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テーマ:DVD映画鑑賞(13994)
カテゴリ:映画
『生きる』 黒澤明監督 志村喬主演 *注 ネタバレアリ とある市役所の市民課長が主人公(志村喬)。 時間ばかり気にして『お役所仕事』を地で行く勤務態度。 課長がこれですから部下の職員たちも右に同じ。 ところがある日、この課長が医者から胃がんであることを告げられます。 余命いくばくもなし。息子に病名を告げられず、 そして半ば自暴自棄となり、今までやったことないほどに遊びまくります。 (それまでは遊びなんて全くしない寡黙なタイプなんです) 人生初めての放蕩生活の果てに、初めて『生きる』ことの意味を発見します。 わしにも何か出来る・・・ やる気になりさえすれば・・・ そう、今までは何もせず単に日々をむなしく送っていただけだったのでした・・・ 黒澤監督の作品は、確か『乱』あたりから観はじめたような気がします。 他には『影武者』(面白いデス!)、『夢』『八月の狂想曲』と来て、 しばらくご無沙汰でした。 20代の半ば頃になってから、ようやく過去のモノクロ作品を観るようになった のですが、いやはや。ビックリでした。めっちゃ面白いんですよね。 『七人の侍』『天国と地獄』『用心棒』・・・どれも面白いったらありゃしない(笑) (但しモノクロ作品はDVDだとセリフが良く聴き取れなかったりしますが・・・) これらを観てはじめて、黒澤監督って、最高のエンターテインメント作品を 撮り続けた人だったんだと気付きましたねえ。 で、モノクロ作品にハマった頃に出会ったのが、この『生きる』。 地味~な印象でしたが、正直泣けました。志村喬が亡くなった祖父に似ていたから(笑) だけではなく、『真に生きるとはどういうことか』を考えさせられ、 胸に刻み込まされた作品でもありました。 やはり人生で一番影響を受けた作品の一つですね。 物語は話半ばで劇的に展開します。もう終わりか?と思ったところからが、 実はこの話の核心に迫っていくところなんですね~ その見せ方の手法が、さすが『羅生門』の黒澤監督!というところです。 私は後半は涙ポタポタ状態でツラかった(笑) 特に『夕日』と『ブランコ』(上の写真)のところ、ヤヴァイです。 印象的に使われる曲、『命短し恋せよ乙女~』もいたく涙腺を刺激されます。 あと、一番最後の市役所内のシーンは、別の意味で泣けました(笑) 思わず我が身を振り返り、襟を正さねばと思うところであります。 これはおすすめ出来る作品だと思います。 『ALWAYS』よりもちょっと前の時代が観れるのも面白いかも? そういえば、今回のアカデミー賞の方は、日本勢は惜しくも逃してしまいましたね。 私は第62回アカデミー賞(1989年度)の時を思い出しました。 そこにいたのは背の高い外国人を圧するほど長身の黒澤監督。 『アカデミー特別名誉賞』受賞。彼の長年の映画に対する貢献を表したものでした。 二人の『愛弟子』、ルーカスとスピルバーグがプレゼンターを務めました。 そこでの黒澤監督のスピーチが最高でした。 このような立派な賞を頂きましたが心配です。 なぜなら、私はまだ映画が良く分かっていない。 まだ映画というものをはっきりと掴んでいない気がするからです。 これからも映画という素晴らしいものを掴むために努力するつもりです。 それこそがこの賞に報いる唯一の方法だと思うからです・・・ この時、御年80歳。 なんと素晴らしい監督だったことでしょう。 あ、あと忘れるところでした。この『生きる』は、ハリウッドでリメイクされるそうです。 トム・ハンクス主演でニューヨークが舞台だとか。なんかビミョ~ですねえ。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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私が小学生の時に封切りされた映画でした。
大人になってから、もちろん見ましたが、今から思えば、黒澤監督の着眼点はすごいものだと思いました。 (2007.02.27 05:00:38)
黒澤映画いいですよね。
個人的には『隠し砦の三悪人』が好きですねスターウォーズの原形です。上原美佐は美人ですよ~ 『生きる』『七人の侍』『用心棒』もモチロンいいです! (2007.02.27 06:37:00)
凄い~と思ったのは『羅生門』ですね。
芥川龍之介の原作が凄いからというのもあるかもしれませんが、コントラストの強い白黒の画像が強烈でした。 好きなのは『どですかでん』です。 他のに比べると有名でもなく地味ですが、心に残る映画です。 (2007.02.27 10:04:19)
黒澤監督の映画は、暗い、イメージがあって、まだ、一度も見たことがないんです。でも、この日記を読ませていただいて、興味を持ちました!!ありがとうございます。今度、借りて見てみたいと思います。あと、併せてハリウッド版も見てみようっ!!
