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カテゴリ:美術
兵庫県の中西部に、生野という、かって銀山として栄えた街あります。
現在は朝来市生野町と呼ばれていますが、この街出身の「生野の三画伯」と呼ばれる画家がいます。
明治末期に活躍した、白瀧幾之助和田三造青山熊治の三人です。

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お名前をご存じない方も、明治期を扱った現代美術の展覧会等で、知らず知らずの間に出会っているはず。

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姫路市立美術館では、2010年に没後50年「白瀧幾之助展」、2009年には「和田三造展」を行っていますので、今回の「青山熊治展」で、平成20年代の三画伯の美術展は一巡することになります。

(三画伯について詳しくはこちら

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131020_aoyama


展覧会は、青山熊治の画業を年代順に振り返る、オーソドックスな構成。

初期作品については、画壇デビュー作の「老坑夫」「アイヌ」等、一種プロレタリア的な重厚なテーマの取り方と、それに呼応する、暗い中に人物像を浮かび上がらせるレンブラント調の光の扱い、力強い描き方が印象的。

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1914年、シベリア鉄道経由でパリを目指した青山は、第一次世界大戦勃発の煽りを受け、ロシアで足止めをくらい、モスクワやペトログラードの美術館で模写をしながら勉強を重ね、スウェーデン、ノルウェーを経て、ロンドン、そしてようやく1915年、パリへ。
パリを中心にフランスに長期滞在し、イタリア、スペインへも足を伸ばしたりしながら、1922年に帰国します。

この時期の作品については、原画と比較しながら、模写作品が展示されているのですが、ルノワールドラクロア、歴史叙事大作など、それぞれの画風をしっかりと学び取っている姿が浮かんできます。
それとあわせて展示されている、風景画や人物画などの作品群からも、しっかりと何かを吸収してきた姿が垣間見えてきます。

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しかし、日本画壇への本格復帰は、1926年の「高原」を待たねばなりませんでした。
帝展に出品されたこの作品は、当時の最高賞を受賞。

少し遠く湖を望む高原に、服を脱ぎ、微睡み佇む裸婦たち。
3mにも及ぶ画面の大きさ、弓なりの全体構図、裸婦が自然に溶け込んでしまうような淡く不思議な色彩感覚、思わず足が止められてしまう独特の雰囲気が、この作品にはあります。

これと並んで展示されている、翌年の帝展に出品された「雨後」も、不思議な作品です。
キャンパスの中心に、重なり合って描かれる、力強い馬たち。
おそらく、小さな作品であれば、ごちゃっとした感じになってしまうのでしょうが、大作であるが故に、それがのびのびとした感じになるのは、構成の妙ということでしょう。
「淡いが力強い」この色彩感覚は、初期の作品と同一人物とは思えない程です。

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何より大作が似合う作風という感じが強い展示のされ方から一転、次のコーナーでは肖像画、静物画に焦点が当てられます。

この中では、「老婦人像」が秀逸。「いるよね」と思わせる、雰囲気の捉え方が本当に上手い。

また、静物画の「上手い」を狙うのではなく、雰囲気を活写する描き方は、セザンヌの静物画に通じるものがあります。

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後半では、九州大学工学部の壁画「九十九里」など、大作を描くに当たって描かれた習作、下絵が展示されています。

パーツ毎それぞれの人物像や、構図を描いた下絵など、一つの作品それぞれにかけられたエネルギーを感じることが出来ます。

どれだけの試行錯誤があって、「作品」に至るのかを思うと、良い作品を作りたいという作家の「業」を見ているような気がします。

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最後のコーナーは自画像。
これらを見ると、厳しくも優しそうな画家像が見て取れます。

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それにしても、この画業にして46歳での死はあまりにも早く若い。
最初から最後まで、作品の迫力に圧倒された展覧会でした。

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青山熊治展

  @姫路市立美術館(兵庫・姫路)
   http://www.city.himeji.lg.jp/art/

[会期]2013.09/14~10/20
[休館]月曜
[料金]一般 800円/学生 500円/小中学生 200円

作者:青山熊治






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Last updated  November 3, 2013 02:06:27 AM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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