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Jun 23, 2008
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カテゴリ:映画鑑賞記録
"THE 11TH HOUR"
http://www.11thhourfilm.com/ (英語)

監督・・・ナディア・コナーズ、ライラ・コナーズ・ピーターソン
製作・・・レオナルド・ディカプリオ
ナレーション、出演・・・レオナルド・ディカプリオ

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カンヌ映画祭で上映されました。
日本では、招待制のプレミアム上映会があるのみで、劇場公開はありません。
熱心な環境保護活動家としても知られるディカプリオが、製作・脚本・ナレーションを務めた、地球温暖化の危機を訴えた環境ドキュメンタリー。

各分野での第一人者である科学者や研究者などのインタビューを交互に映し出しながら、現在地球が瀕している破滅への道を示しています。
タイトルの"THE 11TH HOUR"ですが、0時を人類滅亡のタイムリミットと仮定した場合、既に我々は11時台の時刻に差し掛かっているという意味です。
ある科学者は、それも11:45位だと明言していました。

多くの科学者が指摘するよりも速いスピードで、地球の環境は変化してきている。
その刻限は、数十年後という短い時間だと言う。
北極の氷は、あと20~30年後には全て融け、そこは海になる。
目に見えない遠い未来の話ではない。
私達が生きている間に、地球は人間が暮らすには、余りにも過酷な場所と変わるのだ。

冒頭である科学者の言った言葉が、耳に残りました。
環境は滅びない。人類が滅びるだけだ、と。
人間社会が壊滅的な状況になった後も、地球はまだ残り、人間を抜きにした"環境"は続いてゆく。
確かに、そうだろうと思いました。
地球も何れは消える定めにありますが、人類はその最後の時まで、とても生存は出来ないでしょう。
勿論、宇宙に脱出するなんてのも夢物語。

地球は大気に包まれています。
大気は太陽熱を蓄え、惑星の表面温度の低下を防ぎ、その結果、地球は生命が生息するのに、最も適した環境を作り出してきました。
このバランスが崩れる切っ掛けとなったのは、産業革命です。
化石燃料という再生不可能なものに、人間が依存し始めた時。
文明の発達で、人口は爆発的に増加しました。
そして"自然"は"資源"となり、そこに経済価値が生まれました。

人間を突き動かす原動力、それは飽くなき欲望。
一度動き出した歯車は、全てを破壊し尽くし、自らも壊れるまで止まらない。
近年、漸くエコロジーに対する関心が、世界的に高まってきました。
けれども現実は、目先の利潤を追求する事に執着する巨大企業と、そこから甘い汁を啜ろうと、彼等を擁護する政治家や政府、二つの巨大な力が、"利益"を媒体にして癒着している。
彼等の作為・不作為によって、明日世界が滅ぶとしても、今、目の前にある暴利を貪る事に専念する、それが企業と政治。

ある科学者は言った。
図書館に行けば、地球の危機を回避する方法が書かれた本は、幾らでも見付かると。
しかし世界を牛耳る力を持つ者達は、利潤を優先させ、利益を減らしてしまうようなコストを要する方法には、顔を背ける。
表向きでは環境問題に取り組んでいると、綺麗事を並べながら、実際は本腰を入れはしない。

巨大な力の前で、私の様な一個人は、義憤に駆られながらも、彼等を動かす力も無く歯噛みするしかないのだろうか。
シンポジュウムを開くと、必ず「自分は何をしたら良いのか?」という質問をされると言う。
先ずは、自分が何かをすべきである、という認識を持つ事だと、彼は言っていた。
また別の人物は、人間は自分が関知する範囲ではベストを尽くす生き物である点に着目していた。
個々の人間が、認識レベルを高め、広げれば良いのである。

これは随分前に、私が某所で、「自分はノンポリだから投票には行きませ~ん。」と、他人事のようにコメントした人物に対して書いた、怒りの日記と被るものだと思う。
彼は自分が暮らしている社会を、まるで他の惑星の出来事のように考えていると感じた。
私はあの時確か、何処まで範囲を狭めれば、彼はそれが自分が正に関わっている場所だと認識できるだろうか?というような内容の記事を書いた。

人は自分の家が燃えていれば、必死で消火しようとするだろう。
そればその人が、燃えているのは、自分に直結したものだと認識しているからだ。
一人一人の認識レベル、視野を広げなければいけない。
今、人類にとって最適だった環境は、劫火の中にあるのだと、そして鎮火させなければ、私達は程無く滅亡の時を迎えるのだと。

"投票"とは選挙に行く事だけではないと、女性科学者がコメントしていた。
日々の暮らしの中での選択。
自分はこれを買わない。自分はこれをしない。
そんな個々の行動で、自分の意志を外に向かってアピールする事。
これが個人の出来る、環境に対する"投票"です。


映像作品としては、ずっと科学者達が喋り続ける形式を取っているので、聴覚だけで理解させようとしているので、少し疲れてしまうというのも本音。
もう少し、世界各地の生の映像を入れれば、視覚的にも温暖化による深刻な影響を訴える事が出来たと思うので、その辺は演出不足で残念だった。


しかし一番の問題点は、こういう映画を進んで観に行くような人は、既に危機的意識を持っている人々であって、適当に生きていれば、死ぬまで同じような社会で、人生を終えられると思っている、深刻な問題に無関心な人々の心を、どう動かすかなんですけどね。(;一_一)
だからディカプリオ自身も、この映画を作る動機として、俳優である自分が映像を製作する事で、若い世代にも関心を持ってもらいたかったと話しているのです。
これはアメリカ国内の問題を取り上げた作品ですが、日本も全く同じ事です。

異常気象は世界各地で観測されています。
夏は私が子供の頃に比べて、確実に暑くなっています。
みんな、可笑しいと気付いていますよね?
地球に暮らす生物の一つとして、自然が上げている悲鳴を無視してはいけないと思うのです。

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最終更新日  Jun 24, 2008 02:03:35 AM
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