悪と悲嘆への道に歩み出したのは、猿からでした。猿は特別と思っていたシーザーもこれにはガックシ。人間と同様、猿も同族殺しの罪を背負ってしまったわけですからね。まぁ、自然界には同族殺しなんてありふれていますし、当然といえば当然ですが。人間の愚かさもただの自然の摂理、そう自虐的になるでないというメッセージがあるのかもしれませんね。

人間の愚かさが際立っていた前作とは違い、今作は猿の愚かさにも焦点を当てており、なおかつ憎しみの連鎖がダイナミックに描かれていて、非常にスリリングな作品でした！
文句無しの傑作です。