テーマ:最近観た映画。(40126)
カテゴリ:映画
しばらく前から、神戸三ノ宮のジュンク堂のマンガが置かれている階で、
「DMC」のテーマが、ミニ映像と共に流され、気になっていました。 で、原作を読んでみると、いやはや、なんとも。 というわけで、予習を済ませて、映画に臨みました。 ===== 田舎から出てきて、大学の軽音サークルで、カジヒデキ的音楽を奏で、 それなりに尊敬される先輩であった根岸は、音楽の世界へと進みます。 「NO MUSIC NO DREAM !!!」 しかし、その音楽会社で、今、彼が演っているバンドは、 「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」。 問答無用のデス・メタル・バンド&サウンド。 「僕が演りたかったのは、こんなバンドじゃない!」 という彼の叫びも虚しく、彼は「ヨハネ・クラウザー二世」と名乗り、 デス・メタル・ヴォーカリストとしての才能を開花させます。 ----- それでも、プライベートでは、路上で甘い恋の歌など唄ってみるのですが、 聞いてくれるのは犬くらい。 運命の再会を果たした相川さんとのデートで、 オシャレカフェで舞台に立つチャンスを得るも、 「お遊戯じゃないんだ」と貶められる始末。 ----- 本人の思惑とは裏腹に、DMCはインディーズ界を席巻していきます。 全てに嫌気がさし、何もかも捨てて故郷に帰る彼。 そこで再発見する自分自身の「才能」。 文字通り、地獄から甦った「ヨハネ・クラウザー二世」が、 今、信者どもを引き連れて、最終決戦の舞台へと走り出す! ===== 主人公より、ヒロインより、何をおいても拍手を送りたいのが、 我らが大倉孝二大先生! 『ピンポン』のアクマでも、『新撰組!』でも、『スウィング・ガール』でも、 この人の曲者ぶりは、腹が立つほど素晴らしかったですけど、 正直、この映画、この人のお芝居なしでは、成立しません(断言) 役柄としては、ただの「ファン代表」ではあるのですが、 彼が「解説」することによって、「ヨハネ・クラウザー二世」の行動が、 「信者たち」に意味を持って伝えられていくという、まさに、伝道師役。 この役を説得力を持って演じられる、というのは、奇跡に近い。 ----- 音楽会社の社長役を演じて魅せる、松雪泰子さん。 彼女の歪んだ「愛」が、物語を導くわけですが、 役に負けないスーパーハイテンション。 セリフが下品あることすら忘れさせられるくらいの、ぶっちぎり演技。 ----- そして、帝王ジャック・イル・ダーク役に、 KISSヴォーカル、ジーン・シモンズさん。 音楽には素人の僕でさえ、ゾクゾクしてしまう、 あまりに、あまりに、圧倒的な存在感。 正直、あまりにも存在感がありすぎて、 物語のバランスを崩してしまってます。 「ヨハネ・クラウザー二世」役の松山ケンイチさんが いかに頑張ろうと、いかに上手かろうと、貫禄負けは仕方ない。 ----- 主役に、松山ケンイチさん。 うーん。5年前なら、きっと窪塚さんだったよなぁ。 ヒロイン役に、加藤ローサさん。可愛い。 ===== マンガの世界観を、強引に実写に持っていったことで、 違う形での笑いになっているのが、面白い。 例えば、マンガの、メイクを落として、クラウザーメイクして、を繰り返す、 というギャグは、マンガだから成り立つ早替えの笑いなのに、 それを、本当に実写にしてしまう、なんてのは、 その度胸も含めて、身体を張ったギャグ。 「本当にやっちゃいますか!」となると、笑うしかないでしょう。 ----- あるいは、決戦の場に向かう、ヨハネ・クラウザー二世。 必要ないのに、走って会場に向かう、それだけだと、物語の破綻ですが、 必要以上に、ずっと走り続ける、それを延々と見せられると、もう笑うしかない。 ----- 相川さんに嫌われた、とガラスを叩くヨハネ・クラウザー二世。 叩いているのが、楽器屋さんの窓というのは出来すぎなんですけど、 このギャグ的世界観なら、このシーンで泣き出しちゃった女の子が、 クラウザーさんが「乱入」する遊園地にもいる、というのも、むしろ、アリ。 ----- 帝王ジャック・イル・ダークが、既に音楽対決ではなくなった激しい戦いの末、 どう考えても、音楽的には勝ててないクラウザーさんに勝ちを譲る、という無茶も、 「いや、それはないだろ~」と心の中で突っ込んでしまってることを思えば、 しまった、そういうギャグか、と。 ===== ギャグ映画としては、それなりに面白いし楽しいと思います。 ああ、ああ、しかし、しかし。 確かに「物語」としては、お母さんとのやり取りのくだりや、 相川さんとのアイデンティティに関わるやり取りなど、 ヒューマンなドラマはあってもおかしくないのですが、 そこまでちゃんと「物語」しなくても良いのになぁ、というのが、 正直な感想。 ぶっちゃけ、ぶっ飛びギャグ映画で通しても良いのに、と。 もちろん、これだけの豪華キャストを揃えた以上、 商業的には、そうやって丸めないと成り立たないのでしょうが。 ----- 現実問題として、「面舵…(胸をつかむ)」のギャグとか 「悪魔玉(相手の口に痰を吐く)」とかを、 実写で加藤ローサさん(じゃなくても、可愛い女の子)相手にやれたら、 正直、不愉快だし、犯罪な気がするから、「ひよこ(スカートめくり)」で十分なんですけどね。 ----- 破壊的なギャグは、それだけで魅力なんだけど…。 という気持ちは、スタッフも同じのようで、 深夜アニメでは、その破壊性が全壊…全開のようです。 うちの地区では放送されないので、 そして、さすがにビデオを借りる気はないので、 どうなのかは分かりませんが。 ----- 音楽的なことは良く分からないので、 そちらの観点では、あまり突っ込んだ話はできませんが、 ギャグ映画と商業映画の両方の要件を 十分に充たした作品だったと思います。 ===== 『デトロイト・メタル・シティ』 2008年 日本 104分 http://www.go-to-dmc.jp/index.html 監督:李闘士男 出演:松山ケンイチ / 加藤ローサ / 松雪泰子 / ジーン・シモンズ / 大倉孝二 / 細田よしひこ / 秋山竜次 他 ★★★☆☆ 原作:若杉公徳 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 18, 2008 08:07:56 AM
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