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カテゴリ:心象スケッチ
3月に、今の職場の任期が満了となる。
次の仕事はまだ決まっていない。 ある福祉団体が職員の採用案内を出していたので、手にとってみる。 受験資格はあるようだ。 ただ、試験内容が、筆記試験(教養試験、適性検査、論文)に口述試験(集団討論)と、地方公務員の採用試験そのままで、採用のターゲットが新卒か、中途でも若い世代であることは明らかである。 50を過ぎた、それも公務員試験の勉強などしたこともないおっさんに、採用される見込みは、まずない。 それに、万一採用されたとしても、あまりやりたい仕事では・・・。 だが、マヒワは来年度から高校生。 自分をエジプトの奴隷商人にたたき売ってでも、学費を出してやらなければならぬ。 というわけで、まあ、応募するだけしてみようという気になったおっさん。 試験申込書に貼付する証明写真を撮ることにした。 今どきは、写真屋さんに行かなくても、書店や文具店の店先に、証明写真を撮影する機械が設置してあって、お金を投入してアナウンスどおりにボタンを押せば、自動的に証明写真を撮ってくれる。 おっさん、機械の前に腰掛けた。 お金を投入。 5分もしないうちに、写真が出来上がった。 そこに映っていたのは、 おそろしく老けた、覇気のない、というより疲弊しきったおっさんの顔。 毎日鏡を見ているはずなのに、こうして写真にして見ると、自分のつけて歩いている顔がこんなにも醜悪なものかと、愕然とする。 (これを申込書に貼付するのか・・・) 申し込むのをやめたくなった。 しかし、どこに求職するにしても、どのみち履歴書を作るのに写真は必要となる。 おっさん、毛虫に触るような気持ちで、取り出し口から自分の写真に手を伸ばした。 写真をなるべく見ないようにして、指先でつまんで、すばやくカバンに放り込む。 ああ、まったくひどい経験だ。 しかし、おれのおっさん顔ときたら。 おれが試験官なら、試験するまでもなく、写真見て不快になって不採用にするね。 余談であるが、この試験申込書。 「学校でのクラブ活動」とか「好きな学科」「卒業論文のテーマ」など、嫌がらせのような記入項目がいくつもあって、学校卒業して30年経過するおっさんには、どう書いていいものか皆目わからない。 しかも、「もれなく記入せよ」との注意書まであって。 「もう忘れました」 採用される心配はないし、正直に書くのも、意外にいいものかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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