カテゴリ:読書
「夏には怪談」という方もいらっしゃいますが、
私自身は「怖い話」って苦手で、絶叫系マシーンには乗れても、 お化け屋敷の類にお金を払って入る気はございません。 とは言え、怖いもの見たさ、というのはあるわけでございまして。 作者がミステリー系だから大丈夫だろうということで、京極夏彦先生の『遠野物語remix』、柳広司先生の『怪談』を購入しました。 …怖かった。 ---------- 『遠野物語remix』は、柳田國男先生の『遠野物語』を口語体にして、順番を分かりやすく差し替えたという作品なのですが、合理的解決を有さない、不条理で不合理な物語は、日常の中にぽっかり空いた真っ暗な深淵を覗き込むようで、背筋が凍る思いがします。 角川ソフィア版には、柳田國男先生の原版も収録。 遠野物語remix 遠野物語remix 付 遠野物語 ---------- 一方の『怪談』。 怪談 [ 柳広司 ] 怪談 [ ラフカディオ・ハーン ] こちらは小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)先生の『怪談』を下敷きにして、現代を舞台に、「合理的」な「怪談」が語られる短編集。 柳先生の作品は、本当に良く練られているなぁと、いつも感心しますが、今回はこの知性的・理性的な合理性と、それだけでは割り切れない「怖さ」のバランスが素晴らしい。 所収の「雪女」や「むじな」を代表として、やはり人間の心の闇が一番怖い、ということを思い起こさせてくれます。 ========== 「日常に潜む不条理の怖さ」という言葉にすると、どちらも同じなのですが、異形の者の怖さを取るか、人間の心の怖さを取るか、いわゆるホラー的な怖さはありませんが、それ以上に怖い両作品でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 3, 2014 09:06:47 PM
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