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カテゴリ:美術
11月1日、たまたまお昼についていた「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングで、会田誠氏が登場していました。

文章で書けば、さらっと一言ですが、正直「お昼の番組に、この人を出してはいかんだろう」と目を丸くしてしまいました。

一般的な「いいとも」視聴者層への認知度が高いとは思えないし、展覧会はとっくに終わっているし、何が目的の、どんなアートテロなのか。

番組自体はタモリさんが上手く転がして、放送事故になることもなく無事に終了していましたが、(最後の会場アンケートで、微乳フェチを公言した挙句「ノーブラの人」の人数を聞き、それにタモリさんが悪乗りをして「ノーパンの人」の人数を聞いたのは、お昼の番組としてはギリギリな感じでしたが)、見ているこちらが妙な緊張感を味わいました。

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会田誠氏は、現代の美術のアカデミズムに対して、鋭く容赦ない批判を作品で投げかけている一人です。

5年以上も前、「ぴあ」に載っていた、「美味ちゃん」シリーズの展覧会紹介記事を見た時の衝撃、「雪月花」シリーズをパルコで見た時の衝撃は忘れられません。

会田誠氏が「現代日本美術」を語る上で、無視できない作家であることに間違いはないでしょう。

紺洲堂主人さんは、彼の画集(私も持ってますが)を本屋で買って、サインをもらったと仰ってました。


会田誠天才でごめんなさい [ 会田誠 ]
(画集がなかったので展覧会関連の書籍リンクです)


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さて、過去の話になりますが、会田誠氏の展覧会が森美術館で行われているというので観てきました。

そもそも、「天才でごめんなさい」という題名からして、拒否感を覚える人も多いことだろうと思いますし、そして、その拒否感に違わず、良識のある美術好きには、苦痛でしかないだろう作品が、これでもかと展示されている展覧会でした。

という書き方をすると、まるで会田誠氏の作品を嫌悪しているかのようですが、しかし、これは決してマイナスの批判ではありません。

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「美しい絵」が描けてしまうからこそ、テーマ性とのギャップによる「毒」が生まれます。

そして、その「毒」は、我々の「良識」をあざ笑い、揺さぶります。

それこそが会田誠氏の作品の真骨頂であり、我々自身の「下劣さ」、社会が蓋をしている「臭いモノ」を鮮やかにえぐり出すことで、見事な現代批評となっているのです。

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一面の金屏風に、精緻なタッチで実物大のゴキブリを一匹だけ描いた作品。

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日頃、金屏風の作品を有難がって見ている自分がいます。

その作品に対する評価を決めるのは自分自身であって良い、という美術を楽しむ上での根本をどこかに置いて、権威主義的な見方をしている部分は、決してゼロではありません。

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だからこそ、超絶技巧で描かれるゴキブリが、凝り固まったモノの見方をほぐしてくれるのです。

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巨大で美しい瀧の絵を背景に、スクール水着姿の女子高生が何十人と水と戯れる姿が描かれるかと思えば、一見、数人の女子高生をテンポ良く画面に配しただけに見えて、良く見るとエグい「腹切女子高生」という、題名通りの作品もあります。

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また、小学生が学校で描かされるいわゆる「標語絵画」に大人として、子供風のタッチで挑んだ連作は、その偽善性を容赦なく暴きます。

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無批判に、「標語絵画」を微笑ましく見ていた自分がいます。

しかし、関西に帰ってきた時に見て、ぞっとさせられた関西電力による、少女を起用した原発礼賛のCMと、「標語絵画」にいかほどの差異があるのか。

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福島以降なくなりましたが、原発CM自体を否定するつもりはありません。
大人が自己責任で原発を礼賛し、推進することについては、議論の余地こそあれ、表現の自由、思想の自由の範囲内でしょう。
CMへの出演についても然りです。自分で納得して、推進のCMに出ることに問題はないでしょう。

しかし、大人がお金を貰って、納得した上で作られるものと、知識もない少女に「CO2を出しません!」と礼賛させるものとは、根本的に意味が違います。

次世代(=少女自身)に禍根を残す可能性があるものに対して、その是非の判断も出来ないいたいけな子供に礼賛させるその無神経ぶりに、吐き気すら覚える悪夢のようなCMでした。

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そんな「思想の押しつけ」が「標語絵画」には潜んでいるのです。

もちろん、その多くは、清らかな善意で成り立ってはいるのでしょう。

しかし、一歩間違えると「中学生によるヘイトスピーチ」のような歪んだ何かに結びついてしまいかねない、ということを忘れてはなりません。

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さらに18禁指定されている部屋に展示されているのは、「雪月花」をはじめ、残虐性と反社会性を感じさせるとんでもない作品群。

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「雪月花」「美味ちゃん」を見た時、美しいと思ってしまった自分がいます。

そして、美しいと思った後に気付かされるのです。
それを美しいと思ってしまう感性の中に秘められた自分自身の中にある残虐性や下劣な気持ちに。
これは、本当に嫌な体験ですし、あまりしたくもない告白でもあります。

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これら「考えさせられる」ことを通じて、自分自身を、社会を見つめなおすきっかけを得られる、それが会田誠氏の作品の凄さなのです。

観に行った甲斐のある、素晴らしい展覧会でした。

「いいとも」の次は「徹子の部屋」ですかね?
黒柳さん相手に下ネタってありなのかなぁ?
どう考えてもアートテロだよなぁ。

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『会田誠展:天才でごめんなさい』

  @森美術館
   http://www.mori.art.museum/jp/index.html

[会期]2012.11/17~2013.3/31
[休館]会期中無休
[料金]一般 1,500円/学生 1,000円/子供(4歳-中学生) 500円


作者:会田誠







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Last updated  November 9, 2013 03:19:31 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…

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