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木次線の活性化に関する提言ですが、今回が最終回になります。最終回では、残りの項目について考察をしていくとともに、路線の維持・存続に向けてはマンパワーが欠かせないことを伝えて締めくくりの言葉とさせて頂きます。
E:生活路線としての確保 地元住民にとって、鉄道は生活の基盤となるライフラインであるとともに重要なインフラの一つでもあります。残していくためにはある程度のフリークエンシーの確保が欠かせません。上越新幹線を具現化させたかつての田中角栄首相も、国鉄を愛していた人物の一人で、鉄道の運行に強い関心を持っていました。以下の語録は生前に残していったものです。 「古い客車を8両、10両つなげて3時間おきに走らせるよりも、気動車1両で10分おきに走らせたらお客さんは乗る。」 これはいわゆる大都市圏で行われているパターンダイヤ(ラウンドダイヤ)を地方でも導入せよとの示唆なのです。実際、地方でパターンダイヤを採り入れているのは、四国で結構あり、JRの場合、徳島近郊区間(徳島~阿南、鳴門、穴吹)でパターンダイヤが入れられているのです。他にも伊予鉄やことでんもパターンダイヤを古くから採用しており、乗客の利便性向上に取り組んでいるのです。 木次線の場合、宍道~木次間は少なくとも1時間に1本パターンダイヤを導入すればお客さんが戻ってくる可能性はありそうです。ただ、出雲大東までは一畑バスと競合するため、快速の運行などテコ入れを図る必要も出てきますが、工夫次第で利便性を挙げて乗客を回復させることは無理ではないのですが、発車時間を揃えるなど、ユーザー目線のサービス改善が必要になってきます。 F:カープ列車が示唆するもの カープ列車は現在、ラッピング車両が山陽本線、呉線や広島電鉄で定番となっています。昨年からは有志の樽募金から資金を集めて芸備線でもラッピング車両の運行を開始しています。樽募金は、プロ野球のカープ発足時の1950年代初頭、球団の存続危機が出たことからファンが樽を使って募金を募ったことから始まりで、カープの市民球団の一つのアイデンティティとなりました。 カープとのタイアップは、乗客の集客だけでなく、社会に与えるインパクトも相当なものになります。2015年には、新幹線を貸し切って関東のファンをマツダスタジアムまで運んだ実績もあることから、こういった企画を活かさない手はないのです。芸備線の場合、三次で公式戦がある年もあるので、臨時快速の運行などが考えられる選択肢ですが、球団や選手との連携が必要です。何よりも球団や選手の知名度を活かした町おこしですから、丁寧な対応がとにかく欠かせません。ドミニカに育成のアカデミーを作ったり、データアナリストに高校の教頭先生を採用するなどアイデア豊かな球団ですから、知恵を拝借していきましょう。これは木次線についても同様で、島根の場合、Bリーグのスサノオマジックとのタイアップが現実的にあり得るかなと考えています。プロスポーツ球団との提携は、地元を盛り上げる上でも是非とも行ってほしいオプションの一つです。 まとめ 鉄道路線の存続・活性化は、廃止ありきで議論する鉄道会社や行政に一石を投じるアクションとなります。バス転換が果たして持続可能な公共交通機関となるのか、定時性や悪天候時に輸送に難を抱えるだけに、バス一辺倒の論議は管理人としても疑問を感じるところです。 今、民間企業の経営者が持つ悪癖ですが、利益一辺倒の思想が強く出過ぎる傾向があります。これは資本主義社会の中で利潤追求は当然のことだと受け止めがちなのですが、人のため、みんなのために役立つことを実践できれば、利益は後から必ずついてきます。短期目標的な利益の確保を続けても長くは続きません。これはJRだけでなく、大手私鉄、鉄道業界以外のすべての企業幹部にはっきりと伝えておきたい一言です。目の前の数字に固執しているあまり、先のことを考えない経営をする会社があまりにも多過ぎます。地方を切り捨てるのか、豊かな観光・産業資源を活かす方策を今一度、考察し地元が本当に盛り上がるためにどのようなことをするべきか、企業だけでなく行政の「生きる力」が今、試されています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.03.26 20:22:08
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