音もなく時間が過ぎて
雨音が強くなる
君は
雨の音ばかり気にして
もう一度
君が食べたい
そんな僕の声を忘れて
雨が
アスファルトの上を覆い
流れるように
君は濡れているのに
君は僕じゃなく
君の上を走る
車のライトを映す
シグナルの色を映す
心は
違う場所にある
心が抜け殻の君を
僕で満たしたくて
雨の音が聞こえないように
すべてを僕でふさごうとするけれど
君は眉根を少し寄せて
切ない声をあげるばかり
遠くで 雷鳴が聞こえる
嵐が近づく
君の心は
この 篠突く雨の中
どこに落としてきたの
体はこんなに感じているのに
「愛してる」に
答えなくなった人
君の眼に映るのは
モノクロームの
無声映画のなか
ただの
君に飢えた
僕