テーマ:映画館で観た映画(8529)
カテゴリ:映画
■原題 Le scaphandre et le papillon ■監督 ジュリアン・シュナーベル ■脚本 ロナルド・ハーウッド ■音楽 ポール・カンテロン ■出演 マチュー・アマルリック/マリ=ジョゼ・クローズ /アンヌ・コンシニ ■ストーリー ファッション誌「ELLE」の編集者のジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は脳梗塞に倒れ、全身が麻痺して動かなくなるという、ロックト・インシンドローム《閉じ込め症候群》に陥ってしまう。意識ははっきりしているにもかかわらず言葉を発することができない彼に、言語療法士のアンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)はまばたきでコミュニケーションを取る方法を教える。絶望状態の中でも、周りの人々に支えられた彼は、唯一動く左目を使って、自分の半生をつづり始めていく。 42歳で脳梗塞に倒れ、20万回もの左目のまばたきだけで綴った男の、自伝小説の映画化。 冒頭から、ジョン=ドーの目線からなる映像と音に、ちょいと船酔い気分。 でも、そのカメラワークだからこそ、いつの間にか彼に同化し 時に怒り、時に笑い、時に嘆くジャン=ドーの繊細な心情が 真っ直ぐに伝えられてきて、心にシンと入ってくるの。 左目の瞬きだけが、彼の唯一の伝達手段だなんて。 そんなもどかしくて悲惨な状況なのに、悲嘆にくれることなく 持ち前のユーモアと、機知に富んだ想像力で、イキイキと輝いてるの。 チクチクと、無造作に縫いあげられていく右目まぶたに、イテテ。 美人の療法士たちを前に、手を出せなくて、チクショー。 せっかく見ていたサッカー中継のTVを、勝手に消されてしまっって、ガッカリ。 電話を取り付けに来た人の、療法士に言ったジョークに、ニヤリ。 何も出来ず、赤ちゃんのように体を洗われる自分に、憤りを感じつつも そんな自分を見つめる視線は、ふんわりと優しく、こちらもウフフとなってしまう。 「E,S,A,R・・・」と繰り返すアルファベットも、詩的な響きが耳に心地よく ジャン=ドーの視界に入り、彼の意思を読もうとする人々の、真剣な眼差しが胸を打つ。 もし自分が、同じ境遇となってしまったら、彼のように生きるのは難しいな。 でも、もし家族がなってしまったら、彼らのように献身的になれるといいな。 ジャン=ドー役のマチュー・アマルリック、私にとって「はじめまして」の人。 だけどすっかり、彼のチャーミングさに心奪われてしまいました。(笑) 次回の007シリーズで、悪役で出演されるとのこと。楽しみ♪ 最初は主演に、ジョニー・ディップが決まっていたらしいのですが 彼のスケジュールが合わず、フランス人のマチューに変更されたそう。 ジョニデはとても好きだけど、この役はマチューでしか有り得ない気がする。 それにジョニデが主演となると、言語も英語ということよね? やはりこの作品の言語は、フランス語であるからこそ素敵なのだと思うのですわ。 タイトルの通り、水中の潜水服を着たように、自由の利かない身体でも 心は、これまでの記憶と想像力で、蝶のように羽を広げ、自由に世界を飛びまわる。 決して押しつけがましくなく、どこぞのお涙頂戴モノでもない、珠玉のフランス映画。 映像と声と音と、ジャン=ドーが見つめた世界を、ご堪能くださいませ。 酔いどれのトム・ウェイツも、聴かせてくれますわぁ~。オススメ!! 『潜水服は蝶の夢を見る』公式HP お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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