カテゴリ:タイ便り
気になる終わり方をしておきながら、続編が遅くなってしまいました。
金曜日から週末にかけて、外出続きで・・・ さて、空き巣に入られた翌日(翌々日だったかも)の夕方のこと。 例のレセプションの女性(以後、Sさん)が、アパートのメイドさんで、ウチの部屋を 担当してくれている(週二回お掃除に来てくれる)おねーちゃんに付き添われて、 部屋を尋ねてきた。 思いつめた顔のSさん。 あらためて謝罪しにきたの? それとも今回の責任をとって、辞職しますっていう挨拶? いや、その逆にクビにされそうだけど、困るのでなんとかとりなしてっていう訴えか? とにかく、部屋の中で話を聞くことになった。 話を聞いてみると・・・私の予想はすべて外れていた。 Sさんのボスであるオーナーさんは、彼女を今回の件のためにクビにはしなかった。 そのかわり、オーナーさんが気前良くポンっと弁償してくれた被害額の全額を、 Sさんが負担するようにと、要求してきたのだった。 聞けば、彼女の月給は(仕事の割には)そんなに悪くないようだったが、それでも弁償額は、 その月給のまるまる7か月分以上だ。 夫と別れ、子供2人をイサーンの実家で面倒みてもらいながら、バンコクで働いて、 仕送りしている・・・という彼女にとっては、とても返せる金額ではない。 「今回の件は、自分に責任があるのは十分承知しているが、こんなに借金を負ってしまったら、 子供達を育てていくことが出来ない。友人に借金しても工面できるのは、○○バーツだけ。 余りにも金額が大きすぎるので、どうか少しでもディスカウントしてもらえないか」 と、泣きながら懇願するSさん。 ・・・・まさか、そんなことになっているとは思っていなかった。 確かに、空き巣にやられた責任の第一は彼女にあると思う。 でも、雇用者の責任ってのもあるでしょ。 被害額の全額を一個人に負わせるっていうのは、ちょっとどうよ。 しかも、自分はすんごいお金持ちのくせに・・・ 夜、ダーと話し合った。 実はビデオカメラは会社の備品。結局、状況が状況だけに、会社が渋々?経費で 新しいビデオカメラを購入することになった だから、ビデオカメラ分の弁償はいらない。 残りのドル現金弁償分については、「痛み分け」ということで、我が家も半額負担することにした。 つまり、弁償してもらったお金の半額を、こっそりSさんに横流しし、そのお金を Sさんからボス(オーナー)に返却する。 同情もあった。 でも、それだけではない。タイ語版の警告文書まで受け取って読んでいながら、レセプションに それを見せずに、ほうっておいたことや、現金が入った引き出しの鍵を、いかにも 「見つけてください」といわんばかりの場所に置いていたことは、私たちの落ち度だ。 特に警告文書はあの時、ちゃんと見せていればもしかしてウチのアパートに来た時点で、 通報&逮捕につながっていたかもしれないのに。 だから、我が家にも被害の責任の一端がある・・という、うしろめたい気持ちもあった。 そして更に。ここでもし「責任はみんなあんたにあるんだから、当然全額弁償して!」 なんて言って、Sさんを追い詰めると、逆ギレするかもしれない。 逆ギレによる傷害・殺人事件もこの国では少なくない。 とにかく、追い詰めすぎてはいけない。お金よりも身の安全の方が大事だもの。 ・・と、いうわけで、我が家がオーナーさんから受け取った現金の一部をこっそり横流しし、 Sさんがそれをまたオーナーさんに返却。 という、密約を交わして、なんとか一件落着。 Sさんが私たちに直訴して、弁償額のディスカウントを申し出たなんてことがオーナーさんに ばれたら、それはまたそれで面倒くさいことになるので、オーナーさんには内緒だ。 それから1ヵ月後。Sさんは他に新しい仕事を見つけて出て行った。 「あんな血も涙もない非情なボスの下で、これ以上働きたくない」と言って。 相当な金持ちであり、仕送りで精一杯な彼女の状況を知らないワケでもないのに、 自分ひとりに多額の弁償額を負わせようとしたことに、かなり憤慨していたので、多分それは本当の理由だろう。 その後、何回か連絡をとったが、新しい職場では環境に恵まれ、かなりハッピーに すごしているらしい。 一方。 我が家が被害にあってから約2ヵ月後。犯人が逮捕された。 警察には全く期待していなかったら、犯人逮捕の連絡を受けたときは驚いた。 現行犯だったらしい。 「犯人の顔を確認しに来たいですか?」と聞かれたが、断った。 だいいち私は犯人とは会っていないんだし、逆にこちらの顔を見られるのも気味が悪い。 でも、Sさんは確認に出向いたらしい。彼女は直接顔を見てるから、証人としての意味があったと 思うけれど、同時に、お縄となった空き巣犯人に、 「あんたのせいで、私は大変な目にあったのよっ このろくでなしっ」 と、散々罵ることが出来てスッキリしたらしい。 新聞報道によれば、犯人はルーイ県出身の32歳女性。日本語や英語が話せ、 日本人のふりをして、日本人の住民の友人になりすまして、犯行を重ねていたという。 それから更に数ヵ月後。 この事件についての裁判の通知が届いた。証人として裁判所に出頭するようにと。 うえっ、確かに被害にはあったけど、証言するようなことは何もないんだけど・・・ 面倒くさいなあ。 と、思っていたら、予定された日の1、2週間前に再び通知が届いた。 「裁判の日程が延期になった。変更後の日時については追って連絡する」 そして・・今日に至るまで何の連絡もない。 結局、裁判はどうなってしまったのだろう?! ちょうどその通知をもらった頃、「スキンヘッド空き巣は既に保釈されている。再犯での逮捕だから 保釈はあり得ないはずなのに。」という情報が別のルートから入ってきた。 くさい。これはくさい。 新聞には、犯人は犯行の動機を「子供を育てるのにお金がなかった」と語っていると 載っていたが、かなりウソっぽい。 実行犯のスキンヘッドの女の後ろには、大物がいるに違いない。 フリーペーパーなどに載っていた何人かの被害報告を読むと、犯人側の 「日本人情報」網はものすごい。 友達にさえ自分の住むアパート名を教えたことはないという人さえ被害にあっているのだ。 個人で、それだけの日本人情報を集められるとは思えない。 裁判を待たずに保釈されたことや、裁判がドタキャンされて、延期になったまま、 恐らくその後開かれていないところなんて、もっとアヤシイ。 絶対背後の大物が動いて、そうさせたに違いない。 というわけで、あれだけ直接・間接の被害者に波紋を起したスキンヘッド空き巣は チャッカリ野放しされてしまった。 バンコクのどこかで、ほとぼりが冷めるのを待ちながら、次のチャンスをうかがって いるのかもしれない。 もしかしたら、どこかで知らずにすれ違ってたりして。 そう考えると、いまだに悔しいやら、気味が悪いやら・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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