カテゴリ:映画
そうそう、それで今回の日本往復の機内で3回も観たにもかかわらずロンドンに戻った日にDVDまでレンタルしに行って観た映画はコレ。
「ラブソングができるまで(原題:Music & Lyrics)」 ちょっと邦題のつけ方がダサくないっすかね? 今、調べてみたら日本ではまだDVD出てないのね・・・ でも、誰かこの映画観た人、います? 私個人にとってはこの映画はもう直球どまん中のストライクで、バッターにケンカふっかけてるのかというくらいの勝負ダマでしたね。(笑) この間ちょっと書いてみた「ホリデイ」とこっちを比べると、ああ~、やっぱりこっちの勝ち。 ただ、邦題のつけ方がちょっとねー・・・ 原題は「Music & Lyrics」なのだが、これが「ラブソングができるまで」に化けると若干興醒めではある。 あらすじはいろんな映画の宣伝のところにも書いてあるから若干ここでも書いてもいいだろう。 80年代に一世を風靡したポップバンド、その名も「POP」とそのまんま。 そのメンバーだったアレックス(ヒュー・グラント)。 いまや行楽地のイベントや同窓会の余興でやっとお呼びがかかるかといった歌手生活を送っているが、時々こっそり過去の栄光を時々取り出して磨くような隠れた自尊心は多少残している。 その彼に、栄光の時代からずっと彼についているマネージャーのクリス(ブラッド・ライリー)がある日、うまい話を持ってきた。 今でいえばブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラを足してもまだ敵わない(!)売れっ子歌手のコーラ・コーマン(ヘイリー・ベネット)が、以前のPOP時代の歌を気に入っており、新曲をアレックスに超短期で作ってほしいらしい。 ただ、この話はあくまでもセーフネット付きの話であって、もしも期限に曲ができなかったとか、運よく曲が仕上がってもコーラの感覚と合わなければおシャカになる。 アレックスにとってはこれが成功すれば起死回生の一発逆転ホームランだが、この曲作りには一つのネックがあった・・・彼は作曲はできるが詞が書けないのだ。 たまたまアレックスのマンションの植木の世話のピンチヒッターでやってきたソフィー(ドリュー・バリモア)が口にしたフレーズがアレックスの耳をひき、アレックスは事情を話し、ソフィーに詞を書いてくれないかと懇願する。 しかし、ソフィーにはソフィーの心の傷があり、簡単には引き受けてくれそうにない・・・ ***** 機内で3回も観て、さらに到着後にすぐDVD借りてまでもう1回観たこの映画のツボはもう、なんといっても音楽のパフォーマンスのシーンだ。 映画の冒頭はまず、ヒュー・グラント演じるアレックスがかつて所属していたポップ・バンド「POP」のビデオ・クリップで始まるが、もうこのクリップだけで、ある種この映画は勝ったのと同じである。(爆) そりゃもう、よくこんなに80年代風に作ったなぁと思わんばかりの曲と映像。 映像は、ヒュー・グラントを含む「POP」のメンバーが演奏しながら歌い踊るシーン満載なのだが、そりゃもうメンバーのヘア・スタイルといい、クリップ全体のシークエンスといい、これが80年代でなくてなんなんだというほどのデキなのだ。 あまりこの時期のMTVを知らない人が見たら、このクリップは実際に当時あったんだと言われたら信じるくらいよくできている。 そしてもう一つの見どころは、まああくまでも個人的な感想ではあるが、映画の中では当代きっての人気歌手という位置づけのコーラ・コーマンのパフォーマンスだ。 非常にありえない形で仏教にインドチックにはまってしまっているが、そのわりに素直で可愛い彼女の歌と、見方によってはわいせつ感を醸し出しているダンスのシーンはもう破壊的に楽しい。 役者でいうと、このヒュー・グラントとドリュー・バリモアという組み合わせは人選の勝利と言えるだろう。 例の「ブリジット・ジョーンズの日記」でのヒュー・グラント+レネ・ゼルヴィガーの掛け合いよりも優秀かもしれない。 とにかくヒュー・グラント。 私は長らく彼がどうして人気があるのかが理解できなかったし、以前の映画まで掘り返して見てみようとは思わないが、ここ最近の、ちょっと若くてフラフラした感じを残しながらも実態はその年齢なりの中年なんです、というタイプをやらせればやはり彼はピカイチの逸材だ。 この映画での目立った脇役は、ヒュー・グラント演じるアレックスに、栄光の時代からずっとついているマネージャー、クリス役のブラッド・ライリー。 映画の一場面で、やりたくない仕事をやらなければいけないアレックスをソフィーが励ます場面がある。 ソフィーの励ましの言葉に気をよくしたアレックスが気持ちを切り替える部分があるが、そこでマネージャーのクリスはソフィーに「ありがとう」と言う。 ここの「ありがとう」のひとことの場面は、なかなかいい。 説明しにくいが、ここの場面を映画で観た人はこのひとことの場面にぐっとくるのではないか。 そしてドリュー・バリモア演じるソフィーの姉、ロンダ役のクリステン・ジョンストン。 映画の中ではソフィーにとってコワいお姉ちゃん役だし、そのお姉ちゃんのダンナも子供たちも十分に彼女を怖がっているのだが、以前の「POP」時代のアレックスの熱狂的ファンを体現する場面はかなり笑える。 でも、女性としてはコワモテのお姉ちゃんではあるが、ロマンチストで情熱に溢れ、家族思いでいい人なのが画面からひしひしと伝わってくる。 この映画は今年上半期では上位3位までにランクイン。 難しいことを考えずに笑わせたり少ししんみりさせてくれたりと、これ以上ないくらいストレートなところ(笑)がエンターテインメントとしての映画の仕事をきちっと果たした秀作だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画] カテゴリの最新記事
|
|