may's diary

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• 『桜の花の咲くころに』

  　こんなに美しい日に、とても大切な人にさよならを言った。　あなたが、機嫌次第で人に当たったり、誰かの悪口を言ったり、妬んだり嫉んだり、　そんなところを一度も見たことがありませんでした。　朗らかで、曲がったことを嫌い、我慢強かった。　男気があって、人が困っていると見ぬ振りができない人だった。　物腰が綺麗で、何を聞いても知らぬことがないくらい物知りなのに、　とても腰が低く、偉ぶったり奢ったりすることもなかった。　地に足のついた、慎ましい暮らしの中で、いつもとても幸せそうだった。　辛い長い闘病生活の間、痛いとか苦しいと訴えるのを見たことがなかった。　時々小さな声で、ちょっと喉が渇いたなあ、とか、ちょっとお腹が空いたなあ、と言うことがあっただけ。　ごめんね、何を飲ませてあげることも、食べさせてあげることもできなくて。　八ヶ岳の稜線や、赤く染まったななかまど、オリオンのベルト、日本犬のくるりと巻いた尻尾、ランスの大聖堂、ブラームスの交響曲、そんな色々なものの美しさを、素直な平らな言葉で、まだ幼かった私に教えてくれた。　生まれたその日から、もしかしたら生まれるその前から、宝物のように大切にしてくれて、本当にどうもありがとう。

  2005.04.10

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• 帰国。

  　突然ですが、今朝、日本に帰ってきました。　長く進行性核上性麻痺という病気を患っていた祖父が、昨日未明に亡くなったためです。

  2005.04.09

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• 決心。

  　…という程でもないんだけれど、「してみたい！　だけどコワイー！」という長年の葛藤にとうとう終止符を打ちました。　痛いのと怖いのは全くダメな私が、ピアスを開けてみたのです。　ロンドンのセルフリッジに行く用事があったので、一階のピアスショップをのぞいてみた。デパートの中にあるのだからそこそこアップマーケットな感じを予想していたのだけれど、「ボディーピアス　アーンド　タトゥー専門店」ということで、パンクなお兄さんとお姉さんに出迎えられてちょっとびびる。だって、「耳のピアスなんて全然痛くない」と、多分顔だけで１６個はピアスを嵌めている人に言われたって…　なかなか忙しそうだったのでぐずぐず迷っているわけにもいかず、えーいと承諾書にサインする。一緒に並んでいる４０歳代の女性二人連れと世間話。その間、先に個室に入っていった７－８歳くらいの女の子が泣き喚くのを聞いてちょっと決心が鈍りましたが、その女の子も最後はけろっと出てきたし、前の女性も大丈夫だと太鼓判を押してくれたので、パンクお兄ちゃんについて施術室に入る。　耳たぶを消毒し、位置を決めてペンでマークする。　彼によると「日本のお客さんは、まず例外なく耳たぶの下の方に、とリクエストしてくる」とのこと。　だって確かにその方が可愛いものねえ。　あまり下にしすぎると、重いものを嵌めたりしたときに危ない、と彼が主張するので、じゃあ危なくない程度に下の方に、とお願いして運命の瞬間を待つ。　音はでっかいホッチキス、痛みというより、ぎゅっと押されるような感覚が一瞬、という感じでした。　鏡を見ると、耳もとで常に何かがキラキラしているのが何だか変な感じ。　ピアス穴のお世話をするのがまだ怖い私ですが（綿棒で消毒しつつ、ピアスをちょっと回してみたりしなくてはならない）、あと２ヶ月はこれを嵌めたまま、毎日地道に消毒を続けなくてはいけないということなので、そのうち慣れるかな。　お風呂に入って耳の後ろを洗ったり（何か耳の後ろが真っ黒な子供のようなコメントだ…）、枕に頭をつけたりするのも何だかおっかなびっくりだし。　皆さまがピアスを開けたときは、どんなだったのでしょう？

  2005.04.03

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• 奨学金。。

  　ふっふっふ…！　奨学金ゲットしてしまった。。　（にわかには信じられず、今流行のスカムかと疑ってしまった）　全額、ではないのだけれど（こまごました生活費は払ってもらえないため）、大学とカレッジへの学費をこれから３年間負担して頂けるとのこと。　ありがたやー！　ＯＲＳにさくさくっと落ちてしまい、幸先悪いと思っていた矢先だったので、うれしさもひとしおです。　ということで、少なくともこれから２年間、博士号のためにこちらに残ることになりました。　最初にここに来たときには、よもや８年もいることになるとは思わなかったけど。。　人生って不思議なものだ。

  2005.03.24

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• 無事、カナリーから帰ってきました。

  　ガトウィックで飛行機が立ち往生したために着陸できず、ロンドン中の飛行場をたらい回しにされる（おうちはもうすぐソコなのに帰れない～という気分だった）というハプニングはあったものの、無事帰国です。　さんさんと陽射しを浴びて、かーなーり日焼けして帰ってきました。　袖のあとが残るのがイヤなので、ビキニにショートパンツ姿で巻尺を振り回し森の木々の計測をしてきた私･･･、教授は見て見ぬフリをしてくださっていたけど、本当はまずかったのでしょうか？

  2005.03.22

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　７日目　☆

  　今日はホテルにて調査結果の発表。　終了後は街をうろうろする。　宿泊していたのはPuerto de Cruzという街なのだけれど、海の近くで可愛い教会を発見。

  2005.03.21

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　６日目　☆

  　今日はもっとトロピカルなサボテン生息地へ。　ちょっと雄雄しく、かっこよさげに話を聞いているのが私なのだ。　（が、実は話を聞いてない。いつビキニになろうかなーとタイミングを見計らっている）　…と言ってから、もっとかっこよさげ（裕次郎風）に話を聞いているもう一人がいることを発見。自然にそのポーズが取れるところが凄い、仲良しのパウラです。

  2005.03.20

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　５日目　☆

  　今日は３日目と同じ森で計測にいそしむ。　森を１０ｍ×１０ｍのプロットに区切り、その枠の中の木を一本一本計測する。　このわさわさした木をかき分けて、森の中に入っていくのです。 　↓

  2005.03.19

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　４日目　☆

  　別の自然保護地区に行く。　皆は真面目に話を聞いてノートをとる。　私は犬と遊ぶ。　ジーンズ姿の若いお姉ちゃんがやってきて、犬はとことこ向こうに行ってしまう。　･･････。

  2005.03.18

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　３日目　☆

  　今日は、数日にわたってちょっとした調査をする別の森へ。　昼間はとても暑いのだけれど、夕方になると、雲に包まれてしまうことから、Cloud Forestと呼ばれている。　この島で独自の進化を遂げた（っていうと何だかドラマティックだ）とってもでっかいタンポポ。　こんなでっかくなると可愛げがないんだけど。。

  2005.03.17

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　２日目　☆

  　さっそく森に連れて行かれる。　森で正体不明の頭蓋骨発見。　この島にはいないはずの小さい肉食獣？　ペットのイタチが逃げた？　でっかいコウモリ？　皆とっても興奮する。

  2005.03.16

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• ☆　カナリー諸島　テネリフ　１日目　☆

  　空から見たテネリフ島。　白い三角の山が、Mt.Teide。

  2005.03.15

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• カナリー諸島へ

  　明日から一週間の予定でカナリー諸島のテネリフに行ってきまーす。　バカンス！　と言いたいところだけれど、実はコースの一環で、自然保護のフィールドワークについて学んでくるのです。　あったかいといいなあ。

  2005.03.14

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• Norman Myers & Bj&oslash;rn Lomborg

  　オックスフォードにいて楽しいなあと思うのは、有名無名、無数の学者たちの講演が毎日そこらじゅうで行われていること。　本やアーティクルで名前だけ知っている学者に直接質問をぶつけることもできるし、ひょんなことでご飯をご一緒するような機会に恵まれたりする。　２月中に、"The Skeptical Environmentalist（『懐疑的な環境保護主義者』の意）"の著者、Bjørn Lomborg（ビヨン・ロンボーグ）の講演があったのだけれど、主張としてはロンボーグの真逆を行くNorman Myers （ノーマン・マイヤース）の自宅での夕食会に今夜お呼ばれしているのだ。　Lomborgの『懐疑的な環境保護主義者』は、Myersの著作"The sinking ark: a new look at the problem of disappearing species"（『沈み行く箱舟』）での「恐竜時代には約1000年に1種、20世紀前半は毎年約1種の割合で生物種は絶滅しているが、1975年頃には毎年約1000種が絶滅し、今世紀最後の25年間に100万種、平均して毎年４万種が絶滅する」という推定を引用し、環境保護主義者が声高に主張するほど環境問題は深刻でなく、他の社会的問題（例えば人口増加、貧困、健康問題）の方が格段に深刻で猶予を許さず、その取り組みは環境問題より優先されてしかるべきであるという理論の展開で幕を開ける。　ロンボーグは、環境保護主義者たちが様々な統計を都合の良いように（環境問題がより深刻であると解釈されるように）使って事実を歪曲している、と痛烈に批判する。確かに、Durrell Huffが"How To Lie With Statistics（統計を使ってウソをつくには）"という本を出しているみたいに、統計っていろいろなことができてしまう。ホントーに何でもできちゃう上に、それが本や新聞なんかに載ってしまうと、どこにも疑う余地のない「科学的」「数量データに基づいた」「客観的」事実のように読めてしまうところが怖いのだ（例えばMurreyのベル･カーブだって、時折統計に基づいた事実のように引用されていることがあってびっくりしする）。だけれど、その批判というのが、そのままロンボーグ自身の統計の扱い方にも当てはまるところが、ツッコミどころとしては面白い所なんだけれど…　でもロンボーグは思ったよりずっと若くて、とても魅力的な男性でした。何を聞いてもスマートにひらりひらりと身をかわしていくし、とにかく能弁だったなあ。ただ、あまりに雄弁で魅力的すぎて逆に疑いたくなるところが難といえば難ではありました。。　逆にマイヤーズは歳の言った話の長いおじいちゃまという感じなので、今夜の夕食会はどうなることやら？

