カテゴリ:環境
【総合討論】<3>「フェア・トレードの情況と問題点」
===== 討論の間を挟んで、日本でのフェアトレードについての 取組を紹介するビデオ上映がありました。 ----- 最初に登場したのは、珈琲工房 まめ福さん。 素人の主婦の方々が立ち上げたお店です。 (こちらの一番下に、メンバーからの紹介があります。) ----- また、生協の取組として、安心安全なバナナの供給を目指して、 タイからの産地直結型のバナナ輸入を行っていることの紹介がありました。 バナナとしては割高なのですが、「安全」が付加価値となって、 安定した需要と供給を確保しているそうです。 ===== さて、「フェア・トレードの情況と問題点」として、世界銀行の石原さんからは、 貧困の原因は構造問題にあり、ボランティアのような短期スパンでは解決は遠い という指摘がありました。 ----- だからこそ、長期スパンで、産業構造の変革に楔を打ち込むフェアトレードは、 貧困問題解決のブレークスルーたりうる、と。 ===== 国際協力銀行の新井さんが、現状の問題点として指摘されたのは、 市場へのアクセス阻害要因でした。 即ち、 ・生産、流通のためのインフラが整備されていないこと ・ソフト面(通関面・ビジネス面)でのインフラも未整備であること ・金融面で中小企業が阻害されていること ----- どんなに、付加価値の高い産品を生産しても、 それが市場に届かなければ、交易の舞台に上がってきません。 ----- 通関時に、条件がクリア出来ていなければ、 あるいは市場交渉力がなければ、 せっかくの高付加価値商品も、買い叩かれてしまって、 生産そのものが持続可能でなくなってしまいます。 ----- そして、高付加価値産品の製造に乗り出そうにも、 金融面での援助を受けられなければ、スタートさえ切れないかもしれない。 ----- だからこそ、ODAは、ビジネス環境の整備を出来るのかも知れない、と。 ----- 例えば、流通のためのインフラの整備は、 単なるボランティアで出来るものではありません。 ODAとNGOの、得意分野そしてノウハウが止揚するところに、 新しい援助の形が生まれる、そう感じさせてもらえるお話でした。 ===== 写真家の大石さんが指摘された問題点は、 フェアトレードは、消費者から見えない、見えにくい、ということでした。 ----- 「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 の紹介の冒頭で 私もお話させて頂きましたが、フェア・トレードって、 日本では意外と浸透していないのかも、と思うことがあります。 私自身、関わっている人たちが、そういうことに関心の高い人が多いので、 何となく、みんな知っているんじゃないか、と思って話をしているのですが、 例えば、会社時代の同僚や先輩、地元でお世話になっている方々を考えると、 確かに、一般的な認知度は、そう高くはないのかもなぁ、と。 ----- だから、フェアトレードに関わっている人たちに、説明をもっとしてもらいたいし、 もっと、生産者の顔が見えるように工夫を凝らしてもらいたい、という 「消費者」の立場からの発言でした。 ----- 「チームマイナス6%」や「ホワイトバンド」、「エコバッグ」みたいに、 そういう大々的な知名度アップキャンペーンがあれば良いのかも知れません。 仕掛けがあるなら、乗ってみるかな…。 ===== 人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念 「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」 【主催】人間文化研究機構 【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール 【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長) 【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) 【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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