落合勝利の理想形
一瞬目を疑ったが(ラジオだから「目」じゃなくて「耳」だな)、まさか、というほかない、6月5日のドラゴンズ・平田のサヨナラホームラン。しかも前日にも同じく二死走者無しからサヨナラホームランをかっ飛ばしていて、まさかまさかの2夜連続だ。しかもこの2試合の総得点=3点はすべて彼の打点で、尚且つ守備でも超ファインプレーでピンチを救い、まさに彼の力で獲った2勝だといってもいいくらいだった。しかし試合後の落合監督のコメントが、また変わってる、というか、ある意味予想通りというか、平田の「ひ」の字も口にすることなく、「それにしても森野だよ!森野、森野!」と、いまだにバッティングの調子が上向かない主砲に対する叱責に終始した。確かに2試合とも、森野がキッチリ主軸の仕事をしていれば楽に勝てたかもしれないから、それが歯がゆいのだろう。確かに接戦に強いと言えば聞こえはいいが、この2試合は監督の目から見たら、たまたま手にした勝利であって、真の強さが発揮されたとはとても言い難いのかもしれない。どれだけファンがシビレても、彼だけはどこまでも沈着冷静、とことん勝負師だ。おそらく彼の理想としては、主軸のバットで先制し、それを自慢の投手陣で守りきる、というものだろうし、そのためにはどうしても森野というピースは欠かせないのだ。もっとも落合監督という人、普段から滅多に報道陣の前で選手をベタ誉めしない。だから例えば原監督や星野監督のような分かりやすさはない。確かに報道陣泣かせだが、私にとっては逆にヘンに期待感をくすぐるところがあって、いつも楽しみにしている。それにしても落合野球の勝利の理想形に欠かせないとなると、どうしてもストッパー・岩瀬の存在が欠かせない。彼の岩瀬への信頼感はハンパではなく、日本一になった日本ハムとの日本シリーズで、山井がパーフェクトを達成しようかというところで、あえて岩瀬に交代させたのは記憶に新しい。ただどうもここ最近、彼の状態がちょっとおかしい。起用法も以前とはちょっと変わってきているように思う。まあ彼もいいトシだから、球の衰えは隠しようもなく、今まで空振りしてくれていた自慢のスライダーもキレが無くなって、見切られることが多くなってきた。正直なところ、経験値などを差っ引いて考えれば、その前を任されている浅尾の方が今は力は上だ。しかし4番バッターなら打順を下げれば済むことだが、ストッパーが衰えてきたからと言っても、そうそうスンナリと交替ということはしにくい。ましてやセーブの日本記録も懸かっているから、なおのこと難しい。落合監督がこれからどういう形に持っていくのが非常に不安でもあり、楽しみでもある。