  2005.03.11

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• 安心。（追記）

  　どーしてか判らないけれど、オイちゃんといるととっても安心する。　（オイちゃん、とうとう「オ。」から昇格…）　オイちゃんと一緒だと、どんなことでも何とかなるような気持ちがする。　ヴィクトリア駅で火事があったときも、　飛行機が乱気流を通過していても、　目のくらむようながけっぷちで行き止まりになっても、　ハイキングの途中、霧で道がわからなくなっても、　真っ暗闇の中で野宿する羽目になっても、　険しい山道走行中に大嵐になっても、　（その後、道路上に小さなカエルの大群が出現して大変だった…）　メディナで喧嘩に巻き込まれたときも、　どこに辿り着くか判らないトラックの荷台に乗っていても、　夜明け前の薄闇の中、今日来るか判らないバスを待ってたときも、　オイちゃんと一緒なら大丈夫な気がした。　いつもの100万倍くらいの勇気が出た。　あたしの胸が不安でちょっとだけ苦しいとき、　オイちゃんは、へっちゃらな澄まし顔でとぼけてみせる。　彼の顔が曇って晴れないときは、　全て大丈夫、とアタシがニコニコ請け負ってあげる。　ちょっと心配になってオイちゃんの方を見るとき、　オイちゃんもちょっと心配そうにこっちを見ていたりする。　そんなときは、顔を見合わせているうちに何となくおかしくなって　どちらともなく笑ってしまう。　一緒にいるから大丈夫。　二人で何とかできるから大丈夫。 * * * * *　オイちゃんと一緒にいる安心のしかたというのは、　例えば何か大変なことが起こってしまったとき（世界が終わっちゃうとかね）、　オイちゃんと一緒にいてダメなら、仕方ないとすんなり諦められるような安心感なのだ。　あのね、知らないかもだけど、実はとっても頼りにしているのよ。 * * * * *　警察を見送ってドアを閉めると、普段と変わりない夜の静かさが戻ってきた。　彼にそっと手を引かれて部屋に戻り、ベッドの上に腰をおろす。　優しく、気遣うように彼に引き寄せられる。　鼻先を彼の胸にうずめて目を閉じた。「may...？」　ちょっとの沈黙のあと、ためらいがちな声が続く。「…いつか、大丈夫になる？ (are you gonna be okay, someday?)」　うん、必ず大丈夫になる。だから、心配しなくていいよ。　どうしても声にならない約束の代わりに、小さく、でもしっかりとうなずいた。　 * * * * *　よく一緒にお風呂に入るし、私がシャワーを浴びている間に洗面所を使っているときにはカーテンの間からのぞいたり（逆もある…）するのだけれど、その夜私がシャワーを浴びている間中、彼はカーテンの向こう側で静かに待っていてくれた。「歯磨き終わったの？　ならもうベッドに入れば？」「ううん、ここにいる」　カーテンの隙間からのぞくと、黙々とストレッチをしている。背中に、綺麗な筋肉が浮き出ているのが見えた。　また熱いシャワーの下に戻って、いつもの何倍もの時間をかけて、身体の隅々まで丁寧に丁寧に洗う。忘れたい感触が、だんだん記憶の向こうに遠くなっていく。　シャワーから出ると、彼がタオルで身体を包んでくれた。　手を引かれて部屋に戻る。　一緒にベッドにもぐりこんで、灯りを消す。　ちゃんとそこにいるのを確かめるみたいに、彼の温かな手のひらが私の身体の上を何度も滑る。　お互いの首許に鼻先をうずめるようにして眠りに落ちた。

  2005.03.04

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• 襲撃。

  　この日の夜、とても怖い目に遭いました。　数日経った今日、３日の日記を書いています。 * * * * *　翌日に自然保護地区ケーススタディーの発表があるのでちょっと忙しかったのだけれど、前々から招待されていたSt.Hugh's Collegeのゲスト･ディナーに出掛けた。知り合いがたくさん呼ばれていて話も弾んだし、出てきた料理はどれも美味しいし、食後にもうちょっと飲まない？の誘いにかなり心が揺らいだのだけれど、まだ少し手直ししたい部分があったので、９時過ぎ、皆を残して学部に戻ることにした。　１時間ほどで、そこそこ満足がいく出来になったので、もう今日はこのくらいにしておこうと学部を後にする。閉店間際のセインズベリーで果物を買って列に並んだ所で、コーンフレークとミルクを抱えたオとばったり鉢合わせした。「今帰るところ？」「うん。何してたの？」「図書館の後、ジムに行ってきたところ。how about you?」「明日発表があるから、準備してたの」　スーパーを出ると、先に支払いを済ませた彼が自転車の横で待っている。「良いんだよ、一緒に歩いてくれなくても。自転車ならあっという間でしょ」「ううん、歩きながら話したいから」　何がきっかけか分からないのだけど、去年の12月から最近まで二人の間にあった距離感が最近縮まってきている。並んで他愛のない話をしていても、それをしみじみ感じてなんだかうれしい。私の肩と彼の腕が触れ合う。どちらからも離れない。彼の顔を見上げる。彼も私の顔をのぞきこんでニコニコする。　家は同じ方向なのだけれど、私は途中の運河沿いを右に入っていくし、彼はそのまままっすぐ行くので、分岐点の橋の上で立ち止まって、もう少しだけ話す。「明日こそ早く起きようと思っているんだけど、mayは明日は何時に起きる？」「7時半くらいかな」「起こしてくれないかな」「良いけど、電話で起きられる？」「とにかくやってみて。悪いけど」「ＯＫ」　じゃあね、と運河の方に歩き出すと、彼が心配そうに止めた。「may、暗くて危ないから、この道じゃなくて駅まで一緒に歩いて、そこから曲がれば？」「うーん、遠回りになるから…」「じゃあ、家まで一緒に歩くよ」「大丈夫、心配要らないって。あ、でももし良かったら泊まって行く？　そしたら明日間違いなく起こしてあげられるけど」「今日じゃなくて明日か明後日泊まりに行けたらって思ってたんだ。週末の方が朝ゆっくりできるから…」「そうだね、その方がいいよね」「でも、家まで送るのは全然構わないよ。ここから５分とかからないし、その後は自転車があるし」　携帯の時刻表示を確認する。11時ちょっと前。本当は別の道を通った方が良いかなという考えがちらりと掠めるが、確実に遠回りになるし、更に先の駅まで一緒に歩かせる（自転車を押して）のも何だか悪い気がして、それを振り払った。「本当に心配いらないよ。11時までは大丈夫って決めてあるの。これまで何百回も歩いて、何もなかったんだもん。朝の2時とか3時に通ったこともあるし」「･･････」　こうなったら案外強情なことを知っている彼は、ちょっとためらったあと、諦めてサドルに跨った。私は橋の袂で、陽気に手を振ってみせる。「じゃあ、明日朝7時半ね」「本当に気をつけて」「うん、おやすみ」　現在住んでいるフラットは運河沿いにあって、他のきちんとした道もあるのだけれど、橋の横の道に入り、運河のすぐ脇を通っていくのが一番近道なのだ。ただ、その道も入って50ｍほど行くと、舗装されていない、細くて両脇に植物が茂った小道になる。その小道を大学の夫婦専用寮の裏の石塀に沿って150メートルくらい行くと、また、もう少し広い、舗装された道に戻る。　普段はそれでも辺りに注意を払って歩くのだけれど、多分ついさっきまで一緒にいた彼のことを考えてしまっていたのだと思う。人気のない小道に入って少し行ったところで、すぐ背後に自転車が迫っているのに気がついた。細い道だから、きっと邪魔になって追い越せなかったのだろうと思い、慌てて左側（石塀の側）に寄った。次の瞬間、信じられないことが起こった。右側を通り抜けていくだろうと思っていた自転車がぶつかるように接近してきて、自転車の男が、私に掴みかかってきたのだ。何が起こっているのかわからないまま、無我夢中で振りほどこうとする。それでも、どうしても逃げることができない。もみ合っているうちに、棘のある野ばらの茂みに押し倒された。尻餅をついたまま、太ももをぎゅっと閉じて、何とか応戦しようとする。仰いだ石塀越しに、寮の部屋の灯りがたくさん見える。まだ起きている人がたくさんいるのだ。ここから10メートルも離れていない所に。叫び声さえ出せれば誰かが気がついてくれる筈なのに、喉が恐怖で張り付いたようになって大きな声が出ない。男がスカートの下に手を伸ばしてくる。このまま声を出すことができず、誰にも気づいてもらえなければ、この男の思うままにされてしまう。そう思った瞬間、言葉にならない叫び声が口から迸った。一度、二度、三度。　がらりと窓が開く音、「what's happening!?」という男性の大声。　男となおもみ合いながらも、誰かが気がついてくれた、という安堵で喉が柔らかくなった。今度は「help! help!」と夢中で何度も叫ぶ。　もっとたくさんの窓が開く音、人々の様々な叫び声。「hold on! we're coming down now!」「don't worry, we're gonna be in there in 10 seconds!」「we're calling the police」　それを聞いて、男は覆いかぶさっていた私から離れ、横倒しになっていた自転車にまたがってすごい勢いで逃走した。入れ違いに、助けに来てくれた人たちが石塀を乗り越えて私の許に駆け寄ってきた。何人かは男の後を追って行く。　大丈夫？という気遣いの声に、何度もこくりと頷いた。立ち上がることがどうしてもできなくて、地面に座り込んで、小さく躯を丸めたまま。野ばらの棘で手足にたくさんの切り傷ができて、血が流れだしている。　誰かに電話して来て貰った方が良いと促され、彼の電話を鳴らした。聞きなれた深い声が応える。「...hey! i just opened my front door. are you safely home? ...is there anything wrong?」　短く何が起こったか伝える。声が震えてしまうのをどうにもできないまま、ここに来てくれないかと尋ねる。「are you with someone?」「i am. the people that came for help」「stay there. i'll be there. it won't take long」　数秒後に、彼から折り返し電話が入った。「may, can you tell me how he looked like?」「......」「may, what was he wearing? what sort of bike was it?」「......」「may, you have to tell me. i may bump into him on my way. i can't just cycle past him without knowing. i can't forgive myself if that happens. i want to catch him if he's running to my direction」　男の特徴と衣服と、マウンテンバイクに乗っていたことを伝える。「alright - i'm on my way. just hold on」　誰かが手を伸ばして、立ち上がるのを助けてくれた。ずっと座り込んでいた茂みからちょっと離れた所まで支えられてゆっくり歩く。寒さは感じないのに震えが止まらない。今度は違う誰かが肩からコートを掛けてくれる。警察がもうこちらに向かっているから。それにあなたの友達もすぐ来てくれるから、だから心配しないで。　数分後、小道の向こうから、見慣れた自転車の上のシルエットが近づいてきた。数メートル先で自転車から降り、大きなストライドでまっすぐこちらに歩いてくる。この人は怒れば怒るほど（ネガティブな感情の幅が大きくなるほど）表情がなくなるのだけれど、今まで見たことのないような硬く強ばった無表情で、おまけに血の気がなくなって、美術館においてある冷たい彫像のように見える。アタシが馬鹿なことをしたと怒っているに違いない、と思った瞬間、大きな腕の中に抱きすくめられた。息ができないほど強く。私も彼の背中に腕を回す。温かな暗闇の中で、彼と自分の心臓の音だけを聞いていた。　しばらくそうして抱き合った後、彼が私の頬に唇を押し当てたまま、くぐもった声で言った。「may, i couldn't catch him...」「that's okay」「i really really wanted to」「i know you wanted to. and i know you would have, if you had seen him」　程なくして警察が到着した。　守られるように彼の腕に包まれたまま、事情聴取に応える。男の特徴。衣服。どういう順序で事件がおきたか。何か特に思い出すことはあるか。　着ていた物は思い出せるけれど、どうしても顔が思い出せないと正直に答えた。　それは顔が隠れていたということ？　いいえ。きっと見たとは思うけれど、思い出せないということです。　何か匂いはしなかった？　アルコールの匂いとか、タバコの匂いとか…　よく思い出せません。しなかったと思います。　一番最初に、犯人が襲い掛かってきたときのことを思い出せる？　･･････。　気がついたらもうそこにいて、あなたに掴みかかってきていたということ？　･･････。　襲い掛かってきたとき、男はまだ自転車に乗っていたのかしら？　･･････。　警官二人が、静かに顔を見合わせる。片方が、胸の通信機に向かって低く何かを呟く。（翌朝になって、自転車が走ってくる音が後ろから聞こえて、道を譲ろうとして、という経緯を思い出したのだけれど、このときはどうしても思い出せなかった）　聞かれることに答えようとする努力が苦痛だった。男のことや、何が起きたか（何をされたか）について思い出そうとすると、遠くに押しやっている恐怖感が戻ってきて、寒い訳でもないのに、身体の震えが止められなくなる。彼の腕に力がこもり、額や頬に優しく唇が何度も押し当てられる。早く家に帰って、何も考えず、彼の大きな背中にくっついて眠ることができたらいいのに。　しばらく誰かと話していた警官がこちらに向き直って、これから警察署に行って正式な調書を取り、傷の証拠写真を撮影しなくてはなりません、と言った。これから数時間かかってしまうかもしれませんが、記憶が新しいうちにきちんとした調書を取ることが重要なので。　無力感と疲弊に押しつぶされそうになる。i had more than enough for today.　家からたった数百メートルしか離れていないのに、何百キロも離れているような、そんな気持ちだった。彼の頬に自分の頬をくっつけて、小さな声でせがむ。「i can't. i wanna go home」「......」「i just want to go home」「...okay」　警察と交渉する彼の声を聞きながら、胸にもたれて目を閉じた。「okay, we can go home now. we don't have to go to the police station」「really?」「we still have to talk to them, but we can do it at home. does that sound better?」「yes, that's much better」　家に戻ると、まず今着ている衣服全てを証拠として提出するように言われた。自分の部屋で、新しい下着と、ジーンズとセーターに着替えた。脱いだものは、全て証拠品用の袋に入れるように指示される。　応接間に戻ってから少しだけ時間を貰って、彼に夜食を作った。台所でお湯を沸かしたり、お鍋を取り出したり、普段と変わりない他愛のないことをすることで、何となく気分が落ち着いた。自分と警察官に紅茶を入れて、調書の前に座った。　調書が書きあがり、証拠品とともに警察が引き上げたのが午前２時だった。

