よしもとばななさんの新刊を読んだ。
読み終わってみると、なんだかハーブティーを飲んだ後のような気持ちになった。
しかも、飲み終わった後にジワジワと効能を発揮してくれるところもハーブに似ている。
元気が出るというほどパンチが効いたものでもないし、言葉の魔法で癒されたという類のものでもない。
なんだか身体の中の悪い物が何かに包まれてフーっと抜けていったような。
こんな私でも落ち込んだり、元気が出ない時もある。
ちょっとしたストレスなら解消するコツもあるけど、何か深い溝に入り込むとなかなか抜け出せない。
しかも、現在のことなら解決策もあるのだが、過去のことになるとその事実は消せない。
押し込んで押し込んで蓋をしたはずなのに、何かの拍子に心の中で暴れだす。
そんな気持ちを理解してくれたMさんが、そっとこの本を貸してくれた。
実は’よしもとばななさん’の本を読むのは初めての私。
’キッチン’でデビューした頃から、もっとおキャンで浮かれたイメージがあって敬遠していたから。
Mさんも私と同じようなタイプなので、感じ方が似ている分、傷つき方も似ている。
だからこの本が私に薦めてくれたのだと思う。
感受性って深い人もいれば浅い人もいる。
例えば私がステージ5だとすると夫はステージ1くらいの違いがあって、どんなに私が深く感じたことを話しても、それは永遠に理解できないってことなのだ。
ステージ1が悪いって言うんじゃなくて、そういう感受性を持った体質ということ。
それに気付いたのはわりと最近のことで、以前は解ってもらおうという無駄なエネルギーを使っていた愚かな私がいた。
でも、ステージ5の私からすると、ステージ1のあけらかんとしたその体質が羨ましくもあり、だから夫婦になったのかな?と思うこともある。
同じステージだったら楽しいだろうけど、一緒に生活すると共倒れになるか息詰まるかどっちかだろう。
(別に夫のことで悩んでいたわけじゃないんだけどね~)
きっと夫にこの本を読ませても、こんな話を聞かせてもナンノコッチャって思うだろう。
だから、全ての人にいいというわけじゃないけど、作者があとがきにこんなこと書いていた。
「もしも自分がほんとうに弱っていて、でもそれが病気や事故など命に関わることではなくて、そんなことでこんなに弱っている自分が情けない・・・・という気持ちのときにこんな小説をだれかが書いてくれたらいいな、と再読して思った。そんな小説だと思う。
弱っているときにしか価値がないともいえるが、弱っているときにじんわりとしみてくる気がする。」
過去があったから今があるのだし、その忌々しい過去もすぐに消さなくてもいいんだって。
2時間もあれば読めちゃうくらい薄いこの本から栄養をもらえた気がする。
ちょっとした心のすり傷にお薦めします。
それとこの本に加えて、理解してくれるステージ5の友人と、こんな時に飲むハーブ「セント・ジョンズ・ワート」が私を元気にしてくれたのかも(*^_^*)
ありがとう