乱世を生きる 市場原理は嘘かも知れない
数少ない常連様のアキアカネさんが、昨年読まれていた本。彼女の書評を読んでも、あまりよくわからなかったが、実際に読んでみると、更に掴み所のない本だった。何しろ、著者自身がまともな構想もないままに書き始め、思いのままにわずか2週間で書き上げてしまった本なのだ。しかも、著者は東大の文学部卒のバリバリの文型人間。著書は何度も大学の入試問題に出題されてたりする。そんな人が『勝ち組負け組』を論じるから、全く一筋縄ではいかない。一つ一つの文章は平易なんだけど、結論ありきでなく、著者自身が考えながら書いているような文章なので、話は二転三転し、結局この人はどういう立場で何を一番言いたかったのかと言うのがよくわからなかった。とはいえ、『わからない』を連発するには、経済の本質的な部分をよく洞察しているし、全く数字を使わない(使えなかったのかもしれないが)説明の割には、説得力もあった。経済とは何か。今の経済を動かしているのは何か。恐らく、この人のようなアプローチは他にはあるまい。