  2005.03.03

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• 私も「クンクナー」！

  　楽天のriricさんの日記で「クンクナー」なるボキャブラリーに接したとき、「そうか、やっぱりアタシだけじゃなかったんだ」としみじみしてしまった。　アタシ、オのことが大好きなんだ～！」とシガッとしたところ（『首っ玉にしがみつく』の意）、「どんなとこが一番好きなの？」と聞いてきた。なので間髪を入れず「ニオイ！」「匂い？」「yes! i really like to sniff-sniff you!」　彼は、それって自分がいつもつけているデクレオールのトワレのこと？　と聞いていたけれど、違うんだな～。確かにそれも大切な構成分なんだけれど。朝シャワーを浴びたあと、いつものトワレを首許にシュッと一吹きする。それが遅い時間になると彼自身の匂いと馴染んで、とっても良い匂いになるの。夜帰ってきた彼の、首許から肩先、または胸元にかけてクンクンクンクンするのがとっても好きなのです。　　ちなみに、もう一つ彼について「しびれるう～」と思うのは、運転がとてもとても上手なこと。実は父がオフロードのレースをしていたので運転がとびきり上手くて、それまで誰の車に乗せてもらっても「うーん…（ガッカリ！）」という感じだったのだけれど（意地悪言う訳じゃないけど、運転が上手だと勝手に自分で思い込んでいる男性のいかに多いことか…）、彼と車で旅行に行って、うん、とってもびっくりした。　オのいいところはね、車の運転に限らず、何かすごく上手にできることがあっても、自分は意識していないことが多くて、だからあまりウマぶらないこと。　誉めると照れるところが可愛いのよん。　さて。再び、この日が巡ってきました。。　初めて会った日を数えると、３回目の３月１日。　近づいたり、離れたり、お腹が痛くなるほど笑ったり、泣かされたり。　心から好きだと思ったり。また、心から好きだと思ったり。　会えて、良かったなあ。　こんなに好きになって、良かった。　

  2005.03.01

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• 訪。

  　久しぶりに一緒に過ごす。　しょっちゅう会ってはいたのだけれど、こうやって「一緒に」過ごすのはしばらくぶり。　Norliで入手した"Brown Cheese Please"を一緒に眺める。　ノルウェーに留学していた友人に薦められて買ってみたのだけれど、梱包のまま棚に上げたきりになっていたのです。　あのね、ホンモノのノル人にとってもなかなか面白い本だったらしく、面白さが「ノル内輪ウケ」で判りにくいところなど、真剣に説明してくれました。　特に「可能なオープンサンドの具の組み合わせ一覧」が気に入ったらしい。 * * * * *　夜中にふっと目が覚めたら、大きな肩が目の前にあって何だかとても安心した。　肩先が冷えないようにフトンを引っ張り上げてから、ひんやりした肌に鼻先をくっつけて、目を閉じた。

  2005.02.26

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• 心を温かくするもの。

  　今週に入ってから、何だか流れが変わってきていることは感じていたのだけれど、今日、とてもとてもうれしい言葉を聞くことができた。　…と言っても、愛しているとか、生まれ変わってもまた一緒になろうねとか、そういう言葉を聞いた訳ではないのだけれど。　でもね、すごく聞きたい言葉だったの。　どんなことがあってもずっとそばにいて良かったなあって思った。　ずっと大好きでいて、良かった。

