映画『カティの幸福』
久しぶりに映画館で映画見ました。よく考えたら、出産してからは初めて!私が最後にタイで映画館行ったのは「おかまボクサー」パリンヤーちゃんを描いた『Beautiful Boxer』を観にいったときでした。とすると、、、5年近く前?!長ーい沈黙を破って観に行った映画は『Kwam Suk Kong Kati(カティの幸福)』以前の日記でちらっと紹介した『カティの幸福』という本を映画化したものです。原作は2006年度の「東南アジア文学賞」受賞作。既に日本を始め、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、フランスなど9か国で翻訳されているそうです。日本語版は『タイの少女カティ』というタイトルで出ています。ちなみに原作者のンガームパン・ウェーチャチーワ(Ngarmpan Vejjajiva)さんは、タイのアピシット現首相の実姉。姉弟そろって「時の人」ですな~。Kati(タイ語で「ココナッツ・ミルク」の意)は、9歳の女の子。地方(アユタヤ県のどこか)の「水辺の家」で、冗談好きのおじいさん、厳しくも優しいおばあさんと暮らしています。Katiの記憶には、おぼろげなお母さんの姿が残っているけれどどうしていなくなってしまったのか、誰も話してくれない。家ではお母さんの名前が出ることさえありません。しかしある日、おじいさんが「Kati、お母さんに会いたいかい?」と言い出して・・・・・・原作は児童向けの短編小説で、ストーリーもシンプル。美しい情景の中で、静かに淡々と展開します。映画もまさにそんな感じ。でも・・・・・明らかに「お涙頂戴」といったシーンがないにもかかわらず、私はもう、途中から涙線刺激されっぱなし映画が終わるころには目がはれぼったいわ、鼻水は出るわで大変なことに・・・いや、もともと私が超・涙もろいんですけどねKatiがお母さんに再会するシーン、セリフもなく、涙もないのですが、なんかね~、息子が時々無言で私にすがりついてくる様子を思いださせられちゃって、そこでつい、ウルウルッと。それに続いて、Genwaii Thongdeenok監督が「もし自分が映画化の権利を獲得できなくても、このシーンだけはクリップビデオとして映像化したかった」と語っている(#1)、すべてを知ったKatiが泣きながら海辺を走るシーンがきちゃって、もうそこで私はノックアウト~それ以降は観客の涙を誘う意図もないであろう、ごくごくさりげないシーンでもついウルウルきちゃって困りました。。。。。ストーリー自体は(しつこく言うようだけど)あくまで静かに淡々と展開します。また原作にかなり忠実なので、原作を読んだ人にとってはもう次に何が起こるか分かっちゃってるという点で、この映画は特に目新しいわけでも、エキサイティングでもないかも・・・・・・でもとにかく映像が美しい!監督もインタビュー(#1)で「原作が有名すぎるので観客の多くがストーリーを知っている。だから映画では原作の持つ繊細さや、甘くほろ苦い雰囲気を保ちつつ、読者の頭の中にあるシーンを映像として描き出すことに専念した。映像を通してストーリーを語ることにしたんだ。」と語っているとおり、(特に原作を読んだ人にとっては)ストーリー展開よりも、映像を通してKatiの世界を味わうところにこの映画の醍醐味があるんじゃないかな。特にKatiが祖父母と住む「水辺の家」(アユタヤ県のどこか、という設定)の場面は必見。料理の得意なおばあちゃんが料理する色とりどりの香辛料が並ぶ台所、お坊さんが舟で托鉢にやってくる水辺の風景、Katiとおじいちゃんが、舟をこいで蓮をつみにでかけるシーンなどは特に、色鮮やかな絵本をめくっているかのようで印象的でした。Katiが通う、田舎の素朴な学校での授業や通学の風景もいい。農村部の小学校を訪問したことがあるけど、ほんとにそのまんま。バンコクに住んでると「今もこんな学校あるんだ?」と思っちゃうくらい素朴で懐かしい感じがする学校風景なのです。あ、あと、Katiを演じる女の子が、とってもキュート前髪を短くしてるところもいいね~。1000人を超える応募者の中からKati役を射止めたプロイちゃんことパソーン・コンミースック(Pasoong Khongmeesuk)ちゃん、実際は11歳だそうです。将来は『フェーンチャン』でノイナーちゃんを演じたフォーカス・ジラクンちゃんのように活躍するのかな~。このKatiちゃんのかわいさと、映像の美しさを楽しむだけでも私は満足でした私が観た映画館では英語の字幕スーパー付きだったけど、セリフもそんなに多くないし、そんなに難しいタイ語ではなかったのでタイ語の勉強のためにもイイかも私も余裕があればもう1回観に行ってもいいかな~。(#1)Bangkok Post, January 2, 2009