(2007.02.27 10:57:48)
黒澤作品は「今の私にはこんな大人の作品は理解が出来ないだろう」と思い込んだまま時が経っても、まだ見ていません。
そろそろ大丈夫でしょうか?? 借りてきてみてみます!! トム・ハンクス主演のリメイク版・・・私は彼は結構好きな俳優さんなので、楽しみです!! 見比べてみようかしら。。 (2007.02.27 11:26:27)
黒澤作品 観たことないんですよ^^;
「世界の黒澤」って辺りが 私の天邪鬼心を呼び覚まし 観ていない感じでした。 でも…それも若かったから(*^_^*) そろそろ素直な気持ちで見る事ができそうです。 良いタイミングでお薦めしていただきました。感謝(^_-)-☆ 「生きる」の市民課長…老いてからでも何かが出来る☆と気付かされるあたりに 黒澤さんのソウルが顕れているのでしょうか…。 老いても尚向上心を失わないおばあちゃんになりたいわ~☆ (2007.02.27 13:17:23)
モノクロ映画はまだみたことないです。。この映画良さそうですね~今度観てみたいと思います☆トムハンクスがするんですか~?どんな映画になるんでしょうね?!
(2007.02.27 17:47:18)
こんばんは かなり古い映画ですね~見たことはありませんが・・志村喬さんは知っています~
(2007.02.27 19:21:40)
私のブログの作品「死ぬまでにしたい10のこと」と、テーマは同じですが、捉え方は全然違いますね。
男女差?年齢差?日米差?米じゃなくてカナダだった。 (2007.02.27 23:56:53)
言い作品は時代を超えると言うことですね。現代の映画でどれくらいの作品が、30年後の鑑賞に堪えられるのでしょうか。ほとんどないような気もしますし、意外と残っているような気もします。
それにしても、何でもトム・ハンクスなんだなあ。日本でも一時の緒方拳や役所広司がそうでした。 (2007.02.28 00:51:15)
jupiter481110さん
そうですよね、主人公が初老の冴えない公務員で、 そこから話をあそこまで持っていくというのが面白かったですね。で、最後には、何をか成さねばという思いを持たせてくれるのが良かったです。 (2007.02.28 02:40:41)
デレク・ジータさん
わお!『隠し砦~』、実は未見なんす。後の楽しみにとっておいたんです(笑) 上原美佐いいっすか~ やっぱ観ないとイケナイっすよね~ でもそれ観たら『スターウォーズ』も観なきゃイケナイ気がするんですよね~(笑) (2007.02.28 02:43:53)
私は邦画を見ることがめったにないので、黒沢作品もほとんど観てません。(;´д`)トホホ
ただ、志村喬さんはすきでしたねぇ。ちょっと年がバレルかもしれませんが、昔TVで「お荷物小荷物」というドラマをやっていたのを知ってますか? 男ばかりの家族のところにお手伝いさんがやってきて、いろいろと事がおこるのですが、そのドラマの一家の主(祖父)役が「志村喬」さんだったんです。(お手伝いさんは中山千夏)子どもの時だったのですが、それで「志村喬」さんが大好きになりました。(ちょっとヘン?) (2007.02.28 02:45:47)
からす2006さん
監督はかなり完璧主義者だったらしいですよね。白黒でも(だからこそ?)映像には非常に拘っていたようです。ワンシーンで数ヶ月とか・・・いやはや凄いっす。 『どですかでん』は、タイトルからは全く何も想像つかなくて(笑)未見でした。『隠し砦』と一緒に観てみようかな~ 地味な作品も結構好きですんで。 (2007.02.28 02:47:16)
Disneyfanさん
私も若い頃はそうでしたよ。テーマも重そうでしたし。でも、『七人の侍』観て一気に虜になりました。第一級のエンタメですよ。面白いです。 リメイク版も気になりますよね。でも詳しい情報はまだあまりないですね。 (2007.02.28 02:49:54)
ぴゅあハートさん