  2005.02.24

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• 粉雪。

  　昨日も晴れたり曇ったり風に乗って雪が舞ったり、という調子だったのだけれど今日もまためまぐるしいくらい天気が変わった。　眩しい陽射しに目が覚めたけれど、家を出る頃には曇り空。図書館の窓から外に目をやるとびっくりするくらいの吹雪になっていて、しばらく学部の正面で雪遊び。顔を天に向けて目を閉じ、はらはらと落ちて頬や瞼に触れる小さな雪の感触を楽しむ。風が凪ぐと同時に吹雪が止んで、こんどは綺麗なオレンジの夕日色に街が染まった。　日が暮れてから降りだした雪は、今は止んでいる。　今日の雪は強風に煽られて吹雪いてしまったけれど、風が凪いだとき空から静かに、ゆっくりと、そして果てなく降りてくる雪を見るのが大好きだ。　空を見上げて、目を閉じる。そしてまた目を開ける。あとからあとから降下してくる雪の音と雪の匂いに、天も地もなく、世界に私と無限の雪の粒しか存在しないような、不思議な感覚になる。　　池澤夏樹の短編で、雪が降るごとに思い出す部分がある。しばらく読んでいないし、細かい描写も忘れてしまったけれど、海に降る雪を眺めて、雪が降っているのではなくて、世界が上昇しているのだ、というくだり。　空気がぴんと張りつめたとても美しい情景描写で、ことあるごとに思い出す一節になった。　この作者に限らず、一作目、またはごく初期の作品にはどこか特別な魂が宿っているような気がする。この一節のように、なぜか途方もなく心を揺さぶられる表現に出会うことがあるの。私だけかな。　次、東京に帰ったときには必ず持って帰ってこよう。

  2005.02.22

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• 方向転換。

  　ちょっと煮つまってきてしんどくなってきたので、福岡のＩ先生に鑑定していただく。　現状が思わしくない理由が、実は自分ですごーく考えた末に12月から意識してとっている方針にあるのではないか、ということを指摘される。　でも、でも、と思いをめぐらせてみるが、うーん、本当によくよく考えてみると、確かにその通りかも。（←しみじみ腑に落ちてしまった）　元の方針に戻ることで、次第に状況を良くしていけるはずとのこと。　先生がおっしゃるとおり、何も恐れず、ただ彼を大好きだと思える強さを取り戻せたらいいなあと思う。

  2005.02.21

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• 風邪、悪化。。

  　昨日の夜から熱が上がってかなりしんどい。　夢を見ては目が覚め、また夢を見ては目が覚めの繰り返し。　12時からの授業に出ようとシャワーを浴び、支度をして学部に出向いたものの、寒いような熱いような不思議な感覚で、変な汗が出て、身体が震えてくる。まっすぐ座っているのも辛いので、諦めて帰ってくる。　帰り道にセインズベリーによってブドウを買う。　普段は酸っぱくて小粒のこちらのブドウが大好きなのだけれど、こうして具合が悪いとき、日本の大粒のブドウを口に入れて、冷たい丸い甘さが喉を通っていくのを感じられたらどんなに気分がよくなるだろう。　母が前日の残りのお味噌汁で作ってくれるタマゴ入りのおじや。　高熱が出た私の「コーンスープが飲みたい」という言葉を聞いて、どこかの自動販売機で父が買ってきてくれた、缶入りのコーンスープ。あの頃はコンビニもなかったし、母の留守にそんなことを言われて、父もさぞかし困っただろうなと思う。　具合が悪くて心細いとき、遠い東京と、そこで暮らしている家族が恋しく懐かしてたまらなくなる。　いくつになってもこういうものなのかしら。

  2005.02.17

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• Guest Dinner @ Christ Church

  最近コース仲間の間で"Exchange Dinner"が流行っております。　各カレッジにはホール（食堂）があって、カレッジの所属学生は、そこで朝昼晩を食べることができる。（→１月25日参照）　毎日通っていると飽きがくるし、カレッジによってホールにも特徴があるので、お互いのカレッジに呼んだり、呼ばれたりしてみよう、という趣旨なのです。　今週初めにHarris Manchester Collegeに招待してくれたニュージーランド人の友人ともう一人、コロンビア人の友人を、ゲストディナーにご招待。　クライストチャーチではお夕飯が２度サーブされる。６時過ぎからのFirst Hallと、７時過ぎからのSecond/Formal Hall。　ファースト・ホールでは給仕などはつかず、トレーの上に食べたいものを載せてもらって自分で席について食べる、カフェテリア方式。　フォーマル・ホールでは全員が席について、まずはラテン語のお祈りを神妙に聞く。それから、３コース（前菜・メイン・デザート）を給仕の人がサービスしてくれる。　それにプラスして毎週水曜には「ゲストディナー」という機会があって、それにサインアップすると、少し高いお金を払って、ハイ・テーブルと同じお料理を食べられるというもの。　ハイ・テーブルというのは、きっと林望先生の本を読まれた方などはご存知だと思うのだけれど、カレッジのエライ先生方がお食事をする、ホール正面奥の一段高い床にしつらえられたテーブルなのです。　そこに座られる方々は、奥の小部屋で食前のシェリーで喉を潤したり、食後のフルーツとコーヒーとポートをサービスされたり、プラス、普通のテーブルで出る料理より美味しくて手のかかったお食事を食べる訳です。（クライストチャーチでは、ハイ・テーブル用のシェフがいるのだ）　ということで今週はこのゲスト・ディナーにトライ。　前菜　－　キャラメライズドされた洋ナシとスティルトンのサラダ　メイン　－　イノシシ（！）のステーキ　（付け合せ　ほうれん草、小かぶ、ベビー・キャロット）　デザート　－　ライムのスフレ・ムース　前菜はもともと好きな組み合わせだったし、ライムのムースもとても美味しかったし、難を言えば、イノシシが固くて固くてどうなることかと思ったけれど、それでもなかなかのお味でございました。　食後はＧＣＲ（オックスフォードでは一般にＭＣＲというのだけれど、院生のためのリビングルームのようなものが各カレッジにはあるのです）で、ポートとチョコレートを頂く。積もる話もあって去りがたかったのだけれど、水曜からひいている風邪が悪化したらしくフラフラしてきたのであまり遅くならないうちにお開きになる。　来週はマンスフィールドカレッジにお邪魔する予定。

  2005.02.16

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• "Drops of Jupiter - Train"

  Now that she’s back in the atmosphereWith drops of jupiter in her hair, hey, heyShe acts like summer and walks like rainReminds me that there’s time to change, hey, heySince the return from her stay on the moonShe listens like spring and she talks like june, hey, heyTell me did you sail across the sunDid you make it to the milky way to see the lights all fadedAnd that heaven is overratedTell me, did you fall for a shooting starOne without a permanent scarAnd did you miss me while you were looking at yourself out thereNow that she’s back from that soul vacationTracing her way through the constellation, hey, heyShe checks out mozart while she does tae-boReminds me that there’s time to grow, hey, heyNow that she’s back in the atmosphereI’m afraid that she might think of me as plain ol’ janeTold a story about a man who is too afraid to fly so he never did landTell me did the wind sweep you off your feetDid you finally get the chance to dance along the light of dayAnd head back to the milky wayAnd tell me, did venus blow your mindWas it everything you wanted to findAnd did you miss me while you were looking for yourself out thereCan you imagine no love, pride, deep-fried chickenYour best friend always sticking up for you even when I know you’re wrongCan you imagine no first dance, freeze dried romance five-hour phoneConversationThe best soy latte that you ever had . . . and meTell me did the wind sweep you off your feetDid you finally get the chance to dance along the light of dayAnd head back toward the milky way(Repeat 1st Chorus) Words by: Pat Monahan, Jimmy Stafford, Rob Hotchkiss, Charlie Colin and Scott Underwood * * * * *Lead singer Pat Monahan wrote this after it came to him in a dream. When he woke up, he had the song in his head and recorded a demo of it.The string section was arranged by Paul Buckmaster, who has done arrangements for Elton John, David Bowie, and The Rolling Stones.This is about a woman who leaves her man to find out if they belong together. We are never told if she returns to him or not. * * * * *

  2005.02.15

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• 悪いこと、良いこと。

  ちょっとどーんと落ち込むことがあり。女の友達って難しいね。内容よりも、彼女に言われたということが悲しい。何となく会いたくなって、彼が毎昼食後にコーヒーを飲みに行く本屋に行く。ちょうど階段を降りてくる彼と鉢合わせ。"hey, what's up?""nothing exciting""you look sad - what's wrong?"並んで歩き出してから、何があったかを言葉を選びながら説明する。冷静なように見えて実は誰よりも短気な彼は、半分まで聞かないうちに、もうカッカしはじめる。"...that's rediculous!""well, but that's what she thinks""did she actually say these things to you?""yes""none of what she said is true""hope so" ため息をついた私を立ち止まらせて、彼が私の顔をのぞきこんだ。"May, don't be rediculous. I know you for almost three years""...""she's being unfair, unkind, mean hurtful and nasty, just because she's jealous or envious of you. don't let her come close to you anymore"　これが彼の不思議な所だと思う。これまでどれだけ彼に振り回されてきたかわからないくらいだけれど、誰かが私に親切でなかったり、意地悪だったり、都合良く利用したりということが起きるたび、誰よりも腹を立てて、誰よりも心配して、最後には血相を変えて飛び出してくるのが彼だった。"... i guess i don't really mind whatever she said. if someone perceives me that way, i would let just be it that way""...""what hurts, is that it came from her, whom i considered my close friend. and as you know, we don't consider many as our close friends"　突然湧いてきた涙をこらえたら、最後の所で声が震えてしまった。彼が腕を伸ばして抱き寄せ、大きな胸の中に包んでくれる。"well, just forget that you once considered her as a friend - and don't forget that you have so many people　who like you very much, and want to be around you""...""you know, like me"　いつも早足の二人なのだけれど、自転車を押す彼と並んで、今日はゆっくり図書館までの道を歩いた。

