カテゴリ:読書
「命を大切にしよう」という考え方に反対する人は、ほどんどいないと思います。
しかし、この「命」の中身をどう考えるか、 どのように大切にするか、というのは人それぞれです。 さて、この本の帯には、こう書かれています。 「イルカ殺しはかわいそう、でも焼肉もマグロ丼も大好き。 この矛盾、いったいどうしたらいい?」 ぼくらはそれでも肉を食う [ ハロルド・A.ハーツォグ ] 残念ながら、この本にその「答え」は書かれていません。 でも、世の中に様々な考え方があり、それぞれそう思う根拠、 背景があることを知ることが出来ます。 ========== 序章で出される「問題」から、とても衝撃的です。 曰く「どうせ殺処分されてしまう猫なら、 ペットとして飼われているヘビの餌にしても良いのではなかろうか?」 この質問自体に対して、ほとんどの方が、不快感を覚えるのではないでしょうか? (特に猫好きの方は、怒りすら覚えられたかと思います。) 実際にこういうことが行われている、というわけではありません。 作者の主眼は、ではなぜこの不快感が生まれるのか、というところにあります。 ---------- ユダヤ人を虐殺しながら、一方で動物愛護を推進したナチスの話。 菜食主義者と健康の話。 狩猟と性差の話。 闘鶏(残酷としてアメリカでは禁止)の鶏と、食肉となる鶏では、 どちらが「幸福」かという話。 動物実験のために遺伝子操作されて生まれてくるネズミの話。 ---------- 倫理的・文化的な非常に難しい問題を、 丁寧かつ出来る限り公正に取り扱うことで、 人間と動物の関係性について論じています。 ---------- 久しぶりに、知的好奇心を刺激され、自分の頭で考えさせられる、 スリリングな読書体験でした。 ========== ちなみにこの表紙の絵を描かれたのは、ムツゴロウ先生。 なかなかに柏書房さん、良い仕事をされてます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|
|