そうですね、私も『乱』とか『夢』なんか最初の頃に観てしまったために、難解なイメージがありましたよ。でも、キッカケは『七人の侍』これっす! ぜひご覧下され。三船さんいい仕事してますよ。 ちなみに、『七人の侍』は後に『荒野の七人』に繋がってます。 (2007.02.28 02:53:42)
西の魔女1969さん
そうですよね、日本人の映画監督で誰か一人挙げよと言われれば、黒澤監督を挙げる人は多いのではないでしょうか? メジャー過ぎるかもです。 私も同様の理由で『ハリポタ』はおろか『ロードオブザリング』も観てないっす。スタッフにも『えぇ~?』と驚かれます(笑) これ観ると、よしやるぞ~っていう元気が出てきますね。 (2007.02.28 02:56:52)
あいたろう33さん
モノクロ映画は慣れてくると結構味わいがあっていいですよ。たまには良いかもですね。 リメイク版情報はまだ少なくて、いつ公開されるのかも良く分かりませんが、ちょっと気になりますよね~ (2007.02.28 02:59:47)
白い花7571さん
おお、志村喬出演映画を何かご覧になったんでしょうかね。改めて観ると良い役者さんですね。 『七人の侍』の時の侍のまとめ役は渋くてカッコ良かったですよ。 (2007.02.28 03:01:39)
りぃ☆22さん
へぇ~ 学校で観せてくれたんでしょうかね。中々粋な学校ですね。『七人の侍』のラストシーンは私も泣けました。『我々はまた負けた・・・』というセリフが非常に印象深かったですね~ (2007.02.28 03:04:56)
asseayさん
おお~確かに似てますねえ。同じテーマでも手法が全く異なる作品を観るのも面白いですね。 『生きる』は欧米での評価はどうだったのか気になりました(笑) リメイクされるということは理解してくれたんでしょうかねえ・・・ (2007.02.28 03:08:30)
CITY OF JOYさん
う~ん、そうですねえ、最近の映画はあまり観ていなかったのでなんとも言いがたいですが、確実に後世に残っていく作品となると極少数になってしまう気がしますね。それに引き換え名作と言われる古い作品は今観ても本当に面白いのが多いです~ あはは、トム・ハンクスは確かにどこにでも一枚噛んでる気がしますね~ 凄い仕事量ですよね(笑) (2007.02.28 03:13:14)
にゃおんちゃみさん
いやあ~そのドラマは知りませんでしたが、志村喬は祖父に似ていて好きな俳優さんでしたね~ 観てみたいですけどDVD化はされていませんかね? 子どもの頃観てたドラマって結構覚えてるもんなんすよね。私も『流れる星は生きている』とか小学生の時観てましたもの(笑) そうそう、こないだラジオで『上海帰りのリル』かかってましたよ。思わず聴き入ってしまいました(笑) (2007.02.28 03:18:48)
「生きる」のこのシーンを、TVCMで以前使っていましたね。観てみたい気になった映画のひとつです。
「夢」は、色鮮やかで感動しましたが、モノクロの作品もまた味わいのあるものですね。 ハリウッドでのリメイク・・・ガラッと印象が変わるんでしょうね。 (2007.02.28 22:47:56)
ばおばぶMさん
そうでしたね! これ生命保険?のCMでやってました。夕日のシーンでした。でも『生きる』で生命保険は直球ですよね(笑) 『夢』では、息を呑む映像美が素晴らしかった。 お雛様のシーンは感動でしたね。 リメイク版はどうなることやら・・・多分観ちゃいますね~ (2007.03.01 02:09:37)
黒澤映画をまだ見ていない若い方が、いずれ見る機会が訪れて、あの感動を味わえる喜びが残っているのかと思うと、何回も何回も見て感動が擦り切れてしまった私にとってはある意味で羨ましいですね(ヒッチコック映画も同様です)。黒澤作品の中では、天国と地獄がマイベストで、今でもあれを凌駕する誘拐映画はないと思っています。
(2013.02.05 19:50:56)
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