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2006/07/12
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カテゴリ:旅行と食べ物の話
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私は道後温泉が好きで3ヶ月に1回は訪ね、温泉街を闊歩する。1人では旅館に泊まりづらいので、ホテルに泊まって外湯回りというのが私の温泉回りの1パターン。

道後温泉本館は1894年に完成。なんと日清戦争の年である。ここの風呂に入ると明治時代にタイムスリップした気になる。
漱石の「坊っちゃん」にも道後温泉本館は登場し、松山の街と人間をあれだけ嫌った気難しい漱石も、道後の湯だけは認めている。道後温泉本館は結構大きな恰幅のいい建物で、建設当時は見る人の度肝を抜いたであろう。巨大温泉レジャーランドみたいな感じだったのだろうか。今では国の重要文化財に指定されている。

また温泉自体の歴史も古く、若き日の聖徳太子が摂政になる前道後にノイローゼ治癒に訪れたそうである。また万葉集にも登場し山部赤人が残した歌が残っている。

しかも道後は雰囲気ばかりか湯質もいい。道後の湯はほんのわずか鉱泉臭さがあり、無色透明で弱アルカリ性。湯には石鹸を溶かし込んだようなツルツル感がある。肌がきれいになりそうで、俗に言う「美人湯」というやつである。しかし36歳の親父のお肌がツヤツヤになってもどうでもいいことだ。

ところで最近、地下数千メートルの深さから無理矢理掘り出したような温泉が、温泉ブームに乗って続々全国で登場しているが、ああいう温泉はどこか重油っぽく汚いにごり方をしていて、どうも感心しない。その点道後の湯は透明感と清潔感があって素晴らしい。
道後温泉の効能は(うさぎちゃんみたい)神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進などだそうだ。

さて温泉といえば、あの白骨温泉はどうなったのだろうか。例の草津の入浴剤を使って、透明な湯をむりやり白くした「入浴剤事件」の温泉だ。
「白骨」というネーミングであるからには、湯を白く保つ必要性があったのだろう。私は自営業者だから入浴剤を入れた旅館の経営者の心理もわかるし、逆に温泉好きの1人として入浴剤で騙された人の気持ちも理解できる。

ところで、あの騒動で一番肝を冷やしたのは温泉評論家の人たちじゃなかろうか。温泉評論家とは「日経おとなのOFF」や「自遊人」あたりの私みたいなオッサン向けの雑誌とか、航空会社の機内誌などに、あの温泉の湯は源泉かけ流しで湯質はピカ一だとか、ここは水で薄めて循環させたまがい物だとか、そういう類の温泉評論を執筆している人たちである。
入浴剤騒動では、旅館の経営者の言うことを鵜呑みにしていたらロクな評論ができないことが明らかになった。今回みたいに騙されることもある。これまで以上に湯質を鑑定するシビアな眼力が温泉評論家には必要になるだろう。

たとえば温泉評論家の中には、白骨温泉に草津の入浴剤が混入されていることも知らずに取材し、白骨温泉を礼賛しすぎて、こんな文章を書いて大恥をかいた人も中にはいるかもしれない。

「白骨温泉の湯はいい。「白骨」という名に相応しい白く濁った湯。湯質は硫黄泉では日本一といわれる草津温泉に匹敵するか、あるいは凌駕しているかも知れない。
白骨温泉の白さには感激する。地下の奥底から噴き出した、自然が醸し出す天然の白さを何にたとえようか。
夏の青空を彩る積乱雲の白、ミネラルを含んだ海の塩の白、山嶺に降り積もる処女雪の白、そんな自然界の「純白な美しきもの」と、十分肩を並べる清らかな白さである。
筆者も白い湯が好きで、家で白色の入浴剤を使っているが、白骨の湯は入浴剤とは比較の対象にならない。白さの「格」が違う。
まだ地球が今よりずっと熱かった昔、恐竜をはじめとする巨大動物の巨大な骨が地熱で溶かされて白濁した温泉になり、何億年もたってからそれが噴出し、人間の身体を癒してくれるのだろうか。
白骨温泉の純白の露天風呂に身を浸していると、そんな古代のロマンをも感じさせてくれる。」


いかさま入浴剤温泉を、こんな大袈裟な仰々しい文章で表現した温泉評論家は、この先どうやって業界で生きていけばいいのだろう。ほんとに罪な入浴剤である。

それにしても、白骨温泉に草津温泉の湯の花が使われていたことで、草津の株はさらに上昇したに違いない。
最近は鬼怒川温泉みたいに源泉が涸れかかって死活問題になっている所もあるというのに、草津とか別府は熱い良質の湯がほとばしるように湧いてくる。

草津の湯の効能は抜群である。草津は古くから温泉療養で有名な温泉で、信玄は草津で刀傷を治癒し、吉宗は持病の梅毒を治すために江戸城に草津の湯を運ばせた。
草津は硫黄臭い酸性の湯で、皮膚の中に電磁波みたいなものがチリチリ、チリチリ入り込んでくるような湯質で、疲労や肩こりが破壊されるような感じである。
そういえば草津温泉は水虫に効くらしい、電磁波のチリチリが皮膚の裏の痒い場所に入り込み、菌を殺すのだろうか。





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Last updated  2006/07/13 12:17:59 AM
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