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カテゴリ:法務
仕事がら気になった判例でしたので、記載しときました・・・・
備忘録の意味合いなので・・・ 興味のある方だけどうぞ 年金振込先口座預金の差押えの効力(神戸地尼崎支判令和三・八・二) ※この判例の予備知識として、 各種公的年金の受給権は差押えが禁止されています。 【事 例】 ①貸金業者Yは、Xに対して27万円の貸付債権を有していた。 ②Xは、退職公務員であり、国民年金等公的年金の給付金の支給を受けていた。 ③Yは、貸付債権につき差押命令を得て、Xの本件口座預金債権を差し押さえる。 ④差押え当時、口座には残高が数百円しかなかったが、差押命令送達当日、本件給付金が振り込まれ、 残高は11万円となった。 ⑤Yは、本件差押命令により、本件口座預金11万円を取り立てた。 ⑥Xは、Yに対して不当利得請求権に基づき取立金の返還を求めた。 【争 点】 本件差押えは、差押禁止債権の差押えと実質的に同じとみなせる違法なものであるか。 判決要旨 本件差押えは、差押禁止財産に当たる本件給付金が本件口座に入金された直後にその全額を差し 押さえたものであり、実質的に本件給付金を受ける権利の差押えに等しく、違法である。 したがって、Y銀行が本件差押命令に基づき本件取立金を受領したことは、法律上の原因を欠く 不当利得に当たり、Y銀行はXに対して本件取立金を返還する義務がある・・・・ まず、差押えについて少しだけ理解しておく必要があります・・・ 「預金差押え」とは、裁判で勝訴判決をもらってもXが支払いをしない場合に、Xの取引先の銀行預金を強制的にY側に入金させる手続きをいいます。 「預金差押え」を行うためには、Xが預金を預けている「銀行の名前」と「支店の名前」を把握しておかなければなりません。法人などは決算分析のために決算書頂くのでバレバレですけど・・・ まぁ~弁護士に頼むとか・・いろいろありますけど、 預けている「銀行の名前」と「支店の名前」を把握することが最初です。 預金の差押えを行うと、裁判所から差押え命令が預金のある銀行の支店に郵送されます。 銀行が差押え命令を受け取った時点の預金残高が差し押さえられることになります。 ここがミソで、 事前に引き出されたり、その後入金があったりしてもその差押え命令を受け取った時点の残高です。 ・・・ということはタイミングがとてもとても重要ということになります 繰り返しになりますが、各種公的年金の受給権は差押えが禁止されています。 あくまでも受給権であって、差押禁止債権の目的金銭が預貯金口座に振り込まれると、預貯金債権に変わってしまいす。この預貯金債権は、直ちには差押禁止債権にならないとの通説・判例があります。 某ハードオフに暮れの大掃除に伴う不用品を売却して100円もらって「こんなもんかと」握りしめて、その後財布に入れてしまうと、もうどれがその時の100円か分からない・・・ ちょっと例えが悪いか・・・ おそらくですが、本件は公的年金の振り込みタイミングを計っての差押えかと・・・ しかし、差押禁止債権が振り込まれた口座預貯金債権が差し押さえられた場合、 Xは、預貯金債権のうち差押禁止債権を原資とする部分(公的年金)を特定できれば、民事執行法一五三条一項の差押禁止範囲の変更の申立てにより、預貯金債権の差押命令のうちその部分の取消しを求めることができるんです。 でもでも、 今回のケースは、Xが差押禁止範囲変更の申立てをしないうちにYが預貯金を取り立てた場合、 Xは、不当利得返還請求権に基づきYに対して取立金の返済を請求できるか問題になります。 下級審(高裁・地裁・家裁・簡易)判例では、肯定・否定両説があります。 今回のの肯定説は、取立て自体は違法といえないが、実体法上は、差押禁止の趣旨に反すると判断したものと考えられ、XのYに対する不当利得返還請求権に基づく取立金の返還請求を認容した結果となりました。 差押え債権者側からすると、なんだかなぁ~ですが・・・ それと・・・ 上記のとおり勝訴判決をもらった後でなければ出来ないのはタイムリーさに欠けてしまいます。 裁判が終わってから差押えをした時点では、ほとんど預金残高が残っていない なんてことが考えられます。 このリスクを回避するための制度が「仮差押え」です。 「仮差押え」の手続を取引先に対する裁判の前に行うことで、取引先は仮差押えされた銀行口座から預金を引き出すことができなくなります・・・
なんとなく興味湧きましたか 国家権力を嵩にかけたいじめみたいな気もしますが・・・ お金の世界はきびしいのです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年12月30日 00時00分12秒
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