【セカンド冒険紀――第3部――第29章】
【――光と闇――】『あらすじ』黒龍との決戦からまもなく一時終演した戦い。その戦いによって傷ついた大勢のハンター、そして銀火竜。だが戦いはまだ終わってはいない。戦場を灼熱の地へと移した黒龍はその地でさらなる力を手に入れていた。ROADらも一時安全地で準備を行い、そして最後の戦いに向けて――そして始まる最終決戦。ついに始まる未来をかけた戦い。だが始まってまもなくROADらに黒龍の魔の手が忍び寄る。強力な力の前に再び窮地へと追い込まれるハンター達だが、その時上空から黄金の輝きが舞い降りた。ついに始まる今までにない激戦。「あれが・・金色のリオレイア・・」それは奇跡としか言いようのない出来事であっただろう。大空より突如舞い降りた黄金の輝き。それは間違いなく銀色の火竜に対をなす火竜の頂点に君臨する存在だ。何故今になってその姿を現したかというと、それはきっと銀色の火竜のおかげであるのだとROADはすぐにそう感じた。ROADらハンター達に命をかけてまでも協力してくれた銀色の火竜。きっと彼が黒龍を倒すために備えたのであろう。《我ら火竜がそなたら人間に力を貸すなど当然あってはならぬこと・・しかしこの世界は誰のものでもない・・それを奪おうとする“やつ”は我々にとっても敵だ・・グオォオオ》そう金火竜はROADらに伝えた。彼らは自分たちの意志で黒龍を倒すつもりなのだろう。だがそれがどうであれ、今この状況ではROADらにとって何より頼もしい仲間であった。それが敵に回せばどれだけ恐ろしい存在であったとしても。「よし、俺達も行こう。必ずこの戦いで終わらせる」ROADはそう言うと封龍剣【超滅一門】を握りしめ駆け出した。それに続いてギルド部隊隊長オルゴンが龍騎槍ゲイボルガを構える。さらに後方には今までにROADと知り合った何人かの強豪達が構えていた。今最後の戦いが始まる。《グオォオオ・・・コシャクナァ・・》黒龍の強烈な咆哮が鳴り響いたかと思うと、遥か上空より灼熱の隕石が降り注いだ。「くっ・・これだけは避けるしか・・・」その攻撃の前にはROADらはやはり防戦一方であった。だが最初とは違い、強き仲間がいる。《チュドーーーン》地上より放たれる熱線。それはまさしく黒い鎧竜グラビモスによる攻撃であった。マグマに身を包みながら、熱線をいつでも放てる様に体勢を整えているかのようだ。《オノレ・・》黒龍も体勢を整えそれを回避する。《グオォオオ》だが第2の攻撃が黒龍を追撃した。金色の槍が黒龍へと激突。《ドシャーーン》強烈な一撃だ。金火竜のその素早い身のこなしにはさすがの黒龍も回避が遅れ直撃した模様だ。さらにそれによって墜落する黒龍を待ちかまえるのは漆黒の双角。砂漠の覇者ディアブロスだ。《ゴォオオオ》巨大な双角を突き出し、墜ちてくる黒龍へ突進する。《ドシャーーー》「凄い・・これが飛竜達の力・・ですか・・」「全く・・敵に回したくないぜコリャァ・・」リーゼルらがその光景を呆然と見ながら呟いた。ROADも先ほどまでは防戦一方であったものの、この状況を前に飛竜達だけでもいけるなどと思う様にもなっていた。《グオォオオ・・ヒリュウメガ・・ワレニタテツクナドユルセヌゾォ・・グオォオオ》崩れ散った岩肌より再び立ち上がる黒龍。敵もまた強大であった。まだまだこれからと言った様子だ。《グオォオオ》黒龍の口元が赤く染まるとあの灼熱のブレスが放たれた。黒いディアブロスがそれを掠めた様で、その威力に怯んでいる。激しい飛竜達の戦い。ROADらに出る幕はなさそうに見えたが、しかしこのままではいけないとROADは思った。「俺達も・・戦わなきゃ・・このまま見てるだけなんて・・他のみんなに示しが付かない・・」ROADは拳を強く握り、止まっていた足を動かすと再び駆け出した。