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【送料無料】ふしぎなオルガン新版
 
 礼拝説教のネタも台本も聖書にある、といえばその通りなのだが、ときどき聖書の言葉や考え方を思い起こさせる本に出会うことがある。
 永遠の命。あるいは神の裁き。
 そんなテーマで考えさせられるのが、リヒャルト・レアンダーの童話集「ふしぎなオルガン」に収められている「天国と地獄」。
 
 ある町に金持ちと貧乏人が住んでいて、たまたま一緒に死んで、天国に向かう(金持ちと貧乏人の対比は金持ちとラザロのようかも...)。
 天国の鍵を持つペトロが金持ちと貧乏人を控えの間に通します。そして、二人に向かって「ここでしばらく待っていなさい。そして、天国でどんなことを望むのか、何が欲しいか、考えていなさい。遠慮せずに一つも言い落すことのないように」と言った。
 しばらくして、ペトロは戻ってきて、金持ちに「何が望みだね」と聞くと、彼は「皇帝陛下が住んだこともないような金の御殿に住むこと、どびきりのごちそうをー朝はチョコレート、昼は子牛の焼肉にリンゴの砂糖煮、ミルクライスに焼き腸詰、夜は毎晩ちがったごちそうが欲しい。そして、安楽椅子と新聞が欲しい」と言った。ペトロは「まだほかに欲しいものはないのか」というと「お金をどっさり。穴倉という穴倉にどっしりと」と答えた。
 ペトロは金持ちを彼の望み通りの部屋に通して、外からかんぬきをかけて去って行った。
 何十年かが過ぎ、百年が過ぎた。すると金持ちはもう金の御殿には飽き飽きし、ごちそうの数々にも飽き足りて、たいくつになってしまった。お金があっても使うところもない。外を見ようと窓を開けても真っ暗であり、誰一人として訪ねてこなかった。そうして千年たったとき、ペトロが来て彼に「居心地はどうか」と尋ねると、彼は「ひどい居心地だ。何一つ聞こえないし、何一つ見えない。最低の居心地だ。」と言った。そして、「天国とか永遠のさいわいとか嘘八百じゃないか」と悪態をついた。
 するとペトロは 
 「お前はここが天国だと思っていたのか。お前は自分がどこにいるのか知らないみたいだな」と言って、彼が実は地獄にいるのだ、と伝えた。
 「地獄も地獄ずっととおくのほうで、かわいそうなくらいになる」とのこと。
 金持ちは、自分が地獄にいるということで悲しく絶望的になった。

 物語は、その後天国にいる貧乏人の姿を伝え、最終的に金持ちが救われることを伝える。
 
 そして、救われた金持ちに向かってペトロは次のように語った。
 「それにしても、お前は自分にその気がありさえしたら、ずっと楽ができたのだった、じゃないかい?」

 
 





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最終更新日  Jan 9, 2011 09:26:32 PM
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