テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:映画鑑賞記録
"HOTEL RWANDA"
監督・・・テリー・ジョージ 出演・・・ドン・チードル ポール・ルセサバギナ ソフィー・オコネドー タチアナ・ルセサバギナ ホアキン・フェニックス ジャック・ダグリッシュ ニック・ノルティ オリバー大佐 デズモンド・デュベ デュベ デヴィッド・オハラ デイヴィッド カーラ・セイモア パット・アーチャー ファナ・モコエナ ビジムング将軍 ハキーム・ケイ=カジーム ジョルジュ・ルタガンダ トニー・キゴロギ グレゴワール ジャン・レノ ・物語序盤・ 1994年、ルワンダの首都キガリ。 ポール・ルセサバギナは、ベルギー系の高級ホテル"ミル・コリン"の支配人として働く裕福な男。 各国の上流階級の人々とも親しくし、妻と子にも恵まれ、何不自由無い暮らしを送っていた。 ルワンダには、多数派のフツ族と、ベルギー寄りの少数派ツチ族、その他複数の部族が居り、争いが絶えず、長年不穏な空気に包まれていた。 ラジオからは引切り無しに、ツチ族を抹殺せよという煽動的なプロパガンダが流れ、教育も受けていない多くの貧しいフツ族は、その放送に毒され民兵に参加するように。 この内紛を収めようと、和平交渉の席で紛争終結に調印したフツ族出身のハビャリマニャ大統領が、何者かの手で暗殺されると、それを契機に、フツ族のツチ族虐殺が開始された。 自宅に帰宅したポールは、近所の友人宅が国民兵に襲撃されている所を目撃する。 ツチ族の妻タチアナは、お偉方の知り合いに頼んで、彼等を助けてくれと頼むが、ポールは根回しで守るのは家族だけだと断る。 日一日とフツ族の蛮行はエスカレートする一方で、ポールは家族と近所のツチ族の住人を連れて、ホテルに身を潜める事に。 その後も虐殺を逃れて、命辛々逃げてきた難民達が押し寄せ、ホテルは大混乱に陥る。 外国資本の一流ホテルであるという事で、今の所、民兵も手を出せずにいたが、それも風前の灯火。 政府軍のビジムング将軍に賄賂を渡して警護を頼み、民兵の副議長で物資を提供してくれるジョルジュとも穏便に交渉し、ポールは何とか事態を切り抜けようと努力するが…。 警備に当っていた国連軍オリバー大佐は、国連介入軍が到着する迄の辛抱だと言うが、数日後に現れた各国の軍隊は、宿泊している自国人だけを連れ帰り、ルワンダ国民は置き去りにするという決定を伝えた。 オリバー大佐達は残ったが、国連軍は300名足らず、しかも彼等には自衛目的でも発砲許可は無く、ポールはルワンダが欧米諸国や国連から見捨てられたという絶望的な事実を聞かされる。 DVDにはテリー・ジョージ監督とポール・ルセサバギナが、映画の映像を観ながら、当時の状況を語る長いコメンタリーが収録されていますが、それを観ても、非常に複雑で簡単には理解できないルワンダの実態。 この問題に限りませんが、紛争や虐殺の裏側には、様々な国家や組織の思惑や利権が絡んでいるので、フツ族が多数のツチ族を虐殺したという事実は、実際には誰もが簡単に見て取れる、物事の表面でしかないのかもしれません。 出演者はさり気無く豪華です。 何れもチョイ役ですが、ダグリッシュという名の西欧の記者として、ホアキン・フェニックス。 またクレジットには出ませんが、ミル・コリン・ホテルの本社総支配人に、ジャン・レノが扮しています。 フツ族によるツチ族の虐殺は、当時日本でも大きく報道されたので、鮮明に記憶に残っています。 しかしこの映画を観るまで知らず、非常に驚いた事が一つ。 フツ族とツチ族の由来です。 彼等を分類したのは、ルワンダに肩入れしていたベルギーで、分類方法は外見のみ。 鼻が細い、背丈が高い等、割りと白人に近い容姿をした人々をツチ族として持ち上げ、自分達寄りのグループを作ったという経緯。 元々違う部族で争いが絶えなかったというのなら納得も行きますが、こんな分類をされて、反目させられるとは…。 ツチ族襲撃の暗号は「高い木を切れ」。 詰り、より西洋人に近い背の高いツチ族を指している。 日本でこの分類をするなら、モデルやアイドル、俳優のようなルックスの良い人達を集めて、優位グループを作るという事ですよね。 そりゃ、そこに入れなかった人間の彼等に対する、嫉妬や憎悪は膨れ上がるよな…。 初めから憎み合えと言われているようなものです。 赤十字に勤めて、現地の難民救済に当っている女性アーチャーが話した言葉は、現実にツチ族の子供が口にした言葉です。 「もうツチ族はやめるから助けて。」 ツチ族の勢力が盛り返さぬように、子供や妊婦を徹底的に虐殺していったフツ族。 子供達はどんな思いで殺されていったのか…。 その恐怖と苦痛を思うと言葉が出ない。 報道のダグリッシュが撮影してきたという形で映画に映された映像は、映画用に作られたお芝居ではなく、フツ族がツチ族を鉈で切り殺している現場を撮影した本物の映像という事でした。 この映像の使用に当たっては、内部でも議論があったようですが、現実をより多くの人々に知らせる為に、敢えて使う事に決めたそうです。 手振れもなく、あまりに綺麗に映った殺戮場面だったので、本物とは俄かに信じられませんでした…。 諸外国の軍隊に置き去りにされるルワンダ国民は、銃で撃って殺してくれと懇願したそうです。 自分達に未来が無い事は、もう覚悟している。 せめて死ぬのなら、鉈で切り付けられ、長時間苦しみながら迎える死より、射殺される方がずっと楽。 見捨てるのならば、せめて射殺していってくれと。 無論、その願いが叶えられる事はありませんでした。 彼等は、民兵や政府軍から、ゴキブリと呼ばれ、嬲り殺しにされました。 軍隊の構成も非常に入り組んでいます。 政府軍も民兵も、どちらも大統領の配下なのです。 民兵は、統制が利かなくなった政府軍の代わりに、大統領が新たに作った組織。 だから、どちらもツチ族や穏健派のフツ族にとっては脅威です。 そして傍観者、オブザーバーとしての役割しか果たさない国連軍。 漸く最後の方で反乱軍が、勢力を増してきますが、結果的には、約百万人の人民が殺戮される惨事に…。 自分のテリトリーを侵すものを攻撃し、排除するというのが、人間の動物としての本能だと思います。 だから殺し合いは永久に無くならないと判っているのですが。 でも、どうしても問わずにはいられません。 何故、こんな事をする必要があるのですか?と。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 6, 2008 02:37:29 PM
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