テーマ:映画館で観た映画(8513)
カテゴリ:映画
平成に入って20年近く、昭和は遠くなりました。
特に、今年は「昭和史」を支えた人々の訃報が多く聞かれ、 時代が変わりつつあることを実感させられたものです。 ----- とは言え、私自身、昭和生まれではあっても、 昭和30年代には影も形もなかったわけで。 それでも「懐かしさ」を感じさせてくれるALWAYS。 いよいよ続編の登場です。 ===== 前作から4ヶ月が過ぎ、昭和34年。 美智子様の結婚があり、東京オリンピックの誘致が決まり、 南極越冬隊の「タロとジロ生存」のエピソードが伝えられたり、 天覧試合での長嶋のホームラン、伊勢湾台風などがあった年。 ----- いきなり、超大物ゲストが登場するオープニングから、物語は、三丁目の日常へ。 ----- 季節は春。 茶川(吉岡秀隆)の所に、再び川渕(小日向文世)が 淳之介(須賀健太)を連れ戻しにやってきます。 何とかお引取り願うも、窮地に立つ茶川。 お馴染みの鈴木オートにも、新しい仲間が。 成城のお嬢様だった美加(小池彩夢)が預けられることに。 六ちゃん(堀北真希)も、コックを目指して上京していた同郷の武雄(浅利陽介)と再会します。 そして、前作で哀しく去ったヒロミ(小雪)は、 借金を返し、茶川と生活する日を夢見て、ゴールデン座で働いているのでした。 ----- 新しいメンバーも加わって、三丁目の日々は夏を迎えます。 鈴木則文(堤真一)は、中隊の同窓会へ、迷いながらも出席します。 そこで目にした戦友牛島(福士誠治)の姿。 戦争に生き残り、自分が幸せであることに悩む則文に、牛島は言います。 「いいんですよ。生き残った人間は、思いっきり幸せになればいいんです。仲間の分まで。」 東京には珍しくなった蛍が宙を舞う夜の出来事でした。 ----- 同じ頃、茶川も東大の同窓会に出席します。 そこで耳にしてしまう、かっての友人達からの嘲弄の言葉。 それに、淳之介の養育、ヒロミが結婚を迫られていること、 諸々の事情が、彼を追い詰め、終に彼は決心するのです。 「新作を書くんだ。もう一度、芥川賞を狙う。今度こそ、獲る!」 いよいよ立ち上がった茶川。 店を休業にして、本気で執筆に打ち込み始めます。 ----- 捨てられていた子犬の名前が「タロ」と呼ばれるようになるのはご愛嬌。 六ちゃん達が石原裕次郎の映画を観に行くお話があり、 シベリア抑留の話が、さりげないエピソードとして挿入され、 茶川の作品をめぐるドタバタが描かれます。 果たして、茶川の作品は奇跡を起こすのか? ラストに描かれる東京タワーからの、そして日本橋からの夕日は、 変わらない、大切なものを照らして、美しく微笑みかけるのです。 ===== うーん。前作を観ていないと、人間関係の把握が難しいかも。 前作は、六ちゃんの成長物語が、物語の中心にありましたが、 今回の中心は、何と言っても茶川。 そして、幾重にも描かれる、淡い恋心です。 「恋愛モノは苦手」なので、私は前作の方が素直に感動できましたが、 それでも、「懐かしさ」の横溢する素敵な作品に仕上がっていました。 前作よりも、長回しのシーンが増えて、 画面いっぱい作り込まれた「昭和」を じっくり楽しむことが出来るのは、とても贅沢。 ----- 前作の「東京タワー」に続いて、今回活躍するのは「日本橋」。 昭和34年には、まだ上にあの無粋な高速道路は走ってなかったんですねぇ。 空が抜け、路面電車も走る日本橋は、今の姿からは想像できない情緒に溢れています。 「経済成長のため」「都市インフラ整備のため」日本橋の風景を失った過程は、 日本から大切なものが失われていった過程に重ねあわされると思うのです。 ===== 役者陣も素晴らしい。 特に、堤さん、『姑獲鳥の夏』に続き『魍魎の匣』も「古本屋役」で出られるんでしょう? 同じ時代を背景にしていても、全くテイストの違う作品、役柄。 上川隆也さんが、ゲストとして、なかなかおいしい役でご登場されるのも楽しい。 薬師丸ひろこさんの「お母さん」、堀北真希さんの「お姉さん」、 さらに、子役の小池彩夢さんの「お嬢さん」まで、 鈴木オートの女性陣は、みんなとってもキュートで愛らしい。 ----- もちろん前作から引き続いてのメンバーも健在で、 小日向さんにせよ、マギーさんにせよ、ピエール瀧さんにせよ、 もたいまさこさんにせよ、前回以上の大活躍。 なんて言うか、「演じてて楽しい」雰囲気が、画面からひしひしと伝わってくるのです。 ===== 舞台はもちろん、衣裳や、音、小道具へのこだわりについても、語ればいくらでも、ですけど、 とにかく、しかし、「苦労」以上に「楽しさ」が伝わってくるこだわりぶりでした。 さらなる続編、第三作目があることを、を期待しても良いのかしら? ===== 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』 2007年 日本 146分 http://www.always3.jp/ 監督:山崎 貴 出演:公式HP参照 ★★★★☆ 原作: 『三丁目の夕日映画化特別編』 西岸良平 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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