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カテゴリ:生活
コタツ、障子、仏壇・・・そして何よりも気に入ったのがおばあちゃん。 クリスと二人で「cute! cute!」と祖母の頬にキスをしたりして。 私や妹の友達も集まり、これ以上盛り上がれないというほど笑い、踊り、飲んで盛り上がった 最初硬い表情だったケイもやっと打ち解けた頃、クリスが「帰る」と言い出した。 てっきりケイも一緒かと思ったのに、ケイは「残る」と意見が分かれた。 さすが個人主義のお国の方、クリスはケイを残して帰ってしまったのだ。 クリスの行動に意外な気持ちになったけど、後でケイを送り届けることを約束してクリスを見送った。 ひとり残されたケイはますます陽気になり、饒舌に様々な話をした。 ひとしきり話終わった頃、強い口調で「クリスをアメリカに帰して」と私達に訴えた。 クリスが大好きな私達は冗談交じりで「ずっと日本にいて欲しいから帰さない」と言った。 「帰して」「いや、帰さない」・・・私は好きな娘をいじめる小学生の男の子のようにからかいながらケイの訴えに応えた。 「うぅぅ・・・」 「あれ?」言い過ぎた。 アルコールが回ったのか、ケイは感情的に泣いてしまった。 ケイにとってのクリスと、私達にとってのクリスは全く違うものだということを目の当たりにした。 「ごめんね、許して、泣かないで」 慰めの言葉を思いつくまま連呼した。 今まで鬱積したストレスを吐き出すようにケイは号泣してこう言った。 「寂しいの、ひとりで寂しいの」 こんなに友達を想えるケイも、想われているクリスも羨ましく、美しい友情愛が私の胸を打った。 私はかける言葉も見つからないまま、ケイの髪をなでるしかなかった。 そしてようやく落ち着き、普段歩いて10分ほどの所にあるクリスの家まで、泥酔したケイを友達と両肩に抱え蛇行しながら1時間かけて送り届けた。 「はっはっはっはぁ、、、、、、」 バーに響き渡るような声で、その時の話をいつもの調子で笑って聞いていたクリス。 (もう、笑い事じゃないよ~)と思いながらも、この屈託のないクリスが私達は好きでたまらない。 そして次の瞬間、ふっと笑顔が消え、しばしの沈黙が流れた。 秘密があると言った後、私達は衝撃的な告白を聞くことになる。 「私はゲイよ。そしてケイは私の恋人なの。」 一瞬耳を疑った。 私は20才そこらの小娘じゃなかったし、色々な経験もしてきたつもり。 ゲイの男の人も沢山会っているし、ちょっとやそっとのことでは驚かない。 でも、女友達がレズビアンだったという真実を受け止めるのには、時間が必要だった。 色々な場面がフラッシュバックしてきて、私の頭の中をめぐった。 英語の授業の中でよく出てきたゲイの話題。 そして何よりもケイが異常なほどに号泣した意味をその時ようやく理解した。 しばらくして我に返り、辺りを見渡す。 ゲイ、ゲイ、ゲイ・・・ゲイだらけ。 そう、ここは新宿2丁目のゲイバーなのだから当たり前だ。 近くで飲んでいた私達を「知ってる店がある」とクリスが連れて来たのがこのバーだ。 外人が多いからこの場所を知っていると思っていた。 きっとクリスはcoming outするためにここに連れてきたのだ。 なんでもっと早く気づいてあげられなかったんだろう。 あまりにも鈍感な自分の勘を心の中で叱咤した。 1%もクリスをゲイと疑わないで付き合ってきた私達の頭の中の整理がつかないうちに次の真実を知ることとなる。 またまたつづく+++☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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