|
カテゴリ:心象スケッチ
小説の師匠・中山茅集子先生の講演会があったので、福山に帰ってました。
久しぶりの松永湾。やっぱり瀬戸内海が好きです。ほっとする景色。 一昨年の講演会の時も雨が降っていましたが、今回もやはり雨。会場も一昨年前と同じ「ふくやま文学館」の小さな部屋。定員80名とありましたが、そんなにたくさん収容できるのかと思うような小部屋です。でも、ちゃんとみんな座れたみたい。 定刻通り、13時30分から、岩崎文学館館長の短い挨拶のあと、今年で93歳の中山先生、しゃんとした歩調で講壇にのぼられました。演題は「生きて・書いて・生かされて」 「小説を書く上で大切なのは、文学の原体験を持つこと」 いつもの持論を語り、 「わたしの原体験は戦争でした」 と、終戦の日に管制塔から身投げしようとした思い出、ファッションデザイナーを目指した青春時代、夫である画家の中山一郎氏との出会い、と、僕にとっておなじみの回想を語りながら、さまざまな本との出会い、人との出会いを語り、そして、 「宇野千代さんは、『わたしは死なないんじゃないかしら』と晩年語っていましたが、私も自分の死が予感できないし、死との境を意識できない。それは自分ではない、何者かの意思によって生かされているということだと思います」と、今回の公演の主題について語っておられました。 ・・・と、講演の途中でふと口を噤み、文学館のスタッフに顔を向けて、「もう終わっていいかしら。何を話すんだったか、全部忘れちゃった」 唐突な講演終了宣言に、会場は大爆笑。さすが芸術家。この自然体がたまりません。 会場に詰めかけた人の中には、福山文学事務局の河内きみ子さん、児童文学作家の皿海達哉先生、民主文学の石崎徹さんほか、福山文学のメンバーもちらほら見かけました。 短い講演でしたが、それぞれが何かを受け取られたのではないかと思います。 講演のあと、ゆっくり先生とお話ししたいなーと思いながらも、翌日は仕事だし、先生や顔見知りのみなさんへの挨拶もそこそこに、会場を後にして、そのまま北九州へ車をとばして帰りました。 次に帰るときは、もっとゆっくりできたらいいのだけれど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[心象スケッチ] カテゴリの最新記事
|