初夜 林真理子
文庫: 266ページ 出版社: 文藝春秋 (2005/6/10) なかなか内容の濃い短編集でした。○ペット・ショップ・ストーリー 近所の噂話が大好きなペットショップの女のところで、決して忘れられないあの女を見つけた。近くに引っ越してきたのだろうか・・・。○初夜 娘が子宮筋腫に罹ってしまった。 まだ結婚せず42歳で独身だった。母親は癌で数年前に死んでいた。 男を知らずに子宮を取ってしまうのが可哀想で・・・。○メッセージ 35歳の留美は子供も中学に上がり、ひと段落ついたところで人生にピリオドを打ち、夫以外の他の男に興味を持つことにした。 フランス語の勉強をすると嘘を付き・・・。○眠れる美女 49歳の女性がからだの変化を感じていると・・・。○お帰り 「秘密を守る為には、同じ立場の相手を選ばなくてはいけない」 夫にばれないよう最新の注意を払ってきたつもりだ。 お忍びで京都から帰ってくると、改札で待っていたのは夫ではなく、相手の妻の姿が・・・。○儀式 女にもてて、それが原因で離婚をする男は、大抵子供は女の子である。 今の夫も前の妻のところに娘を置いてきた。 「他の女の人の為に、女房と子供を捨てるような男は、また必ず同じことをする」と言った実母の言葉どおりになってしまうのか・・・。○いもうと 離婚した妹が会ってくれと会社に電話を掛けてよこした。 また金の無心かと思ったのだがそうではなく・・・。○春の海へ 恋する人妻39歳。 英会話スクールで知り合った45歳の伊藤との浮気で、自分が華やかになった。○帰郷 母がとうとう動けなくなってしまったので、田舎に帰ってきた。 姉は結婚して子供の世話が大変なので、妹である絵理里が面倒を見ることになった。 下品で底意地の悪い女「松子」との幼少時代を思い出す。 松子が家庭を築けるはずもなく、やはり離婚して田舎に戻ってきていた。○雪の音 癌で死ぬことが、田川家のならわしになってしまった。親兄弟親戚8名が癌で逝った。 とうとう母までも乳がんに罹ってしまった。 今日は気分がいいから、と戦時中の話をしはじめて・・・。○秘密 リサイクルショップに勤めだし、東京へ買出しに行く出張も任されることになった妹は、学生時代の男友達と密会するように。 出張の時に子供を預る姉としても、ドキドキしながら帰りを待つが、とうとう終電に乗っていない日がやってきた・・・。初夜