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December 1, 2007
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カテゴリ:環境
「フェア・トレードの付加価値」

=====
鈴木紀先生からは、現在の国際協力の現状について、ざっくりとお話がありました。

現在のODAの規模は、7293億円(2007)であり、ピーク時(1997)の62%。
技術専門・青年海外協力では、10082人が派遣されています。

-----
しかし、皆が皆、国際協力のために海外に出る、というわけにはいかない。
自分たち自身が、今、ここにいて、身近に出来る国際協力として、
フェアトレードを考えましょう、ということでした。

=====
「フェア・トレード」は直訳すれば「公正な交易」です。
では、公正な交易とは、どういうことか?

それは、「搾取」しない交易です。
そして、「ワーキング・プア」を作らない交易です。

つまり、事業の生産コスト、生産者の再生産コストが回収できる交易のことです。

モノを作っても、それが生産コストより安く買い叩かれてしまうと、生産者の生活は楽にならない。
多少、利益が出たところで、翌年の生産のための初期費用(肥料代とか)が準備出来なければ、
あるいは、想定外のコスト(不作だった場合とか)に耐えられる内部保留を持てるようにならなければ、
生活は自転車操業のままで、いつまでも「貧しさ」から抜け出すことが出来ない。

-----
京セラの稲盛和夫会長は、本の中で「値決めは経営」と言っています。
値段を決めること、生産者として、コストと市場判断から、「儲かる」ラインを見極めること、
これこそが「経営」そのものなのだ、と。

「値段」を適正に判断するためには、「情報」が必要です。
多種の「情報」を整理し、捨象し、的確に判断することで、コストを正しく見積もり、
価格を決定することができる。

しかし、です。
フェア・トレードで考慮される層は、「生産者」であっても、価格の決定力を持たない。
さらに言えば、価格を決定するための情報から阻害されている。

あるいは、輸出のためのインフラ基盤が整ってなければ、そもそも「市場」から阻害され、
市場で決まった価格から、運搬コストを差し引く形で、「価格」が決定されてしまう。


-----
先生は言います。

フェア・トレードの効果を活かしていくためには、
援助として、港の整備などと組みあわせることが効果的だ、と。

また、「市場」は、(「環境」や「人権」を「外部不経済」として切り捨てても)
「品質」「法遵守」といったことにシビアです。

これらの適正な市場参入のための諸条件をクリアするためには、
知識や教育だけでなく、生産方法や保管方法などの改変といった条件整備も必要です。

フェア・トレードの枠組に乗るためには、さらに厳しい条件を満たすことが必要になります。
しかし、これらの条件を満たし、市場に持っていくということは、
貿易の初心者である生産者にとって、「市場参入」トレーニングにもなるのだ、と。

=====
さて、例えばグリーンマークや、エコ・マークのように、
フェア・トレード・ラベル」というのがあります。

NGO/NPOによる自主規格、独自基準は別にして、
大きくはFLOとIFATの2種類のラベル認定があります。

 FLO:Fairtrade Labelling Organizations International
 IFAT:International Fair Trade Association

違いはありますが、それぞれ基準を設け、それを遵守させることで、
生産現場に改変を促し、消費者に情報を提供しているわけです。

-----
「フェア・トレード商品」は割高、というイメージがあります。

これも不思議なことで、輸入業者による中間搾取を排除して、
生産者と消費者を近い形で結んでいるはずなのに、価格が上がる、というのは、
それだけ、「市場価格」と「適正価格」がかけ離れている、ということであり、
「安全」「安心」-「消費者の」かもしれない、「生産者の」かもしれない-が
脅かされている、無視されている、ということなのだと、私は思ってしまうのですが…。


-----
さて、次の「フェア・トレード商品」には3つのメリットがある、と先生は言います。

 ・消費者が嬉しい
 ・生産者が嬉しい
 ・出会いがある

-----
消費者の嬉しさ、とは、チョコレートを例に取れば、「美味しさ」だ、と。

フェア・トレードの対象となっているカカオ豆は、厳しい生産条件をクリアしているため、
原料の質が高く、安全性が担保されているし、
また、多くスイスで最終加工されていて、商品の品質も高い。

-----
生産者からしても、技術的な支援を受けられることで、高付加価値生産に転換でき、
安定した買い付けを行ってもらえるので、メリットがある。

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フェアトレード商品は割高に感じられるかもしれないが、
商品の購入、顔が見える交易を通じて、友情を育くむという付加価値があり、
それは、金銭に換算できる以上の価値ではないか、と。

=====
先生が出会った、フェアトレードの仲間たちとして、
エクアドル、メキシコ、ドミニカの生産者の方々のスライドを見せて頂きました。

日本に入っているフェアトレード・チョコレートのほとんどはスイス産です。
これは、スイスのカカオ輸入業者の意識が高いからだと、先生は言います。

カカオは、その性質上、中南米-メキシコ・ドミニカ・エクアドルといった国々で栽培されます。
栽培地の多くは、栽培・保管・輸送までにかかわっていますが、
エクアドルでは、チョコまで製造し、輸出につなげています。

-----
メキシコの例として紹介されたのは、カカオ価格が下落した時、
神父の助言で、有機栽培をはじめ、高付加価値栽培に転換することができた村のお話でした。
そこでは、NGOビオプラネタを通じて、メキシコ国内向けにココアを販売しているそうです。

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ドミニカで活躍しているのは、ボリビア系ドイツ人。
国際協力ボランティアとしてドミニカに関わる中で、ドミニカでのカカオ有機栽培を考え、移住。
発酵プロセスのコントロールにより、質を高める技術を武器に、
有機栽培マニュアルを作成し、現地での有機栽培普及に力を注いでいます。

=====
最後に、フェアトレード発展のために、として、先生が3点挙げられました。

一つ目は、もっとフェアトレード商品を、という消費者の声を高めること。
二つ目は、推進団体から、もっとフェアトレードの情報を、消費者へ届けること。
三つ目は、開発問題、環境問題へのまなざしを持って、フェアな生き方を模索すること。

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ドイツには、エコ系のスーパーもありますが、
一般のスーパーでも、「BIO」のコーナーがあって、
そこには、有機栽培の食品、フェアトレード商品が集められていました。

また、ホームステイ先でも、ホストファミリーから、
これは教会で扱っている、フェアトレード商品のシナモン・シュガーなんだよ。
とのお話を頂いたこともあります。


-----
日本では、まだまだ一般化していないように見えるフェアトレード。
でも、たくさんの人達が、普及のために力を尽くしているのです。

総合討論では、そういった方々の紹介も含めて見て行きましょう。

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人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム
 国立民族学博物館開館30周年記念

国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク

【主催】人間文化研究機構
【日時】2007.11/30(金)  18:00-21:00
【場所】IMPホール

【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献
 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)

【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」
 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)

【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」
 岸上 伸啓 氏  (国立民族学博物館・教授)
 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事)
 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官)
 大石 芳野 氏 (写真家)
 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授)
 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)





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Last updated  January 6, 2008 09:14:11 PM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…
mrtk@jp@ Re:★芝居★ 劇団ここから 『春の遭難者』 (10/13) こちらこそ、素晴らしい時間を過ごさせて…

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