ねね1歳♀
2022年11月12日。
「今日は両親の結婚記念日だったな。」
そんなことを思いながら夕方5時ごろ車を走らせていると、とある交差点を過ぎたあたりで対向車線が渋滞していました。
一番前の軽自動車には母子が乗っていて、困った顔をしつつもフロントガラスの向こうをのぞき込んでいます。
二人の視線の先を目で追うと小さい何かが轍の辺りで蹲っていました。
すれ違いざま、それが仔猫であることを確認。
何とか轢かれずにいてくれよ、と祈りながらUターンして渋滞の最後尾に車を付けました。
幸い渋滞の車はのろのろと仔猫を避けて行き、路肩へ車を停車させた私はそこで初めて仔猫がなぜ蹲っていたのか知ることとなります。
轢かれてぺちゃんこになった小動物を引っぺがして食べようとしていたのです。
それが何かも分からないほどでしたが、仔猫は執拗に食べようとしています。
車が迫っても逃げようともせず、一心不乱に目の前の「煎餅」に夢中でした。
母猫は周囲にはいません。
ともかく保護しないことには煎餅を食べるが先か仔猫が煎餅になるか時間の問題です。
私としたことが気が逸り手を無防備に出してしまったので保護時に引っかかれてしまいましたが、コートで包んで動物病院へ。
体が暖かくなったからか仔猫はウトウトし始めました。
明日は寒波が流れ込み今季初の氷点下、そんな折でした。
動物病院までの移動時間を逆算したら営業時間ギリギリです。
掛かりつけの病院へ連絡し、状況を話して診察していただいたところ感染性の病気はとりあえず無さそうだととお墨付きを頂きアパートへ連れ帰りましたが、そこからがまた一仕事。
このころ最高齢のチョビは体調を崩していて自宅で毎日補液をしていました。
仔猫の寄生虫は未確認でしたし、まだ何を持っているかも様子見の段階です。
当時4匹いた先住猫とは暫く一緒にはできません。当然同じトイレの使用はNGです。
急遽ゲージを納戸に組み立てて隔離し、この日やっと落ち着いての「初めまして」になりました。
仔猫は人に慣れておらず暫く威嚇していました。
それも日に日に慣れたものの未だ甘噛みの加減が分からず私は今でも流血することがあります。
引っ掛かれたり咬まれたり。消毒のために通院する事、延べ1,5ヶ月。
保険会社からも「気を付けて可愛がってあげてくださいね」と言われる始末で私の足には咬まれたときに出来た牙の痕が左右に4つずつ付いています。
先住猫も今ではジョイのみとなりましたが、どうしても二匹の性格が合わず、ジョイがストレス過多になってしまったことから各フロアで仕切り対面させず飼養することにしました。
嘗ての先住猫達の中にも反りの合わない子たちは居ましたが、彼らのように顔を合わせるたびに取っ組み合いをするのではどうにもなりません。
室内の環境や動線も配慮し、ストレスを発散するように心がけてみましたが猫にも相性があります。
怖がりで高齢のジョイと負けん気の強い若いねねでは当然のことかもしれません。
今はドア越しに互いの気配に気づいて唸ることはありますが、ジョイもストレスで以前のように体調に支障をきたすことは無くなりました。
昨今は動物を扱う番組が増えました。
複数飼いは互いに良い効果を得られることもありますが、新しい家族を迎える際にはそうでない場合もあることを頭の片隅にほんの少しでよいので置いていただければと思います。
また保護した当初は里親を探すつもりでいたねねでしたが彼女の噛み癖を治すことは困難でした。
かく言う私でさえ毎日毎日ピンセットでドレナージュ用のガーゼを傷口にぐいぐいと詰め込まれることにいいかげん辟易としたほどです。
人によってはこんな猫は保健所へと言うのかもしれません。
しかし早くに母猫と離れて自立しなければならず、この子なりに生きる知恵を付けた結果が咬む行為だったに過ぎないのです。
咬まれたらダメ!と言い無視するなど根気よく気長に対峙した結果、現在は曲がりなりにも何とかコントロールして行けるまでになりました。動物は話せない分、何を要求しているのか何を訴えているのかこちらが汲み取ってやらねばならないのです。
写真は先週、遊んでほしくてPCの電源ボタンを右後脚で長押しし、強制終了させ「もっと遊んで」と迫っている時のねねです。