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2007.08.04
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カテゴリ:憲法九条


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  
ミャーボーの詩の教室5/原爆の詩
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  

もうすぐ、広島、長崎に原爆を落とされた日がやってくる。今日は原爆の悲惨さを記したいくつかの詩を紹介させて頂こうと思います。

先週亡くなったとても大切な友人の『かみさま』は「アカは嫌れーだ!とかロスケとかチャンコロ(中国人に対する蔑称)とかいいながら、貧しく恵まれない人たちに対する視線はとても優しかったのです。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  


長崎の雨/イリヤ・エレンブルーク

雨は長崎をさまよい 気負いたち ぷりぷり怒る
少女は恐ろしそうに 盲の人形を手に持っている
この雨は余計なもので 木々は嬉しくないのだ
桜は花咲いているが  花々はもう散りはじめていた
この雨は灰をふくみ それは静かな死の味がする

人形は盲になった 少女もあすは盲になるだろう
こどもの棺にもちいる板は  毒になるだろう
かなしみとながい恨みは 調味料になるだろう
恨みもーー雨のようにおおい隠せるものでない
魚たちは気が狂い 鳥たちは地上に落ちてくる
鳩はまもなく 烏のようにカアカアと鳴き出すだろう
沈黙行者のような鯉たちは ほえたてるだろう
野の花たちは 人々にすがりつくだろう

大気は胸に刺さり 心臓を吸い取り食い尽くすだろう
長崎は雨のように 恨みを堪えることができない
ぼくたちは おまえを死なせはしないよ 長崎よ
遠い 緑の しずかな小公園の子供たちよ
ここでは 信仰のことではなく 信仰に逆らうのでもなく
ここではありふれたことーありふれた人間の命のことなのだ
雨はすぎ去り もはや桜に降り注ぎはしないだろう



イリヤ・エレンブルークは僕が世界に存在する国のなかで、もっとも忌み嫌う旧ソビエト連邦の詩人です。こそ詩はイリヤ・エレンブルークが1950年代に日本を訪れた時の印象を詩にしたものです。ソビエトは嫌いだけど、トルストイ、ドストエフスキー。チャイコフスキー、マヤコフスキー。
エイゼンシュタイン(映画作家)トロツキー(革命家)ETC・・・・はやはり20世紀に記憶されるべき偉大で傑出した人物だと思います。

『原爆が落とされて結果的に良かった』などという被爆された方々及びその遺族の方々の感情を逆撫でする発言をした政治家の方などに、ぜひ読んで頂きたい詩です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  


【 作曲者名 】木下航二
【 作詞者名 】ナームズ・ヒクメット
【 訳詞者名 】飯塚 広

扉をたたくのはあたし あなたの胸に響くでしょう
小さな声が聞こえるでしょう
あたしの姿は見えないの

十年前の夏の朝 私は広島で死んだ
そのまま六つの女の子
いつまでたっても六つなの

あたしの髪に火がついて 目と手が焼けてしまったの
あたしは冷たい灰になり
風で遠くへ飛び散った

あたしは何にもいらないの 誰にも抱いてもらえないの
紙切れのように燃えた子は
おいしいお菓子も食べられない

扉をたたくのはあたし みんなが笑って暮らせるよう
おいしいお菓子を食べられるよう
署名をどうぞして下さい

★この詩は年の離れたの全共闘世代の姉から教わりました。1950-60年代の歌声運動で歌い継がれた反核の唄です。姉の世代が通った『歌声喫茶』でさかんに唄われたようです。詩としては最終行の『署名をどうぞして下さい』が直裁すぎるメッセージとして詩の魅力をそこなっています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  



峠三吉原爆詩集 『すべての声は訴える』より・・・・・


1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾により命を奪われた人、また
現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして生
きているかぎり憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに全世界の原子爆弾を
憎悪する人々に捧ぐ (峠三吉)

ちちをかえせ ははをかえせ
  としよりをかえせ
  こどもをかえせ
 
  わたしをかえせ わたしにつながる
  にんげんをかえせ

  にんげんの にんげんのよのあるかぎり
  くずれぬへいわを
  へいわをかえせ

これが人間なのです(平仮名改正版)

原子爆弾に依る変化をごらん下さい
肉体が恐ろしく膨張し
男も女もすべて一つの型にかへる
おお その真黒焦げの滅茶苦茶の
爛れた顔のむくんだ唇から洩れて来る声は
「助けて下さい」
と か細い 静かな言葉
これが これが人間なのです
人間の顔なのです

1950年、アメリカのトルーマン大統領が朝鮮戦争に原爆を使用することを
検討しているという声明を聞き、
それに抗議するために、峠三吉は原爆詩集という詩集を書きました。その序に登場
するのがこの碑文です。
紹介させて頂いた三つの詩でやはり、訴える力があるのは、峠三吉の言葉だと僕は思います。

毎年、夏がくるたびに峠三吉や原民喜の『夏の花』を思い出そうと思います。戦争体験が風化しつつある、いま多くの戦争を知らない(もちろんぼくも知らないのですが、父母の戦争体験を聞いています)若い人たちに峠三吉や原民喜の記したものに触れて頂きたいと願っています。





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Last updated  2007.08.05 01:43:38
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