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2018.03.10
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カテゴリ:映画
​​​​​​​アメリカで空前の大ヒットを記録している『ブラックパンサー』。ヒーローのオリジンモノとしては、史上最高の興行収入を叩き出しているのではないでしょうか。一世を風靡した『ワンダーウーマン』を軽く飛び越え、あの『スターウォーズ:最後のジェダイ』にも肉薄する成績を打ち立てています。『ブラックパンサー』ブームはもはや社会現象になっており、興行収入10億ドルを超えるのも時間の問題でしょう。これほどまでに大ヒットした『ブラックパンサー』ですから、マーベル好きとしては観ないわけにはいきません!
※ネタバレ注意!


『ブラックパンサー』を一言で形容するなら、まさに「新世代」のヒーローです。それは人種的に新しいというだけではありません。『ブラックパンサー』ほど社会的メッセージが重厚に内包されたヒーロー映画は、今まで存在しませんでした。
この作品のテーマは、現代の複雑な社会情勢を反映しているがために、極めて社会的・政治的なものとなっています。それは、「持つモノ」と「持たざるモノ」の対立です。
ブラックパンサーであるティ・チャラ王の治めるワカンダ王国は、ヴィブラニウムという宇宙的超合金を豊富に保有しており、他国とは一線を画した超高度な文明を保持しています。あらゆる攻撃を弾くキャプテン・アメリカの盾がヴィブラニウム製として有名ですが、それほど強力な金属が腐るほどあるのですから、間違いなく地球最強の国家でしょう。そんなワカンダ王国が取っていた政策は、「国際社会から孤立すること」でした。
ヴィブラニウムは核にも勝る戦略兵器であり、言わばヒッタイト王国における鉄のようなものです。それを使って世界征服することもできますが、頭の良いワカンダ人たちは、拡張政策がいずれ綻びを生むことを知っていました。アリストテレスの理想国家の条件である「自給自足が達成できる程度の大きさ」を従順に守っていたんですね。だからこそ、ヴィブラニウムを国際競争に巻き込まないために、「ワカンダ王国は第三世界の取るに足らない発展途上国」という偽の情報を世界中に流布し、徹底的な情報統制を実施しました。そして、世界中のあらゆる事件から目を背け続けたのです。例え、ワカンダ人たちと同じ「黒人」が、世界中で奴隷として酷使されようとも、差別されようとも、何も手を差し伸べず、ただ隠れながら傍観するだけだったのです。

「難民は面倒ごとを持ち込むだけだ」ウカビの一言は、ワカンダ王国の自国第一主義を、現実の国際社会に適用させます。「黒人が迫害されていた時に、お前たちは何をしていた」キルモンガーの怒りは、決してマーベル・シネマティック・ユニバースだけのフィクションではありません。ナショナリズムか、グローバリズムか。この問いは、トランプ大統領がアメリカ・ファーストを掲げてから、極めてコントラバーシャルな議題と言えるでしょう。事実、ティ・チャラも国王としてこの問いに悩み続けます。

今までのヒーローも苦悩に満ちていましたが、あくまでも「個人」ベースの悩みでした。自らの称号に「アメリカ」の名を刻むキャプテン・アメリカでさえ、『シビルウォー』で国際協定に反したように、国を顧みることは殆どありませんでした。国王として、自国民を幸福にしなければならない責任を背負うヒーローとして、ここまで真っ向から政治にぶつかったヒーローは、ブラックパンサーが初めてではないでしょうか。

ティ・チャラが最後に出した答えは、ナショナリズムではなく、グローバリズムでした。ワカンダ王国は、「持つモノ」としての責任を世界規模で背負うと決意したのです。「賢者は橋を架け、愚者は壁を作る」これほど痛烈で明確な政治批判があるでしょうか。あらゆるものが繋がる社会で、自国だけに目を向けることはできません。全てが全てに連鎖する時代。ティ・チャラはそれを見据えていたのかもしれません。

このように、『ブラックパンサー』はヒーロー映画としては珍しく、極めて社会派の映画でした。「黒人ヒーロー」にばかりスポットライトが当てられている今作ですが、本作が社会現象と化した真の要因は、現代に即した社会的メッセージにあるのかもしれません。​​​​​​​





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Last updated  2018.03.10 23:26:42
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