テーマ:映画館で観た映画(8530)
カテゴリ:映画
■原作 パトリック・ジュースキント ■監督・脚本・音楽 トム・ティクヴァ ■出演 ベン・ウィショー/ダスティン・ホフマン /アラン・リックマン/ジョン・ハート(ナレーション) ■ストーリー 18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。危うく捨てられかけた赤ん坊は、間一髪で拾われ、ジャン=パティスト・グルヌイユと名付けられて育児所に引き取られる。グルヌイユは友だちもいない孤独な子どもだったが、何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける超人的な嗅覚の持ち主だった。やがて青年となったグルヌイユ(ベン・ウィショー)は、ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり、誤って殺してしまう。以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りするのだが…。 グルヌイユの世界に浸り、映像から匂いすら漂う錯覚。 原作を知らず、あまりにも無防備に観てしまった自分に叱咤。 パリを舞台にと聞いて、最近観た『マリーアントワネット』を想像し パフュームの香り漂う、煌びやかな世界が映し出されるのかと。 だのに、出だしから、ガーンと頭を殴られましたわよ。 18世紀のパリの街といえば、まだ何も整備されない汚臭漂う雑多な世界。 そこらじゅうに蛆の湧いた魚や、それを狙う野犬や鼠。 陰鬱としたグロめの映像に、怖いもの見たさ的に目が釘付け。 そこで産み落とされた、驚異的な嗅覚に恵まれた赤ん坊。ギャオス。 最初に認識した臭いは、、、と想像するだけで、鼻をつまみたくなるわ。 全体的にトーンの暗い映像に、湿気を帯びたモヤっとした空気。 暗闇の中にボワァっと映し出される、赤や黄、少女の肌の色が艶かしく素敵。 ラスト近くの広場での群集の映像は、不思議な感覚を覚えたわ。 今回はあえて修正なしなのか、それがかえってイヤラシサを感じさせない。 それよりも、あれほどにまで影響を持つ彼の究極の香水とは いったいどんな香りなんだろうと、視覚より嗅覚が優先されてしまったわ。 ラストには、ちょっと「えっ。。。」と、物足りなさも感じつつ 異常なまでに香りに執着した彼の、純粋さゆえの結果だったのだと、 傲慢さのない我儘がうんだ悲劇だったのだと、納得しましたわ。 監督やホフマンにその演技を大絶賛された、グルヌイル役のベン・ウィッシャー。 深く、深く、ニオイを嗅ぎとる姿は、しなやかな別の生き物のようで、怖いの。 初めて嗅ぐ美しい匂いを持つ少女を、何の罪悪感もなく殺してしまった後 心から欲していた香りが、どんどんなくなってしまい、それを必死で 嗅ぎこもうとする姿が、とても切なく、とても恐ろしい。 貪欲に自分にとっての究極の香りを追い求め、それを手にした時、あぁ。 早いトコ、彼の普通の役を見ておかないと、、、。(ブルッ) ダスティン・ホフマンが意外な役で登場してきて、軽く失笑してしまった。 あのお顔に、白塗り&kルクル頭は、彼のイメージからかけ離れていて。 努力しても手に入れられないものを、一瞬にして作り出してしまう天才を前に 羨望と嫉妬のニオイは感じられなかったのよね。 それに比べ、アラン・リックマンは相変わらず素敵すぎ。(えこひいき) 必要以上に過保護な父親役が、思いのほか嵌ってるし、クルクル頭もお似合い。 ただね、彼なら娘可愛さに、他人に殺されるぐらいなら自分で殺してやる! って役なのかと思ってしまったのだけど、それは考えすぎでしたわね。(笑) で、そのアランに溺愛される娘役が、若干15歳のレイチェル・ハード=ウッドちゃん。 『ピーターパン』でウェンディーだった彼女が、すっかり美しき乙女に☆ シットリとしたお肌から、匂いたつような艶かしさがあって グルヌイユなくとも、どこまでも追いかけちゃいたくなりますって! 想像とは違ったけど、愛すべきファンタジー映画でございます。(多分) ですが、多少の覚悟を持って、臨まれることをお薦めしますわ。 『パフューム ~ある殺人の物語~ 』公式HP お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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