  2005.02.14

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• 誕生日。

  　さて、ついにこの日がやってきました。　とうとう三十路に突入です。　ランチを奢ってくれるということで、友人とマレーシア料理。２時からは講義があり、学部へ。　授業後荷物をまとめて立ち上がろうとすると、ちょっとだけ教室に残るように言われる。見回してみると、コースの皆が残っている模様。　そこに、突然ロウソクがたくさん立った大きなケーキが運ばれてきた。「？？？」「Happy Birthday!」　皆が立ち上がって歌を歌ってくれる。「ありがとう～！」「now make your wish!」　願い事を胸の中で呟いてから、ロウソクの火を吹き消した。（数えてみると、ちょうど３０本…。）　それからケーキを切り分けて、皆に回す。　夜に小さなパーティーを予定していたのと、大多数が昨日の夜中にアムステルダムから帰ってきたばかりだったので、まさか皆で何かたくらんでいるとは思っていなかった。　予測していなかったせいか、何だかグッときました。　夜も、小さな集まりのはずが２４人も来てくれて大盛況に。私のこれまでの暮らしの中の違った部分に関わっている人たちがいっせいに集まってくれて、仕事も、分野も、歳も国籍も違う皆が話を弾ませているのを見るのはとても良いものでした。　去年は何となく静かに過ごしたくて、仲の良い女友達とお昼を食べに行き、夜は彼と中華を食べて、それから映画を見に行ったのだよね。 　来年は、どこで、誰と、どんな誕生日を過ごしているのかな。

  2005.02.07

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• オランダに

  　行ってきま～す。　ミニバスで昼過ぎにオックスフォードを発ち、トコトコドーバー海峡を渡り、今晩遅くアムスにつく予定。　週末は雨合羽を着て、近郊の２つの自然保護地区を見学してきます。　泊まる安宿が都合の良いことに「エロティカ・ミュージアム」と「マリファナ・ミュージアム」に挟まれているそうですので、きっとそれも予定から外せないであろう。。　帰ってきたら三十路突入だ…。

  2005.02.03

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• 国名表記 in 漢字

  　バイキングの末裔からＳＭＳにて連絡あり。「明日お昼食べない？」「…ダメ。」（奴には教えてないけど実は明日からオランダに行くのよーん。「探しても町にはおらんダ」…）「今日コーヒー飲まない？」「…いいけど。」　昼ごはんのあと、本屋の３階のカフェで会う。　最近彼が凝っている話題は、国名の漢字表記。　そもそもは、何をいつ漢字で書いて、ひらがなで書いて、カタカナで書くか、ということについて、「もういいっちゅうねん！」というくらい質問攻めにされていたのだけれど、フランスが仏－仏蘭西－ふらんすになったり、おまけに「お」がついてしまう、と知るに至って、彼の不屈の「どうして？　どうして？」精神に火がついた。「フランスじゃなくて仏蘭西って書くと、そうだなあ、何か森茉莉みたいな文になるって言うか、うん、前時代的な感じになるんだよねえ」「例えば、フランスフランスってうるさいフランスかぶれを揶揄するときにはどれを使うの？」「漢字で書くかなあ。いや、カタカナかひらがなに『お』をつけたりするかも。」「does that have anything to do with the fact you sometimes describe me as 『お』?」「that's just the first letter of your name」「well, the first alphabet is not "O", it's "Ø"」　そのあとしばらく、国名をタイプしては漢字変換してみる遊びに興じる。　中でも「瑞典」が何となく素敵だと言うことで意見が一致する。（「諾威」については、そこそこ満足そうであった）　そういえば、中等部の入学試験（内心だったのだけれど、外部生と同じ試験を一応受けさせられた）で佐藤春夫の「西班牙犬の家」が出題されたことを、ふと思い出した。　さて、今グーグルサーチしてみたところ、もともとは交易・外交上の必要性から中国で音訳され普及した漢字表記が、書物や地図などを介して日本に伝わり、それ以降、新たな漢字表記を必要とする外国国名は日本で独自に音訳されたとのこと。でも、どうしてモロッコに漢字表記がないのにアルジェリアにあるかなあ？モロッコ好きのふたりとしては納得いかず。それから、オックスフォード「牛津」もあんまりではないでしょうか？　しくしくしく。

  2005.02.02

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• Australian Day - Australian Bop @ Linacre

  Well, so I went. What the heck is Australian day?

  2005.01.29

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• James Bond Bop @ St.Hugh's College

  James Bond Bop at St.Hugh's College. No James Bond.

  2005.01.28

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• 木曜会。

  　本来は「環境学部の学生および教官が、堅苦しくない雰囲気の中で建設的な意見交換を行う」という趣旨の会なのだけれど、いつのまにか　環境学部の学生および教官がたくさんビールを飲む会　になってしまった木曜会に（今週も）参加。　最近テディーホール（Teddy Hall = St.Edmund's College）と環境学部合同で日曜サッカーをするようになり、練習後にやはりパブに寄っているので、日曜も飲んでいるんだよねえ。　　基本的には飲まないのだけれど（せいぜい今日はダイエットでなく普通のコーラ飲もうかなあとか、その程度）、皆結構飲むのだ。特にイギリス人の女の子たちは、涼しい顔で２～３パイントは飲んでいく。（ビールってどう頑張っても量が入らないんだけれど、それって私だけ？）　他の曜日の授業の後にも「ねえ、寄ってく？（ってＣＭがあったけど何だっけ？）」と魔の誘いがあったり、つまるところ、そう、私たち、しょっちゅうつるんでいます。　ということで、今日は、コース仲間２４人の国籍の内訳。　アメリカ人５人、イギリス人６人。　デンマーク、ノルウェー、スウェーデンのスカンジナビア３人組。それから、スイス、ギリシャ。　中南米に行くと、コロンビア、プエルトリコ、メキシコ、ガイアナ。　アジア・オセアニアでは、フィリピン、スリランカ、日本、ニュージーランド。　学部生だったときは８０人中で、ドイツ人、ロシア人、そして私以外はみーんなイギリス人だったもん。それを思うとすごい違いだ。　保護活動や研究でスペイン語圏にいた人が多いので、仲間内での第二公用語がスペイン語みたいになってしまっているんだけど、毎日聞いているとそのうち自分も喋れそうな気分になってくるんだよねえ。　ほら、子供って文法とか勉強しないのにそういう風に話せるようになっちゃったりするじゃない…（と、Language Acquisitionについてかなり真面目に試験勉強したとは思えないような楽観的な発言をしたりする）　とーにーかーく、「オラメイ～」　とか言われると、思わず「オラパウラ～　コモエスタ～」　などと答えてしまっている自分がいる（しかし知っているのはそのフレーズのみ）。　修士が終わるまでにスペイン語がとっても上手になってしまったらどうしよう～。　わくわく。

  2005.01.27

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• ナベ。

  　同じ学部で違うマスターをやっているＴ君と、ナベをしようということで話がまとまる。「冬はやっぱりナベでしょう」「何ナベにするよ？」　環境関連の法令について学ぶクラスで、各国のaction planやlegisrationについて発表を行うことになっていて、Ｔ君と私は日本担当ということになった。　環境白書を眺めつつ、やっていることはナベ作戦会議である。日本人同士一緒にするからこういうことになるんだって。「水炊きが食べたいんだけど」「ガイジンは味濃くないとダメかもしれないから…」「そんな寝言言う奴は呼ばなきゃいいんだよ」「豚キムチとかさ、そういう方がいいんじゃない？」「肩ロース薄切りとか手に入るのかな」「バラでもいいよ」「薄切りが手に入るかが問題なのよ」　こちらは薄切り肉ゲットの大役を仰せつかり、Ｔ君はナベ仲間のリクルートに奔走することに決まる。「あのさ、判ってるよね」「…判ってます。肉食仲間のみで」「ベジタリアンとかヴィーガンとか絶対にナシ！だから」「ナベはダシが命だもんね」　* * * * *　Covered Marketのオーガニック肉屋のおじさんと交渉の結果、バラ肉をベーコン程度の厚さに切ってもらえる事になる。首尾を報告するためにＴ君に電話すると、「…口コミで参加者が着々と増えてる模様です」「…良いけど、肉食べてもらうからね」　でも何故か最終的にはナベ３種類作る羽目になった。　（豚キムチ、タラちり、野菜みそ）「肉はダメだけど魚介類は好き」→　余りに贅沢なポリシーではありませんか？「肉はおろか、動物性のものはなーんにも食べられない」→　水と空気だけで暮らしてチョーダイ。　植物だって生きてるんだぞー。　恐怖だって感じるらしいよ。　ジェットコースターに乗せたり、火を近づけるマネをしたりすると、ビクビクしたり、しなしなしたりするんだって。（注：ちゃんとその論文を読んでいないので、真偽＆信憑性については不明なのです。念の為。）　…と、いつもヴィーガンには意地悪を言ってしまう私なのですが、個人的には何の恨みもないのよ。　一度、あるヴィーガンが遊びに来たとき、デザートに出せるものがグレープフルーツしかなくて（事前に来ると聞いていなかったんだもん）、何だかあまりにも味気なくて悪かったので「ハチミツかける？」と聞いたら、彼、突然憤然となってしまったの。「honey!? I never eat honey!」「oh, so sorry - what's wrong with eating honey?」「we exploit honeybees to get honey!」　ただ食べ物が動物由来、ということだけじゃなくて、動物を搾取（労働搾取も含む）している（と思われる）食べ物も食べないようにしてんだって。　でもさ、養蜂園のハチってなかなか楽しそうに暮らしている感じがするのよ。ぶんぶんぶんって。　それに、例えばこっちで売っている野菜とか果物って国外から輸入されているものが多いのだけれど、例えば年老いて疲れ果てた可哀相なロバを鞭打って運ばれてきているブロッコリーとかキャベツとかが、スーパーに並んでいる可能性だって大きいと思うのよ。　　そんなこと言っていたら、なーんにも食べることができなくなってしまうと思うので、なら私は、他の生き物の命を、感謝して美味しく頂くことを選ぼうと思うのです。　とは言っても、価値観は人それぞれだものねえ。どの考え方が間違っているということもないし、皆それぞれ様々な選択をしながら毎日暮らしているんだよね。ここにいると日々それを感じる訳でございます。　今回も、ヴィーガン鍋を用意するのは大変だったけど、良くつるんで一緒に遊んでいる友人なので、場も盛り上がったし来てくれて本当に楽しかったのだ。　デザートに杏仁豆腐を出して（さすがにヴィーガン・バージョンは用意できず）結局１２時頃お開きになる。

