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カテゴリ:生活
それは、お世話になった先生だったり、嫌な先生だったり、または強烈なキャクターのために忘れようと思っても忘れられない先生だったり。 私が中学に入学してすぐ担任になったK先生。 一番後者の意味で忘れたくても忘れられない教師の一人だ。 見かけは「カエル」 声も「カエル」 だからあだ名も「カエル」 そんなカエルは、中1の子供たちの格好の餌食だった。 授業中、男子生徒が隠し読みしていた漫画をカエルが取り上げ、半分に引きちぎろうと思ったがなかなか破れない。 顔を真っ赤にしてちぎろうとするのだが、クラス中から「クスクス」と笑い声が漏れ、 結局破れずに大爆笑の渦。 またある時は、廊下を電動ブラシで掃除をしようと張り切ったはいいけど、馬力の強い機械に振り回され「だ・だれかとめてくれ~」と言いながらクルクル回るカエル。 今思い出しても笑える滑稽な姿。 必然的にカエルを題材とした歌が作られ、いつも注目を浴びていた。 私の脳の一部に、カエルの記憶が大きく占められているのがもったいない。 でも、からかわれるということはある意味愛されている証拠でもあり、憎めない存在だった。 英語の教師だったカエルが徹底的にやってくれた発音のおかげで、海外で活躍している友達も発音のだけは感謝してると言う。 ある時、中学の教師をしているAちゃんから面白い話を聞いた。 「同僚の教師がカエルを知っていて、今度食事に行こうって誘われている」 私達は怖いもの見たさで、その誘いを受けた。 久しぶりに会ったカエルは少し老けたものの、相変らずカエルだった。 他には、小判鮫のような男性教師と、草食動物のような男性教師、私達合わせて合計5人の不思議な面子だった。 最初は黙っていようと何も言わずに食事をして、他愛もない話で時間が過ぎた。 かつての生徒でも、大人に成長した私達には全く気が付かない様子だった。 私達はカエルの驚く顔が見たかったのだが、カエルは期待を裏切らず、一瞬凍りついたようになって私達を思い出した。 その後は当時の懐かしい想い出話や、同級生の近況を話、他の先生のぶっちゃけ話でその場は盛り上がった。 大人になってから会ったカエルは、昔の滑稽なカエルではなく殿様カエルくらいにイメージアップしていた。 特にAちゃんがカエルと同じ英語の教師になっていたことが何よりも嬉しかったようで、高揚したカエルは「次の店に行こう」と席を立った。 小判鮫や草食動物とも打ち合わせもせず、当たり前ように行きつけの店へ足を運んだ。 行き先を知ったAちゃんと私は同じ思いで目が合った。 「またか」 そうここは新宿2丁目、ゲイの街。 おかまバーは楽しくお酒を飲ませてくれるという理由で女の子を連れ行く男性も少なくない。 私は店に着くまでの間「どうかそうであって欲しい」と願った。 しかし、その願いはあっさり裏切られる。 道で通りすがるおかまちゃんから「おとうさん」「おとうさん」と声がかかる。 店に入った私達を厚化粧のおかまちゃんが出迎えてくれた。 「あら~おとうさん、こんばんは~」 そしてカエルもワントーン上げた声で 「あら~お元気だったぁ~ん」 唯一結婚している小判鮫も、40歳過ぎても未婚の草食動物も次々とオネエ言葉になっていく。 「あちゃ~こいつもか!」>< そういえば、中学の頃からカエルは新宿歌舞伎町に住んでいた。 何でそんな所に住んでいるか当時から疑問に思っていたものの、ゲイということは気が付かなかった。 しかも、新宿の母ならぬ、「新宿2丁目のおとうさん」とまで言われる人物だったとは!? そして、旅行好きなカエルがゲイ仲間と行ったフランスでの写真を見せられた時、 「なっ、わかるだろ?」 と、自分がゲイであることを厭らしい笑みを浮かべ私達に伝えた。 きっと、クリス達のことを知らなかったら、胃の中の吐しゃ物をこのエロガエルの顔面にひっかけていたかもしれない。 でも、その時の私達はそれが普通のことであり、昔の担任教師がゲイである事実も飄々と受け止められた。 その後、草食動物とカエルだけディープなエリアへと姿を消した。 しかしどうしてこんなにも私達の前にゲイが出現するのだろうか? ゲイの神様が私達を導いているのだろうか? それから数日後、ある合コンで30代後半の男性と出遭った。 真っ先に疑ったのは「ゲイであるかもしれない」ということだった。 しかし・・・その男性は・・・・ 次の最終章までお付き合いください~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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