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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:自然観察(野生動物)
先日ロードランナーのビデオを投稿したので、ルーニー・テューンズのアニメでロード・ランナー君にいつもコケにされている悪役、ワイリー・コヨーテのモデルとなったコヨーテのビデオをお送りします。
実は我が家の近くでも一度だけ見かけたことがあるのですが、その後宅地開発が進んで現在は「見かけた」という情報も聞かなくなりました。昨日私も知らないうちに“罪”を犯していると書きましたが、自虐的考え方をすれば、私自身、新興住宅地に住んでいるというだけで、コヨーテの生息地を狭めてしまった原因を作った一員かもしれません。(←とか書きながら、あんまり自分を叩く意志の無い人でありました。) このビデオは世界遺産でもあるイエローストーン国立公園で撮りました。このビデオにはちょっとしたエピソードがあります。後半に車のドアが閉まる音が入っていますが、私が何か動物をビデオに撮っているのに気付いて、車を停め降りてきた親子5人組の音なのですが、この一行、コヨーテ君を見るなりお父さんが「ハイイロオオカミだ!」と叫んだのです。 お父さんに釣られて3人の子供達も「わーい、わーいオオカミだ、オオカミだ」と大喜び。 途切れた食物連鎖の輪を繋ぎ、生態系のバランスを取り戻そうと、賛否両論にさらされながら一度はこの地域から姿を消したハイイロオオカミをもう一度この地域に“再導入”した話題は有名で、ハイイロオオカミは熊と並んでイエローストーン訪問者の人気者でもあります。 ちなみに熊が現れると、ベアー・ジャム現象(交通渋滞=トラフィック・ジャムをもじって「熊渋滞」状態)が起こりますが、オオカミの場合、ウルフ・パック現象(私が勝手に命名)が起きています。オオカミは群れを形成するので、そんな群れをウルフ・パック(wolf pack)と呼びます。で、オオカミを観察するには、主にラマー・ヴァレーで道路際に設けられた特定の地域でフィールド・スコープや望遠レンズ付きカメラを三脚に据えて、ひたすら待ち続けるのですが、それがいつも一人じゃなくて、結構多くの人が必ずそこにいて、“群れ”を形成しているからです。 話をコヨーテに戻しますと、そんな事情から「イエローストーン=オオカミ」のイメージが強くて、しかも今や伝説的になってしまったオオカミを観察出来るのは、訪問者にとってかなりの訪園ハイライトであり、コヨーテをオオカミと思い込んでいるその家族はかなり感動していました。 「オオカミじゃなくてコヨーテなんですけど」という言葉がでかかったけど、こんなに喜んでいるし、なんたって最初にオオカミだと断言したのがパパさんで、子供達の前でお父さんの間違いを指摘するのは、父親の威厳にかかわるし、離婚が多いアメリカで、家族楽しく旅行しているところに水を差すのも野暮なので、出かかった言葉を飲み込みました。コヨーテもオオカミの従兄弟のようなものだし。子供達は夏休み明け(これを撮影したのは夏休み期間中)に、「イエローストーンでオオカミを見ました」なんて作文や絵を先生に提出したことでしょう。コヨーテ君大活躍。 それにしてもイエローストーン国立公園のコヨーテは大きくて、他の地域で見かけるコヨーテよりがっしりしていました。お父さんがオオカミと思ってしまったのも仕方ありません。見分け方は、コヨーテの方が耳も鼻先も細長く尖がっているのと、大きさも小さ目です。人間を恐れないコヨーテも多く、道路際に出現するのは殆どコヨーテの方です(理由は下記参照下さい)。 群れで行動することもありますが、オオカミに比べると一匹で行動する割合が遥かに多く、しかも雑食なので人間の食べ物に釣られてこうやってフラフラと道端に現れます。本当は野生動物に餌を与えてはいけないのですが、規則を守らない人もいて(イエローストーンには何十万人という人が訪れるので、確立的にもそういう輩は極少数とはいえ後を絶ちません)、餌をもらえることを期待してこうやって道端に現れるのです。イエローストーンではないですが、中にはわざと道路の真ん中でやってくる車を待っているコヨーテも見たことがあります。ルーニー・テューンズでは、コヨーテはいつもロード・ランナーを止めようとしていますが、本物は車を止めて餌にありつこうという魂胆です。もっとも全ての車が止まってくれる訳もなく、ルーニー・テューンズのように、やられてもやられても怪我で済む訳もなく、そんなコヨーテの交通事故死亡ニュースは何度も聞きました。 ルーニー・テューンズのようにコヨーテもオオカミも「ズル賢い」悪者に描かれがちですが、人間の方が遥かに悪者だったりして。それにしても、悪者のイメージがイエローストーン地域のオオカミが一度絶滅してしまった要因の一つにあげられています。そのことはまた後日記します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 27, 2006 12:45:11 PM
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