  2005.01.26

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• 昼ご飯＠オリエル・カレッジ

  お腹が空いたな～と思っていたところにＶから電話。Oriel Collegeの友達に誘われたので、一緒にお昼を食べに行かない？とのこと。まだ心理学のＵＧ(undergraduate)だった時にチュートリアルで行ったことはあるけれど、ホールに行ったことはなし。小さいカレッジだなあという印象があったけれど、最初のクォッド(quod)から先に入っていくと案外奥行きがあることにびっくりした。ホールはかなり小さかったけれど、古くて雰囲気のある造りでした。（でっかいエリザベス現女王の肖像画が架かってた）ちなみに今日のメニューは、サラダステーキ・アンド・キドニーパイ（つけあわせ・マッシュポテトと茹でたニンジン）ライスプディング…でございました。味？うーん。。カレッジのホール（食堂）の取り柄は、何と言っても安いこと。外食は高いし、自炊も案外高くつくし、切り詰めて暮らしている学生にとっては、朝・昼・晩ホールで食べるのが一番経済的なのだ。カレッジにもよるのだけれど、例えば私が所属しているクライスト・チャーチでは、３コースのお夕飯が、１ポンド６０。例えばお昼に町中のカフェでサンドイッチを食べただけでも、４ポンドはするもんね。（飲み物なしで、８００円だよ）学生の間では「美味しい」カレッジと「美味しくない」カレッジという口コミ情報があって、例えばLincolnとかLinacreは「なかなか美味しい」と言われていて、うん、確かになかなか美味しかった。逆に、とにかくとてつもなく不味いのはUniveristyだそうだ。試す気にならないので、真偽の程は不明。 * * * * *オリエルのいい写真がないかな～とＪＣＲ(Junior Common Room)のＨＰを眺めていたら、春に鴨ファミリーが大移動したときの写真＆動画を見つけてしまった。こんなので喜んでしまうのは私だけかもしれないけれど。。ここで見ることができます。http://www.orieljcr.org/photos/ducks04?page=2

  2005.01.25

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• 

  てったん。

  不覚にも大泣きしてしまった。。"My Dog Skip"の最後のところで。だって、主人公の男の子はローズ奨学生(Rhodes Scholar)に選ばれて遠いオックスフォードに行ってしまい、その彼を静かに待ちながら、スキップは死んじゃうんだよ。てったんのことを思って、何だか胸を衝かれて、涙が止まらなくなってしまった。ごめんね、てったん。てったんも待ってたのかな。てったんはとっても我慢強かったから。学期が始まって私がいなくなってしまった後、夕方になるとドアの前に三角になって待ってくれてたんだよね。ごめんね、あんなに待たせて。何度も待たせて。イギリスに帰る前の日、二人きりで散歩に出かけたよね。しばらく留守にするけれど、今度も冬に必ず帰ってくるからねって何度も言って聞かせたけど、ちゃんと判ってくれてたのかな。泣いて首っ玉にしがみついている私を優しく嗅いだり舐めたりしてくれたけれど、もう待てないよって、本当は思っていたのかな。もう会えないって、本当は知っていたのかな。どんなに時が経っても、決して忘れることはないよ。

  2005.01.16

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• 奨学金

  　さて。　どうということのない些末なことか、心悩ませるバイキングの末裔（＝奴）のことしか書いていないのでなかなか想像がつかないとは存じますが、私、一応大学院生です。　今年６月にオックスフォードから実験心理学の学士号を頂き（落ちる落ちると思っていたが思ったより良い成績で卒業することができた→ ７月14日参照）、秋からは気分を変えて全然違う分野の修士号をスタートしました。　カバード・マーケット（Covered Market）の肉屋の軒先にぶら下がっているウサギの姿に胸を衝かれながら、環境学部にウサギの毛皮の総裏地のついたコートを着て登場し、困惑する友人たちを前に「どーせアタシは偽善者よー！　可哀想で食えもしないくせに平気で毛皮を着てるんだー！」と逆噴射したりしつつ、種の多様性の保存（Biodiversity Conservation）について学んでいる訳です。　同じコースの仲間たちは、既に環境保護のフィールドでリサーチをしてきた人ばかり。熱帯雨林を伐採から救うとか、海水の汚染と温度上昇から珊瑚礁を守るとか、クジラの密漁だのチーターの保護プログラムだのトヨタのプリウスだの、とにかく目標と熱意と倫理観と使命感を持って頑張っている熱い人ばかりなのです。　飲むコーヒーはフェアトレード。　もちろんマイカップ持参。　シャンプーや石鹸はBio Degradable（…って日本語で何ていうの？）。　ＣＯ２の上昇を懸念し、どこ行くのも自転車。 * * ちょっと寄り道。。* *　そんなの何の為になるの？と思う方々もいらっしゃるでしょう。イヤ、私もそうだったのよ。でも最近、そういう些末なことが、実は重要な鍵のような気がしてきた。　ちょっと考えてみた結果、環境問題というのは、現代人の生活スタイルと密接に関わっている、ということをしみじみ実感するようになったの。快適さ、豊富さ、迅速さへの飽くなき欲望、それらを求めるのが当たり前である私たちの価値観、暮らし方というものが、様々な問題の根っこにあるんじゃないかと思えるの。 * * * * *　とにかく、そういう心熱くかつ優しい皆様にほのぼの囲まれて１学期を過ごし、プラス、なかなか面白そうな研究課題を思いつくに至り、今も１日２回お風呂に入ってしまう（このことと、ロレアルを使っていることについては学部の誰にも言えずにいるんだけど）私にもモチベーションが湧いてきた。で、思い切って博士号に出願することに決めた訳です。　その思いつきが実はなかなか良いものだったらしく、指導教官も乗り気になり、学部からはトントン拍子にゴーサインが出た。　が。。　後はお金の問題なのよ。。　仕事して貯めたお金　→　とうの昔になくなった。　親　→　こんな歳にもなって学生をしているのが申し訳ない。これ以上スネを齧ることはしたくない。　ま、早い話がスッカラカンなの。　なので、University Fee + College Fee + Maintenance Fee、しめて太っ腹の￡２０，０００－を捻出して頂けるような殿方、じゃなくて、奨学金を探している次第。　もう既にいくつかは出したけれど、その出願も、なかなか面倒で込み入っているのだ。　一発大きいのが当たればなー、と夢見つつ、今夜も探してます。 * * * 　読み直してみたけれど、何かいい加減な日記だなあ。　本当は真面目なのに。。

  2005.01.13

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• ピアノ届く。

  　フラットメートのベッカの実家から、ピアノが届いた。　…と言うと事も無げだけれど、そのピアノを２階まで上げるのが一苦労だったのだ。　まず、ピアノ運送会社のおじさんたちが、「こんな重いピアノを運んだことがない」と言いながら暗～いムードで到着。　ただのアップライトのピアノなのだけれど、後ろ側に大きな金属の枠がはめられている。これが、この製造者の特徴なんだって。「この製造者のピアノだって聞くと、断る運送会社もあるくらいなんだから…」　そうですか。でも仕方ないよね、はるばるケントから運んできたのだから、何とか２階に上げないと。私、見かけによらず力持ちだから、お手伝いします。「そーんな体つきで、ピアノなんて持ち上げられないって。危ないから、ちょっと離れた所で見てな」　･･････。　もう一人のフラットメート・ロビンが代わりに借り出され、大の男４人がかりで奮闘１時間弱。戦力外通知された２名が見守る中、超重量級ピアノは部屋に無事納まった。　飲み物を飲んで一心地ついた後、運び屋（…）のおじさんのリクエストで、ベッカがとても美しいベートーベンの小曲を弾いた。　ピアノはずいぶん前に諦めてしまったけれど、こうして改めて考えてみると、自分の楽しみのために弾けたらなかなか良いものかもしれない。　ベッカは、Piano Tuitionを家で受けたらいいのに、と言う。「そしたら連弾ができるよ～」　どうしようかな、と思いつつ、「誰か良いピアノの先生知らない？」と友達に聞いてしまっている、案外乗り気の私がいる。

  2005.01.12

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• 彼。

  　サハラに行ってきた、と聞いて、ラクダに乗った？ではなくて、自転車借りた？　と聞いてきたひと。「すごくきれいだった。陽が動くにつれて、砂丘の色が変わっていって」「アトラスも見えた？」「うん、雪のアトラスとね、８０キロ先のアルジェリアも見えた」「見てみたいな」「砂丘の頂上で、とっても青空が近かった。見せたいなって思ったよ」　あの午後に思ったこと。　一緒に砂丘のてっぺんに座って、この不思議な青色を見上げられたらって。　一緒に自転車に乗って、オアシスを抜けて乾いた大地の果てまで走り抜けられたらって。　どうして自転車のこと判ったのかな。

  2005.01.11

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• 0th week, Hilary Term

  Well, it is Monday of 0th (we pronounce it "noth") week, people are coming back to Oxford - vacation is about to end. Only a week to go, I have one extended essay to write up and two scholarship applications to submit. * * * * * He called, and we had dinner together. Seemingly we again are starting those careful steps we danced last winter. I haven't contacted him myself for a long time. Good that now I know what I want and what I don't want, in clearer terms. He might call me again tomorrow, or might never do so. We might become closer, or might never talk to each other. My heart, still, is very calm. I am just taking things as they happen.

