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February 12, 2007
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カテゴリ:茶会記
 昔、あるところに、お侍さんがいました。
 そのお侍さんが、とても偉いお茶の先生のお茶会に呼ばれました。

 お侍さんは、お茶会は初めてで、作法も分かりませんでしたが、
 偉い先生に失礼のないよう、一生懸命、お客様を務めました。

 先生の所を辞して、お茶を知らないことを恥じたお侍さんは、
 それからお茶を習いはじめました。

 数年が経ち、お侍さんが、茶道に詳しくなった頃、
 再び、偉い先生のお茶会に呼ばれました。

 今度は、作法は完璧です。
 とても満足な気分でいたお侍さんに、先生は言いました。

 「数年前、あなたは、作法を知らないと仰いながらも、
 本当に丁寧に、お茶を頂いて下さいました。
 しかし、今日のあなたは、作法には適っていましたが、
 型に流れてしまって、心がこもっているとは思えませんでした。
 とても残念に思います。」


======
小学生の頃に、『マンガ茶の湯入門』で読んだ話です。

茶の湯入門

お茶って深いなぁ。いつかやってみたいなぁ。
と思ったのは、これを読んだのが、きっかけだったのかも知れません。

=====
10月に森鴎外記念館で行われた公開お茶会では、和服に着替えて見学していたところ、
初対面だった士門先生に、いきなり
お正客をやって。
と言われて、急遽登板。

-----
流派の違いで、声掛けのタイミングが微妙に違ったりして、
多少ちぐはぐもしましたが、何とか、こなすことが出来ました。

その時、お話をしていたのが「お茶はおもてなし」ということ。
茶道は、形ではないのです。

=====
フライブルクで、ホストファミリーにお茶を点てさせて頂いた時(こちら)、
ティーセレモニーというのは、どういう時に行うの?お誕生日?
と聞かれ、返答に窮しました。

-----
現代では、「お茶会が開かれる時がお茶会」になってしまっていますけど、
こんな美味しいお菓子を頂いたから、みんなで食べましょう」とか、
こんな素敵なお花が咲いたから、みんなで愛でましょう」とかが、
本来の姿なのだと私は思っています。

-----
私が、度々「お気軽茶会」を開いているのは、それで、
英語の先生のフェアウェルにいかがでしょう(こちら/こちら)とか
ダイビングで冷え切った体を、こうやって温めるのもありでしょ(こちら)とか
もっとお気楽にお茶はいかが?」という提案のつもりでやっています。

-----
とは言え、「型」を破るからには「型」を知る必要があるわけで。

=====
お茶のお稽古が終わった、記念館の部屋をお借りして、お茶を点てさせて頂きました。

先生をお客様に迎えて…気軽に点てるはずが、先生からのお声がかかります。
そう言えば、お稽古をつけて頂くのって久しぶり。

-----
気が付けば、自分の作法も、「型」に流れ、妙な癖が付いていました。

基本動作である、「袱紗捌き」や「茶杓の扱い」、「柄杓の扱い」など、
もう少し丹田を意識すること、余裕とゆとりをもって扱うこと。
表現は違えど、お稽古頂いている先生から言われていたことばかりです。
恥ずかしながら、「型」に流れていた、としか、言いようがありません。

-----
いくつかは流派の違いもあって、それも新鮮な驚き。

・「お菓子をどうぞ」の声は、江戸千家では、お菓子を出したタイミングなのに対し、
 嵯峨流では、水差しの蓋を取ったタイミングで声をかけます。

・江戸千家では、お茶を一口頂いたところで、一礼して「大変結構でございます」などの声をかけるのですが、
 先生は、お茶碗を手に取った時に挨拶されて、そのまま数口でお茶を飲み干されていました。

・こちらには炉が切ってないので、お釜なのですが、江戸千家では「お湯の扱いの時に”鏡柄杓”、お茶に注いだら”留め柄杓”」と覚えていたので、そうしたところ、先生は「逆でしょう」とのこと。
 私の記憶違いじゃないと思うのですけど…。

-----
お菓子は、ドイツ人の生徒さんが作られた、マジパンの「椿」。
葉っぱの形が研究不足ね。
との先生の評でしたけど、なかなかどうして、立派なものです。
甘みが抑えられていて、ちょっとジンジャーかな?そんな香りがして、美味しい。

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自分の分も、引き続き自服(じふく;自分で点てて飲むこと)で頂きました。

=====
あの森鴎外先生が、かって人生の一時期を過ごした空間で、
士門先生が、これまで歩んでこられた人生のお話をお伺いしながら、
お茶を頂く贅沢と不思議。

5年前、ちょっとしたきっかけで、それまでやりたかったお茶をようやく始めたわけですが、
それが、様々な形で「」を結んでくれていることが、本当に不思議ですし、有難いことです。

5年前、始めていなければ、5年間という歳月は重ならなかったわけで、
本当にあの時始めていて良かったな、と思います。

帰国したら、5年間お世話になった先生のもとを離れてしまうことになり、
それは、本当に寂しいことなのですが、これからも、お稽古は続けていきたいと思います。
出来れば、年に一度のお茶会と、1/12の初釜は顔を出すようにしたいですけど。

=====
さて、ご馳走様でした。
お片づけ。お片づけ。





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Last updated  February 12, 2007 09:15:06 PM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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