経口避妊薬を広めるの?
経口避妊薬は卵巣癌の長期予防効果をもつ 提供:Medscape 新規解析結果により経口避妊薬の卵巣癌予防効果が「疑いの余地なく実証」されたため、経口避妊薬をより広く入手できるようにすべきであると『Lancet』の論説が指摘 【1月28日】経口避妊薬は卵巣癌の長期予防効果をもち、30年以上にわたりリスクが低減されるという。この知見は、『Lancet』1月25日号に報告された45試験を対象とする大規模解析の結果であり、「疑う余地のない喜ばしいニュース」であると付随解説は指摘している。この知見は「公衆衛生にとって重要な意味をもち」、経口避妊薬をOTC薬とすることを求めるものである、と一緒に掲載された『Lancet』の論説は積極的な姿勢を示している。 この論文においてCollaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancerの研究者らは、21カ国の女性100,000例以上の個人データを解析した。経口避妊薬を10年間使用すると、卵巣癌の発生率が使用者100例あたり1.2から0.8に減少し、卵巣癌による死亡率は使用者100例あたり0.7から0.5に減少すると推定された、と研究者らは報告している。オックスフォード大学(英国、オックスフォード)のValerie Beral, MDを筆頭研究者とする同グループは、これらの数値を別の方法でも表し、女性5,000例が経口避妊薬を1年間使用した場合、約2例の卵巣癌および約1例の75歳前の卵巣癌による死亡を防ぐことができると指摘する。 本解析は、経口避妊薬の長期使用により卵巣癌が予防可能であることを「疑いの余地なく実証」しており、「人口数を考えれば、めざましい結果である」と『Lancet』の無署名論説はコメントしている。 経口避妊薬が利用可能であった過去50年間において、全世界で約200,000例の卵巣癌および約100,000例の死亡が未然に防がれてきた、とBeral博士らは推定する。経口避妊薬の継続的な使用増加に伴い、今後数十年間に年間30,000例の卵巣癌が経口避妊薬によって予防される、と研究者らは推定する。 「これらの知見は、命にかかわる癌の一次予防において、新基準を定めるものである」と論説はコメントしている。「このような短期曝露後に命にかかわる悪性腫瘍を強力かつ長期的に予防する薬物はほとんどない」。 この最新研究結果は、経口避妊薬を「より広く入手できる」ようにするための「説得力ある」根拠を示しており、これらの医薬品をOTC薬とすることを強く支持する、と論説は続けて述べている。今回の研究結果により、「非常に有効性の高い癌予防薬に対する不必要な厚い障壁」が取り除かれるであろう、と論説は述べている。また、論説は、経口避妊薬の過去の悪評に反論するために、卵巣癌予防効果に関する今回の肯定的な結果を報道により広めることを促しており、「女性はこのエビデンスについて自分で判断する」よう求めている。 しかし、付随解説では、より慎重な意見が述べられている。マギル大学(カナダ、モントリオール)のEduardo L. Franco, PhDとその妻であるInstitut National de Sante Publique du Quebec(カナダ、モントリオール)のEliane Duarte-Franco, MDは、「女性と医療従事者はまたしても、リスクとベネフィットの判断という綱渡りの状況におかれている」と述べている。 卵巣癌に加え、経口避妊薬は子宮内膜癌と結腸直腸癌の予防効果をもつことも示されている。しかし、乳癌および子宮頸癌のリスク増加と経口避妊薬との関連性も認められており、「女性の健康に対する今後の影響の予測には、多くの不確実性を伴う」とも両博士は指摘する。 経口避妊薬のリスクとベネフィットのバランスをとるためには医療従事者の存在が「不可欠」であり、経口避妊薬をOTC薬とする考えには反対である、とFranco博士はMedscape Oncologyとのインタビューで述べている。「経口避妊薬を使用中の女性はモニターする必要があり、また、避妊法だけの単純な問題ではないため、性感染症の予防についても話し合う必要がある」とFranco博士は述べている。 処方箋薬とOTC薬の間の折衷案としては、家族計画および計画出産クリニックを通じて経口避妊薬を提供するという「中間的な解決策」がある(現在北米でよくみられる状況)、とFranco博士は提案している。 本研究はCancer Research United KingdomおよびMedical Research Councilの支援を受けた。本研究の著者らは関連する金銭的関係がないことを公表している。また、論説委員も関連する金銭的関係がないことを公表している。 *HIV感染の予防のために避妊用コンドームを推奨する活動が進んでいる中で経口避妊薬がとてもいいから市販できるようにするとは・・・勿論こんなことになるにはそれなりの理由があると思いますが、性感染症の予防の面から考えてもあまり喜ばしいことでない感じがします。