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カテゴリ:劇団☆新感線
そして、結界の破片を書いていて浮かんだ、一つの妄想。
これは確実に春ちゃんに怒られるかなぁ~・・・ 乱鶯のネタバレあり。 あのエンディングのその向こう。その彼方。そして、私なりのあのラストの解釈の1つの方法。 ******************************************************************************************* 今日も鶴田屋は賑やかに営業中だ。 客たちの笑い声と、美味いものの匂いと、そして、別嬪の女将の笑顔 ・・・でも、足らない。あの日から足らなくなったもの・・・ 「本当に、あの世っていうのは暇ですね!」 「いっただろう、本当に暇だって。お前、信じてなかったのかいっ!」 鶴田屋の奥、二階へと上がる階段に、図体の大きな男と、眼鏡の男が座っている。 ニコニコと笑顔で、店の繁盛を見守っている。 「う~ん、半分半分ってところですかね。でもいざ行ってみると、おやっさんがぷらぷら店に出てきてた 気持ちがよぉくわかりましたよ」 「ぷらぷらとはなんだい、ぷらぷらとは!俺は、あの時、ほんとうにお前たち二人のことを心配してだなっ!」 一人、店を切り盛りしてる女将と、文句も言わず手伝ったりする常連客。 主と、料理人が、いなくなり、確かに品数は減ったが、ここに漂う暖かい空気を求めて客たちは足を運んでくれている。 「あの野郎、勘定ごまかしやがった!」 すっと、階段から消えると、銭を置いて店を出ようとした男の傍らに立つと耳元でドスの聞いた低い声で 『勘定お間違えですよ』とささやいた。 男の周りだけ冷気が漂い、背筋が凍るような出来事に、「ああ、っと、間違えた、こ、ここに、お、おいておくぜ!」 と、不足分を大急ぎで懐から出すと、店を後にしていった。 「お前、やりすぎだろう、それは」と眼鏡の男が薄い鶯色の着物を着た方を咎める。 「そんなことありませんよ。あれぐらいやっておかないと、次はタダ食い、と調子に乗るんですよ、ああいうやつは」 「さすが、鶯の十三郎の親分。悪事に関しては厳しいな」 「やめてくださいよ。おれは、源三郎です。その名前は、あっちに捨ててきましたから」 すっと縄のれんのかかる入口から、調理場へと居場所を変えた。 そっと風を吹かせて、竈の火を弱める。燗を付けるには、湯が熱すぎる。 「やっと、少しは普通に笑えるようになった・・か・・・」 忙しそうに狭い店を動き回っている女将を見ながら、主はそう呟いた。 「どうですかね・・・。やっぱりせめておやっさんだけでも、たまには顔を見せてやった方がいいんじゃないですか?」 「なんで、俺なんだよ。順番から言ったらお前だろう」 「なんの順番ですか!?」 二人が見つめる先の彼女が、笑っていてほしい。いつまでも。 こっちに来ちまうその日まで、こうして護る。なんたって売るほど時間があるのだから。 ******************************************************************************************* あの人の最後にいう「守ります」ってこうなのかなぁって。 眼鏡の主人が招き猫を動かせるのであれば、自分ならきっと何者からも彼女を護れるって思ってる。 地獄で閻魔と大喧嘩しても、勝てる自信があると。 嘘はついてない・・たぶん、そう思ってる。ずっとそばにいる。どういう形であれ。 そしてどういう形であれ、護る。と思っている。守ってみせるって・・・。 だから、あんなにさびしそうに笑って見送ったんだろうって。 黒部様と刺し違ったのか、それとも捕縛され斬首なのか、そこらへんの過程はわからないけど。 でも、あの人の「覚悟」は、そういうことなのかなぁと。 でも、本当に、綺麗な花火だったなぁ・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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