ピアニストも韓流?
23日、イム・ドンヒョク氏のショパン ピアノリサイタルに行ってきた。
紀尾井ホール15時開演。
曲目は、ノクターン第8番変ニ長調Op.27-2、バラード第1番ト短調Op.23、ピアノ・ソナタ第2番編ロ短調Op.35「葬送」、休憩を挟み3つのマズルカOp.59-1,2,3、24の前奏曲Op.28第13番~18番、アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ変ホ長調Op.22
イム氏は、今年のショパンコンクールで3位を取ったばかりの将来有望の若手ピアニストです。
と言っても、ピアノのリサイタルなんてほとんど行ったことないのでその人が本当にすばらしい人かどうかよく解らなかった。
風貌は、まだ21歳で着ているスーツも、スタンドカラーのチャコールグレーのスーツだから、久しぶりに通夜であった学ラン着た年の離れたいとこって感じがした。ホント高校生みたい。
演奏は、スケールの大きさや華麗さは感じなかったけれど、繊細で清涼感のある好感の持てる演奏だった。丁寧に引いているんだけれどテクニックがあるからあっさりしたように聞こえる。
葬送は、ここ毎日CDで聞いているお気に入りの曲なのだけれど、ほぼイメージ通りに弾いていた。
特に、高音が優しい感じ。(ピアノ本来の音のせいかもしれないけれど…)
華麗なる大ポロネーズは、今回一番難易度高いと思うけど得意な曲なんだろうね。一番のびのび弾いていた。
選曲のせいもあるのだけれど、もう少しダイナミックな曲があっても良いような気がした。
テクニックでは、右手と左手が追いかけっこしたり、早口でぺちゃくちゃ喋るようなのが得意みたい。
アンコール曲がなかったのが残念だけれど、茶目っ気出して、「黒鍵のエチュード」くらい弾いてほしかったな…たぶん得意だと思うし。
コンクール入賞って、やっぱりテクニックが第一なんだろうと思う。今回演奏、すごく上手だったけれど、胸が熱くなるような全身身震いするような体の反応はなかった。終わって、前の席のご婦人方も、「すごいわあ。ホントお上手」って言っていた。けど、それ以上の賛辞はなかった。それ以上の評価はこれから、彼がどんな人たちと出会い、人生を送るかで変わってくる。
コンクールに優勝するってことは、プロになるための優先チケットのようなものなのだ。
アマでも、もっと面白い演奏する人はたくさんいるだろうけれど、プロはミスは命取りなの。ミスをしない、観客を満足させる。失望させない。
彼は、そういうピアニストにきっとなれるだろう。
ただ、もう少し体重つけたほうが良いような気がした。巨人の星で星ヒュウマは、すごい豪速球を投げるのだけれど、ちっちやいがために、当たると長打になってしまい。それが、野球生命を短くした。イム氏も軽やかなピアノの調べなのだけれど、ホールに行き渡る重厚感ある音、胸にずしんと来る割れるような音がなかった。それはそれで個性ではあるのだけれど…
まあ、4000円払うには充分な価値があったと思うし、生の音って良いものだ。