カテゴリ:読書
実は、今まで読んだことがなかったので、
村上春樹さんの訳で読んでみることに。 キャッチャー・イン・ザ・ライペーパーバック・ 半分くらい読んだところで、あまりのくだらなさに挫折しそうになって、 友人に、ヘルプのメールを送ったところ、 「実は自分も読んだことないが、名作と言われてるから、きっと面白くなるのでは(笑)」 と励まされ、なんとか最後まで読み切ったのですが、 最後まで、乗れないままに終わりました。 ========== あまり頭のよくない主人公が、他人を罵り、女の子を批評しながら、 学校を辞めた後、夜の街を歩いて、女の子とデートする、三日間くらいのお話。 とりとめのない回想と、冒険というにはあまりにもお粗末な体験を挟みながら、 だらだらと続く一人称で語られます。 何より、他人に対する罵り方が、気持ち悪い。 何にも出来ない、やる気もない、頭も悪ければ、運動もできない、 マネージャーすらろくに出来ない、それなのに言い訳ばかりしている、 そんな輩が、高飛車に相手を罵るってのはどうなのか。 その上、「わかるだろう?」って同意を求められても… 徹頭徹尾気持ち悪く、読みながらカチンときた箇所も数か所。 で、同世代の悪口を延々と書き続ける一方で、 子供達の行動については「まいっちゃうよね」…って、幼女・幼年趣味? さらには、妹をべた褒め…って、シスコン? 別にそういった趣味について、とやかく言う立ち位置にはいませんが、 だらだらねちねち語られ、同意を求められると、貴様の趣味になど興味はない、なのです。 ========== 後半で妹が、 「けっきょく、世の中のすべてが気に入らないのよ」 「好きなこと、ひとつだって思いつけないんじゃない」 と主人公に突き付けますが、まったく同じ気持ち。 そんな輩の一人称で語られる物語、 「頭痛がする」「吐き気がする」を繰り返す主人公に、 読んでるこちらが、頭痛と吐き気を覚えました。 ========== 村上春樹さん訳では、 「訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、 また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。」 となっています。うーん、残念。 面白く読む切り口を示唆して頂ければ、あるいは、これだけのベストセラーであることの、 社会的な視点・視座からのご意見を拝読できれば、と思っていたのですが。 しかし、読後にどんな視点を与えられたところで、乗れないものには乗れないでしょう。 時間の無駄だった、とは思いませんが、とてもとても不愉快な読書体験でした。 ========== たしかに印象には残りますし、この嫌悪感は、感性の問題で、 たとえば、私は、尾崎豊の「夜の校舎 窓硝子 壊して回った」よりも 真心ブラザーズの「少なくとも 校舎の 窓は割らないよ」に シンパシーを感じるわけです。 だから、私は、この主人公よりも、森見登美彦先生の描く「私」、 外堀を埋め続ける「私」の方に、よりシンパシーを感じるのです、というだけの話で、 たとえ、高校生の時にこの話を読んでいたとしても、 当時も尾崎豊に共感しなかったように、この話に対しても共感しなかったろうな、と思うのです。 ベストセラー必ずしもマイベストならず、ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|
|