テーマ:映画館で観た映画(8532)
カテゴリ:映画
■監督・脚本・製作 ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ ■出演 ジェレミー・レニエ/デボラ・フランソワ ■ストーリー 20歳の青年ブリュノ(ジェレミー・レニエ)は定職にも就かず、ひったくりなどでその日暮らしの日々。やることなすこと行き当たりばったり。そんなブリュノは、18歳の恋人ソニア(デボラ・フランソワ)が自分の子供を産んだとういのに父親としての自覚どころか関心さえ示そうとしない。そしてある時、ブリュノは深い考えもなしにその子供を売り捌いてしまうのだった…。 映画を見る前は、タイトルの『ある子供』は赤ちゃんのことを指していると思ってたけど 実際はブリュノのことだったのよね。 彼は20才だというのに、思考回路は子供と同じ。 やりたいことをやって、怒られたら母親に甘えるかのように恋人に擦り寄る。 自分の子供を売った後にさえ、恋人に「また産めばいい」と平気で言う。 悪意がないだけに、なおさら始末に終えないのかも。 この映画、最初から最後まで、不安で不安でしかたなかった。 BGMがなく、街の雑踏、風の音、クラクション、全てが耳に張り付いて 特に、暗がりで札束を数えるカサカサとした音が、なんだかとても怖かった。 彼はこのまま、ただ転落していくだけなのかしら?と。 でも、ラストに救いがあったわね。 これまで自分のことばかりだったのが、痛みを知って、一方的ではなく 他人を思いやる気持ちを、多少なりとも持ち始めたこと。 だからと言って、彼らの今後に、明るい未来が訪れるかどうかは…。 ただ、エンディングは監督の優しさなのでしょうか。 現在のベルギー、若年層の失業率が20%を超えるそう。 若者が定職に付くことなく、明日の希望も薄いままで過ごさざるを得ないのなら ブリュノのような無自覚な青年は、珍しくないのかも。 この映画は、現実に起こっている話なのかもしれない。 だからこそ私には、どんなサスペンス映画よりも、怖かった。 ダルデンヌ兄弟の作品、当分見ないでおこう。 私にはちと、苦しいわ…。 『ある子供』公式HP お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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