「そうこなくてはなっ、レノン頼むぞ」オルゴンもそれに続く。そして後方よりギルドガンナー部隊が構えた。レノンが神ヶ島を抱え、先頭に立つ。《パシュパシュ》放たれたのは麻痺弾だ。不意を突かれた黒龍にそれが命中する。《グオォオ・・グオォオ》命中した麻痺弾の効力が効き始め、黒龍の身動きが止まった。「食らえっ」ROADの背より振り下ろされる龍殺しの剣。《ガキン》刃先が頭部を斬りつけるがやはり斬ることは無理であった。だが確実に龍属性の威力が炸裂する。「ソリャーー」それに続いてオルゴンの槍が翼を貫く。彼の防具はブレイブ同様、斬れ味上昇効果があった。そしてギルド部隊のソルドがギルドナイトセイバーを、その弟のシオンが封龍剣【超絶一門】を構え、黒龍の懐に入った。「乱舞っ」《ザシュザシュザシュ》素早い乱舞攻撃が黒龍の腹部に炸裂。「麻痺が切れるぞ」オルゴンがそう言い、さっと後方へ跳ぶROAD達。そして再び翼を広げる黒龍に《ドカンッドカンッ》後方より放たれた拡散弾が炸裂する。《グオォオ・・・ニンゲンドモガァ》《バサバサバサッ》翼を羽ばたかせ大空へと飛び立つ黒龍。そして再び上空より隕石を放つ。《チュドーーン》それに目がけて再びグラビモスの熱線が放たれるが、しかし同じ手は通用せんとばかりに邪悪なオーラが盾となってそれを消し去った。《グオォオオ》再び黒龍は咆哮を放ち、降り注がれる隕石。飛竜達もさすがにその攻撃に怯んでいる。だが金色のリオレイアは別であった。大空を舞い、見事にそれを避けながら黒龍に接近していく。《キンイロノヒリュウ・・キサマモコレデオワリダ》黒龍もそれを食らうまいと周囲の邪悪な闇を槍状に、銀色の火竜を襲った時同様それを撃ち放った。無数の黒いオーラの槍。それが金色の火竜に向かっていく。《・・・ヤミナドオソレヌ》しかし金色の火竜は闇の力を前に突撃する。全身に目映い光をまとい、黄金の槍と化して黒龍へと突撃した。《ドシャーーーン》光と闇、互いに強烈な一撃が宙でぶつかる。「おいっ・・あれ・・」皆の目に映ったのは落下していく火竜の姿。「くっ・・黒龍の方が勝ったのか」ROADらに不安が過ぎる。だが上空では翼の折れた黒龍の姿があった。少し遅れて黒龍も落下した。《ドシャーー》倒れ込む金色の火竜。グラビモスとディアブロスの両者もその姿を前に共感し、黒龍に向けて激震する。「俺達も行くぞっ」オルゴンが走り出す。「あぁ」ROADもそれに続くが、《グオォオオ》直ぐさま黒龍は起きあがった。《ワレ・・ヤミノチカラヲモッテコノセカイヲアンコクニミチビクモノ・・キサマラナドニジャマサレハシナイ・・》《ゴオォオオ》ディアブロスが突進する。がしかし黒龍はそれを受け止めた。「なっ?!」あの強烈な突進をいとも簡単に止めた黒龍。そして《ブオォオオ》またも放たれる灼熱のブレス。確実にそれはディアブロスに命中した。《ゴォオ・・》倒れ込む飛竜。その後方よりグラビモスが熱線を放つが。「グオォオ・・コザカシイィワ」それも邪悪な盾が防ぎ、そして再び槍状と化したそれが黒い鎧を貫いていく。《グオォオ》一気に倒れ込む3体の飛竜。「くっ・・やはり強い・・・」その邪悪な姿はこの短時間で進化したのだろう。闇の力に加えられた灼熱の力。黒龍の体は黒くも紅蓮に燃え上がり、今にもその力が世界を覆うかの様であった。「くそぉ」またしても絶体絶命のROAD達。「ふむ・・やつめ・・火山の力をも手に入れおったか・・」「くっ・・ミラポレアス・・いや・・ミラバルカンと言った所か・・だが・・」そんなROADらの元についに辿り着いたのはマスターとブレイブであった。「俺様の真・黒龍槍の前に果てな・・」《グオォオオオ》『続く』◎ついに次回最終章。辿り着いたブレイブとマスター。ROADらに勝機はあるのだろうか。そして世界を救うことはできるのだろうか。ついにクライマックス。