  2005.01.10

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• "matchbox 20 - push"

  she said I don't know if I've ever been good enoughI'm a little bit rusty, and I think my head is caving inand I don't know if I've ever been really lovedby a hand that's touched me, well I feel like something's gonna giveand I'm a little bit angry, wellthis ain't over, no not here, not while I still need you aroundyou don't owe me, we might changeyeah we just might feel goodI wanna push you around, I will, I willI wanna push you down, I will, I willI wanna take you for granted, I wanna take you for grantedI willshe said I don't know why you ever would lie to melike I'm a little untrusting when I think that the truth is gonna hurt yaand I don't know why you couldn't just stay with meyou couldn't stand to be near mewhen my face don't seem to want to shinecuz it's a little bit dirty, welldon't just stand there, say nice things to meI've been cheated, I've been wronged, and youyou don't know me, I can't changeWell, I won't do anything at allI wanna push you around, I will, I willI wanna push you down, I will, I willI wanna take you for granted, I wanna take you for grantedI willoh but don't bowl me overjust wait a minute well it kinda fell apart, things get so crazy, crazydon't rush this baby, don't rush this babyI wanna push you around, I will, I willI wanna push you down, I will, I willI wanna take you for granted, I wanna take you for grantedI will - written by Rob Thomas & Matt Serletic, from Album "Yourself or Someone Like You"

  2005.01.08

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• 嵐

  　朝起きると曇り空。ここ１週間、必ず一日一度は雨が降っているので、窓から見えるテムズも増水中。　昼過ぎ、家を出る頃には雲の隙間から薄日が差し、冬の木立をきらきらオレンジ色に染める。　　University Clubで本を読みながらシナモンロールとカフェラテの朝／昼ごはん。その後、デパートメントの図書館に戻り、博士号の奨学金のためのproposalに取り掛かる。 * * * * *　午後３時少し前、携帯が鳴った。"it snowed here a few days ago - really really snowed, trees, houses, streets, everything covered with white powder snow" "and i thought about you""that you would have liked it very much"　ずっとずっと静かでだった胸の中に、風が吹きだし、波が立つ。　身の回りのこまごましたことを一つ一つこなしたり、自分を思ってくれる人を大切にしながら穏やかに過ごしてきた。　なのに、どうしてまた嵐を起こすの？　どうして放っておいてくれないの？

  2004.12.21

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• 居残り組。

  　クリスマスも目前に迫り、オックスフォードに残っていたコースのメンバーたちのほとんどが、この週末に帰省してしまった。　この修士号のコースはなぜかみんな仲が良くて、何かにつけてしょっちゅうつるんでいる。授業がある時は基本的には毎日会っているのだけれど、クラスが終わったあと飲みに行ったり、お昼の買出しに行ったり、週末のパーティーも皆で連れ立って出かけたり。　一緒にモロッコを旅行したアメリカ人のＭも、なぜか涙目で「コースの皆に一ヶ月以上も会えないなんて、想像がつかない！」「Now I'm sooo used to hanging around with them!」「I will seriously miss each one of them!」…と言っていました。　ということで、休暇前、メンバーの一人が、「休暇スケジュール表」なるものをエクセルにて作成。一人一人、オックスフォードにいる期間が青で示されているというもの。マメだねえ。　でもおかげさまで、今日以降の居残り組が４人、というのが一目でわかってしまう。（プラス、別居直後で淋しいので構って欲しくて仕方のない担当教官）　さて、居残り仲間である仏領ギアナ出身のMichとコーヒーを飲んでクダを巻いてから、今ターム最後のディナーを食べるためにカレッジに行く。　自転車を止めて正門を入ったところで、低音の彼と、お母さんと妹さんにばったり出くわす。聖堂でのevensongを聞きに見えて、今終わったところとの事。　誕生日パーティーでお母様と話が弾み、もっと話がしたいのでどこか観光するときに一緒に来ませんか、と誘われていたのだけれど、今日もう一度同じように誘われてちょっとドキドキする。　立ち話の後、休暇中に使用する食堂に行くが、なぜか閉まっている。大ホールもクローズされたまま。ロッジに戻ってポーターに確認すると、人数が集まらず、キャンセルされたとのこと。一言連絡してくれても良いのに、ねえ。　正門を出て道を渡ったところにあるアイスクリーム屋で、彼ら３人がアイスを食べているのを発見。入って来るように手招きしてくださるので、ご好意に甘えて、一緒にアイスを食べる。　低音の彼と、そして彼のご家族と時間を過ごせば過ごすほど、「気になる」気持ちが大きくなっていく。知的さ。温かさ。まっすぐさ。　けれど、自分の心がどこにあるのか、まだ自信がない。

  2004.12.20

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• バースディ・ガール

  　同じコースのアメリカ人の友人が、２５歳の誕生日を迎えた。　せっかくイギリスにいるのだからイギリスらしく「ティーパーティー」にするので、何か焼いてきて～と言われたので、朝からせっせとシナモンスクロールを焼く。　ちょっとシナモンロールとは違って、デニッシュっぽいベタベタさがなくって（それはそれでおいしいよね）、もっと生地がさくっとしているの。　パン生地に、ヘーゼルナッツとシナモンと砂糖のfillingを塗って、くるくる巻いて作るのだけれど、発酵させたり、上手に渦巻き状にしたり、という手間も惜しくないほどおいしいのだ。　彼女のアコモデーションで、カレッジの友人も、コースの友人も混ざって、とても楽しい午後になりました。食べきれないほどのケーキやらクッキーやらチョコレートやらが並んで、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の館のようだった。。　ちょっと気になっている彼も、お母様と妹さんと一緒に来ていて、12月初め以来、久しぶりに顔を見ることができました。モロッコから持って帰ってきたオレンジを渡したら、うれしそうだった。　夜はそのまま流れて、Gloucester Green近くのCafe Orientで中華麺を食べ、そのあとはEagle & ChileでMulled Wine（シナモンやフルーツの入った、熱いワイン）。　夜半、夕方からの雨がどしゃ降りに変わり、さらに気温が下がる。イギリスの冬ってこれがイヤなのよねえ。せめて雪が降ってくれたら良いのに。。　身体が温かいうちに、急いで家路に向かった。

  2004.12.18

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• Sore Throat

  　昨日、いい気になって暖かいとか言っていたのだけれど（言うだけでなく、タンクトップでウロウロしていたし）、夜になってからだんだん喉が痛くなり…。　風邪を引きました。　なので、今朝はゆっくり起きて、昼過ぎにデパートメントへ。同じコース（MSc in Biodiversity, Conservation and Managementというんだけど）の友人と、地理学部の前の芝生に座り込んでお昼を食べる。　･･････。　なんか熱があるせいで頭がボーっとしていて、納得いかない文章なので、もう一度出直してきます。　またあとで。

  2004.10.25

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• 暖かい。

  ここのところ雨続きだったのだけれど、今日はやっと晴れた。陽射しが強くて、コートが要らないくらいの暖かさ。朝は友人と待ち合わせをして、町の北のほうのカレッジを眺めに行く。Somerville、Green、St.Anne's、St.Anthony's、それからWolfson。あ、今気づいたけど、St.Hugh'sに行き忘れた。とりあえず、全カレッジを制覇するのが今の野望なのです。最近あまり勉強していなくて、さすがに心配になってきたので、午後は図書館へ。カレッジに止めっ放しだった自転車を拾って、法学部の図書館まで漕いで来ただけなのに、汗が出るほど暑い。。タンクトップ一丁で、せっせと学んでいます。向かいのお兄ちゃん、爆睡中。…って言ってるうちに何だか曇ってきました。

  2004.10.24

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• "雨は降るがままにせよ"

  　南ノルウェー（オスロなど）での空港ストライキの影響で、フレスランド発のフライトにも大幅な遅れが出て、結局昼過ぎの出発となる。　オスロは晴天続きで、日中はノースリーブにセーターを引っ掛けただけで歩き回っていたのだけれど、ベルゲンは相変わらずの雨模様。特に初日は嵐のような雨風の強さ。　海に突き出た半島の一番先まで行って車を停め、荒れ狂う北海を眺めながら、いろいろな話をした。　時折言葉が途切れて、車の屋根やフロントグラスに叩きつける雨の音が一段と高くなり、岸壁に打ち寄せる波の音をかき消す。髪や頬に触れる彼の手は、大きくて温かい。　海も空も丘も全てが雨粒の天幕に包まれて、世界の果てにたった二人で取り残されているような気持ちになった。　黙って白く霞む世界を眺めながら、本当にそうだったらどんなに幸せだろうと思った。"Out in the murk there was no valley, there were no mountains. The rain fell heavily and the wind had begun to blow again. He sat down in the doorway and began to wait. It was not yet completely dark.　　　　　　　　　　　　　　　- Let it come down, Paul Bowles"

