16歳シーズー(雰囲気作り)
『雰囲気作り』 ボク 今日で16歳7ヶ月と26日(1992.8.1生) 「ボク気どりやだから 見えるふり してまーす」 もん太はこうやってカメラ目線でしっかりこっちを見つめている。が、実のところほとんど見えていない。病院の先生曰くは「視力は右目の下と、左目の上の方に僅かばかり残っているようだ」と。で、どの程度? と伺いたいところを、それはもん太にしか分からないことと思い、やめた。実際には左目の上方向で物をチラつかせても全く反応を示さないし、右の目の幾分かの反応も、物体としての認知というよりは、動く影として捉えているような感じである。ただそんな目の状況でありながら、このもん太はソファへの昇り降りや、イステーブルの下でコツンコツンはするが、スラローム宜しく上手くかわして歩くのである。トイレの場所はたまに外すこともあるがこれはまだ大丈夫のようだ。そうかと思えばゴハン時、嗅覚も完全に鈍っているせいもあって食器に上手くたどり着けない。結局我々がリードしてあげることになる。ところでそのリードだが、体に触れてはいけないようだ。視聴嗅覚が鈍るとその接触の意味を掴めないようだ。接触は警戒心を呼び起こしてしまうようで、我々はそのことをよく理解して上げなければいけない。我々人間に置き換えても分かること。だからたとえ見えずともその目の前で我々はパフォーマンスを繰り返してやり、耳は聞こえずともその耳元で励ましの声を掛けてあげるといった雰囲作り、状況作りこそが大事であると思える。もん太にいまそのことを教わっている最中だ。