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カテゴリ:NOVEL
「恋したくなるお題」というお題サイトさんにて、素敵お題を発見しました。
その名も「意地っ張りに恋したお題」。 01. 君の「ほんと」を知ってるよ 02. そういうトコも好きなんだけど 03. 押しても駄目なら引いてみる 04. その沈黙の意味は「Yes」? 05. 今日は離れてやらない 06. 言葉にしないけど分かってよ 07. ただ声が聞きたいだけ 08. 泣く一歩手前の顔をしてるのに 09. 何度でもこうして、ほら 10. ラスト・チャンス …。でもごめんなさい。オリジナル小説ではなくて逆転裁判小説を書く際に使いそうです。 早速むくむく創作意欲が。 …しかもBLカプです…。ほんとに申し訳ない。 響也×王泥喜。 折角なのでちょっと書いてみます。 +++++++++++++++++++++++++++++ 01. 君の「ほんと」を知ってるよ 耳をも劈く大音声をもって異議を唱える新人弁護士。 それが僕の大好きなおデコくんだ。 細かい矛盾を突付いて証人の動揺を誘う、あまりにも旧式の手。 ことあるごとに発される「大丈夫です」という言葉。 僕と二歳しか年が変わらないとは到底思えない、愛くるしい顔。 その気持ちを何よりも正直に表す、君の頭の二つの触覚。 時折覗かせる、何もかもを見透かすかのような真紅の瞳。 情熱的な性格を連想させる腕まくりをしていながら、意外にも冷静な考え方をする。 特徴を挙げればキリが無い。 だけどこれは、誰もが知っている君だ。 君が他人に見せようとしている、かりそめの特徴。 でも、僕はね。知っているんだ。 本当の君を。 こんなことを言ったら、君は一笑に付すかもしれないけれど。 その自慢の大声で笑い飛ばそうとするかもしれないけれど。 それでも僕は、僕だけは。 君の本当の姿を知っているんだよ。 僕は検事という職業柄、人の発言にはとっても敏感なんだ。 取調べ中にうっかり被疑者が漏らしてくれた発言の揚げ足を取るような時にも、勿論法廷に立った時に証人を追い詰める時にも、どんな些細な発言も聞き逃さない技術が必要だから。 そういう訳で、おデコくんがほんの一度だけ漏らした本音も、しっかりばっちり覚えているんだ。 あれは何時だったかな。僕とおデコくんが一緒に夜道を歩くなんて滅多にある機会じゃない。 思い出した。北木滝太被告人の無罪が確定したあの日だ。 あの日は僕のお気に入りのバイクは定期点検に出していて手元に無かったんだっけ。 法曹界で働く人間は護衛が付いて車で送り迎えがされるのが常識だけれど、常識や既成概念に囚われないのがこの僕のポリシーだ。だからいつも丁重に護衛をお断りして自分で自分を運んでいる。 おデコくんは経済的に恵まれない職場で働いているから、勿論護衛なんて付けられる筈も無い。 そんな彼とその可愛らしい助手は、裁判が終わる毎に東京地方裁判所の門を徒歩で通り抜け、そしてそこから歩いて20分程もある事務所まで帰宅しているのだ。 勝訴を手に入れ意気揚々とするちびっ子二人組の背中を裁判所のドアを出て見つけた時、僕は凄く楽しい気持ちになったのを覚えている。 あの二人と帰宅するのも中々面白そうだと思ったんだ。 「やぁおデコくん、お嬢さん」 背後まで気配を消して忍び寄り、声をかけたらすかさず二人の肩をがばっと抱くようにして飛びかかった。 「わっ! 牙琉検事じゃないですか」 「びっくりしました!!」 二人が殆ど同時にそう言って、方や冷や汗を掻きつつ胸元に手を置いていて、方や嬉しさを体で表現しているらしく、ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねている。 僕の勘も中々悪くない。この時点で二人に声をかけて正解だったと思える位、僕には二人の一挙一動が楽しくて楽しくて仕方が無かった。 「良かったら途中まで一緒に帰ろうよ」 ぎゅっと二人を抱く手に力を込めると、方や身を捩ってこの手から逃げようとし、方や嬉しそうに胸に頬を摺り寄せてくる。 「あれ、でも牙琉検事…」 「いつものバイクはどうしたんですか?」 二人は同時に、僕の顎より下にある顔をくりんと空へ向ける格好になって僕を逆さで覗き見る。まるで兄妹みたいだ。 「あはは、二人とも息がピッタリだね。僕のバイクは今、定期点検中なんだ。だから今日は歩いて帰るんだよ」 そういう訳でご一緒させてくれたら嬉しいなぁ、と。 僕はお嬢さんに向けて、世間で「王子様スマイル」と評される笑みを浮かべてウインクをして見せた。 「そういうことなら、もうみぬき、大歓迎です!!こういうのを、同じ穴のムジナって言うんですよね!!」 「待って待ってみぬきちゃん、何か勘違いして使ってるよ、その言葉」 慌ててお嬢さんを止めに入るおデコくんだけど、お嬢さんは中々に手強い子だ。 「いいじゃないですか王泥喜さん!!言葉というのは長く使われるにつれて誤用の意味の方が正しい意味に成り代わることだってあるんですから!だから今例えみぬきの言い方が間違っているとしても、いずれこの発言が歴史を変える架け橋になるんですよ!」 物凄い滅茶苦茶な論理だけど、お嬢さんが言うと許されるような気がしてしまうのは……きっとその愛らしさ故なんだろうな。 「いやいやいやいや、それは無いから」 盛大にツッコむおデコくんの額は、焦りからか驚きからか、かなり油でテカっている。 本当にこの二人は眺めていて飽きない。 二人のやり取りにくすっと笑いを零すと、お嬢さんは僕の出したその音を聞いて僕の存在を思い出したらしい。 「あ、牙琉検事!折角同じ穴のムジナなのに、みぬき、そこの角を曲がってすぐのビビルバーでこれからお仕事があるんです!!」 まだ裁判所の長い駐車スペースを歩いているところだが、みぬきは残念そうな声で門の目の前の道を指差した。 「これからお仕事なのかい?女の子の夜の一人歩きは危険だよ」 僕は心配になってそう声をかける。すると彼女ではなくおデコくんがその問いに答えた。 「大丈夫ですよ、牙琉検事。仕事が終わる時間になったら俺が迎えに行く約束になってるんです」 へぇ、と言いつつ、僕はおデコくんのおデコを食い入るように見つめる。 「王泥喜さんはみぬきのボディーガードなんですよね!」 ちょっと誇らしげに、成歩堂なんでも事務所で一番の稼ぎ頭がおデコくんを見つめる。 「おデコくんがボディーガードとは…随分頼りないナイトだね」 やれやれ、と肩を抱く両手を一旦外して体の上へとすいっと上げた。外国流の「やれやれ」のポーズだ。そしてすぐにまた二人の肩をかき抱く。 「う、うるさいなぁ…女の子を一人で歩かすよりはマシでしょう」 むすりと膨れ面で僕に抗議するおデコくんに、「まぁまぁ」とお嬢さんが仲裁に入る。 「とにかく、残念ですけどそういう訳なので、この後は牙琉検事と王泥喜さんで仲良く帰ってくださいね」 言い終えるや否や、僕の腕の下からするりと逃げ出して、お嬢さんは裁判所の前の角を左に曲がって、そして視界から消えた。 ********** …もう寝ろと脅されてるので寝ます…。続き早く書きたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.10.04 21:14:34
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