  2004.09.29

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• 帰英　＆　再びノルウェーへ。

  　昨日ＶＳ便にてイギリスに戻ってきました。　ゆっくりする間もなく、ノルウェーに行ってきます。　フライトは24日の早朝なんだけれど、間に合うためには1:45のコーチに乗らなくちゃならない…　ちょっと眠ろうかなあと思っていたのだけれど、荷物を詰めたりなんだりしているうちに、もう0時だもん。　これが、Ryan AirやEasy Jetで旅行するネックなんだよねえ。　安いから仕方ないとは思うけれど、マラガからのフライトに乗り遅れそうになって1時間以上の道のりをタクシーに乗るという暴挙に出たこともあるし（おまけに間に合わなかった）、倹約してるつもりで、なんか詰めが甘いと言うか。。　とにかく、行ってきます。

  2004.09.23

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• 一年前。

  「オックスフォードには10日に戻ります。　君はいつ帰ってくる？」　最後に貰ったメールにそう書いてあった。　　２０時近くなり、窓の外のテムズが、次第に闇に包まれていく。ほんの数ヶ月の短い夏が、もう終わろうとしているのだ。　明かりを落とした部屋の中で座り込んだまま、ずいぶん長いこと迷っていたと思う。　２２時。心を決めて立ち上がり、準備を始める。　２２時半。家の前に止めてあった自転車で、夜露に濡れた道を走り出した。　生垣の端の古い木戸は、押すと少し軋んだような音をたてた。　その内側に自転車を立てかけ、彼の窓を見上げる。　閉じられたカーテンから、柔らかな灯りが漏れている。　３回の呼び出し音の後、ちょっと笑いを含んだような彼の声が応えた。「やっぱりこっちに戻っているんだ」「うん」"where are you now?""outside""your background sounds a bit like that - are you out with friends?""no - alone""alright - where exactly are you now? what are you doing? can i see you?""...i'm outside. i mean, i'm standing outside your window""- wait right there. i'm coming down now"　すぐにドアが開く音がして、背の高いシルエットが非常階段を下りてきた。　彼がこちらを見つめる。私も見つめ返す。数秒の沈黙。"...aren't you coming up?"　青々とした芝生を横切り、彼の目の前に立つ。彼の腕が伸びてきて、そっと胸の中に引き寄せられる。唇の端っこに、友達らしいような、友達らしくないようなキスが降ってくる。 * * * * * 　もう一度会えたときのことを、６月のあの朝から、ずっとずっと考え続けていた。あの夜、彼を欲しいと言えなかったこと。一緒にいたいと素直に伝えられなかったこと。空港に向かうバスの背もたれに隠れて交わしたキスの柔らかな感触。その後で、窓の外で飛び跳ねるカササギを目に留めた彼が言ったこと。"do you know that nursery rhyme? - one for sorrow, two for mirth..""no - what follows after that?""three for a wedding, four for a birth, five for silver, six for gold..""and?""seven for a secret"　第４ターミナルのゲートに向かっていく背中を見つめながら、私はこの人が欲しかったんだと思った。ずっとこの人が欲しかったんだ。初めて会った３月のあの夜から、この人のことを好きになっていたんだ。「また、会えるかな」「友達にしかなれないけれど、それでもいいなら」　そう言ったのは、他でもない私だったのに。 * * * * *　もう、取り返しがつかないくらい歯車が合わなくなっていた、３年越しの遠距離の関係。彼がドイツを離れる日まで、どうしても投げ出したくなかった。彼にとってのドイツは、後悔と、悲しみの国。大げさに聞こえるかもしれないけれど、そこでの毎日は、心を閉ざした彼にとってはたった一人で戦う戦争だった。どんなことがあっても、私が何をしても、二人でいるときにも、彼の心が曇りなく晴れることはなかったから。　いつか、彼の荷物を満載して遠くなっていく車を、見送ること。　彼が７年を過ごしたがらんとした部屋で、日焼けした壁のポスターの跡を指でなぞってみること。　いつしかそれが自分の使命のように思えていた。だけれども、この撤退戦の後、彼は米国に行くと言う。「君が、もし一緒に来てくれたら本当に本当にうれしい」「けれど僕から、君に一緒に来て欲しいとは言えない」　この撤退戦に疲れ果てていたのは私も同じだった。彼のその言葉が、どうしても乗り越えられずにいた。一緒にいたいとさえ言ってくれたら、どんなことをしてでもついていくのに。ずっとそうしたいと思っていたのに。　彼といても、どうしても幸せだと思えない自分がいた。　ノルウェー人の彼に出会ったのは、そんな時だった。　他のカレッジに所属する友人から、日本食パーティーの手伝いを頼まれた。夕方から忙しく働いて、３０人分のちらし寿司やら、お鍋やらを準備する。追加の取り皿をテーブルに運んでまたキッチンに戻ろうとする私を、誰かが呼び止めた。"you've been working all the time this evening - don't you want to sit down?"　彼が、人懐っこい笑顔で自分の隣の席を示す。私は首を振る。"no, it's okay - but thanks""have you eaten anything? you must be very tired - i noticed you haven't rested even for a moment""no, no - i'm really okay"　強情に断り続ける私に、彼はとうとう切り札を出す。"if you keep on declining, i will take it as that you can't stand the thought of sitting next to me!"　とうとう根負けして、私は彼の隣に座った。彼はうれしそうに料理を取り分けてくれる。"have you tasted this? it's really delicious!!""mmm, actually, i made it.."　並んで、その夜私たちはいろいろな話をした。彼は、あまりこの大学にはいない、いい意味ですごく普通の感覚を持っているひとで、典型的なScholarやEliteにしてみれば「ムダ」なことをたくさん経験してきていることに、とても親近感を持った。この大学に来てから初めて、自分にとても近い人を見つけたと思った。スコットとアムンゼンのこと、北部同盟、Senのノーベル賞、ヘミングウェーの『移動祝祭日』、早起きとホルモンの関係から、自分の髪を自分で切ってしまうという共通点まで。気がつくと真夜中を回っていて、それでも何だか別れがたかった。 別れ際、彼がちょっと真剣な顔になって、聞いた。"i really want to see you again - can i?""...okay, but when?""soon, if that's okay - like tomorrow, or the day after tomorrow? and i want to go and feed the ducks in the canal with you, too - can i?""as i said, i have a boyfriend. so i can only be your friend - if that's okay, we can meet" * * * * *　その日から、何度彼に会っただろう。コーヒー屋の隅っこの席や、背の高い本棚の陰で。それでも、手に触れたことさえなかった。あの夜だって、唇にキスすることもなかったのだ。薔薇棚の前のベンチで、人気のないラドクリフ・スクエアを見下ろしながら、明け方までずっと二人で寄り添っていた。凍えてしまわないよう、小さな二羽の鳩のように。　彼がドイツを離れるその日まで一緒にいると決めたから。　それが今までの３年間の証明になるのだから。　どうしても、彼を裏切ることはできない。　心の中には、もう別の人がいたのに、どうしてあんなに依怙地になっていたんだろう。　彼が私を欲しいと言ったあの瞬間に、どうして全て投げ出してしまわなかったのだろう。 * * * * * 　彼を見送った空港からドイツに電話をかけて、もう一緒にいることはできない、と伝えた。この関係がぎくしゃくしていたことでできた心の隙間に、他の人を入り込ませてしまったと正直に言った。ううん、まだ付き合っていない。向こうがどんなつもりかも分からないし、これから３ヶ月近く会えないから、それからどうなるかも分からないけれど、他の人を思いながら、あなたと一緒にいることはできないから。ごめんね。ドイツを離れるあなたを見送ることが、ずっと長いこと私の願いだったんだけど。それがあなたが本当に幸せになる日だと知っていたから。 * * * * *　温かな手のひらを背中に感じながら、鉄製の非常階段を彼の部屋に向かって上っていった。胸の中で、心臓が大きな大きな音を立てている。　彼には伝えなくてはいけないことがたくさんある。　勉強机とベッドしかない寮の部屋の真ん中には、銀色のスーツケースが転がっていた。ろくに畳みもしない服や小物や本をスーツケースに放り込んでいく彼を、からかいながら眺めていたあの朝のことを思い出した。　彼が、すとんとベッドに腰をおろす。私もその隣に座って彼のほうに向き直る。彼の指が、そっと頬に触れる。磁石のように、彼に引き寄せられていく。目を閉じて彼の匂いに包まれる。さっきまでの胸の高鳴りが、嘘のように静まっていた。　大丈夫。朝はまだずっと遠くにある。

  2004.09.10

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• "avril lavigne - complicated"

  　ブーム再燃中。　好きな曲はそればっかり聴きすぎて最後には飽きてしまうのがパターンなんだけど、長ーいブランクの後にリバイバル（古い？）することもある。　祖父の容態は相変わらず。快方に向かう兆しもなし。　何が彼にとって一番良いことなのか、家族である私たちにもわからない。それが辛い。

  2004.09.07

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• 急患

  　友達と晩御飯の予定だったのだけれど、夕方電話が入り、祖父の具合が急に悪くなったとのこと。母も出先から急いで戻ってきて、たまたま家にいた父も一緒に様子を見に行く。　お医者様の往診も済み、かなり落ち着いたようなので、とりあえず夕飯を食べに一度家に戻る。　夜になってから肺に炎症が出て高熱を出す、という心配が一番大きかったのだが、残念なことにその通りになってしまう。　お世話になっているお医者様が、11時過ぎにもう一度往診してくださるとのこと。なので、これから家族で祖父母宅に向かう。

  2004.09.06

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• 御殿場

  　日曜10時前に起きているっているのは珍しいかも。日本に帰ってきて、すっかり夜更かし＆朝寝坊になってしまったからねえ。　今日はこれから御殿場へ。天気は良くないけれど、車で移動するにはこのくらいがちょうど良いから、まあ良いか。

  2004.09.05

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