テーマ「二十歳の地図」
自分で自分に課している、一年に一度の大掃除の日。それが今日だ。名称とは裏腹に、この大掃除は部屋を綺麗にしたいとか、そういう殊勝な気持ちで行われる儀式ではない。単に私が昔の思い出の品を掘り当てたいと思って、その発掘作業に「大掃除」と名付けただけなのだから。
朝から部屋のあちこちを突っつくと、思い出の品が出るわ出るわの大騒ぎ。好きだったアニメのキャラクターの人形やら、小学生の頃に好きだった男の子から貰ったどんぐりやら、転校した友達との間でやり取りされた手紙やら。どれも眺めるだけでホワホワと心が温まる代物だ。当時の自分がそこから透けて見えるのが気恥ずかしくもあり、また同時に嬉しくもあった。
箪笥の奥から茶封筒が一つ出てきた時には、これもきっと昔を私に思い出させてくれるに違いないと踏んだ。特にそう思うに足る理由がその封筒の外見にあった訳では無い。直感のようなものと呼べば良いのだろうか。
誰もいない部屋の中で、誰に急かされることもなくゆっくり封を開ける。するとそこには三つ折になった真っ白い便箋がたったの一枚入っていただけだった。
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Last updated
2007.11.14 00:26:43
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